ノーベル賞を受賞したスバンテ・ぺーボ博士が解き明かした「ネアンデルタール人のDNA」はわれわれ日本人にも受け継がれていました。
花粉症や新型コロナ重症化のカギとなっていた!?
さらに、「ネアンデルタール人は宇宙人が創った人類の試作品」との奇説も存在。
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ノーベル賞を受賞した旧人類の遺伝子研究
今年のノーベル賞も出揃いましたが、日本人の受賞者はおらず、あまり報道も盛り上がらないまま収束してしまったのは残念ですね。
しかし、奇談好きにとっては日本人ではなくても今年のノーベル賞にはは気になる受賞者がいます。
我々にとって今年もっとも注目すべき受賞者は、生理学・医学部門のスウェーデン出身のスバンテ・ペーポ博士です。
ドイツの研究機関の所長を務め、長年に渡って絶滅した人類の遺伝情報を調べてきた博士は、約30,000年前に絶滅した別の人類・ネアンデルタール人のゲノム解析に成功し、私たち人類の種ホモ・サピエンスとも交わりを持っていたことを明らかにしました。
旧人類同士は幾度も交配を繰り返していた
ペーポ博士は、2008年にシベリアで発見された未知の人類の化石をDNA解析によって『デニソワ人』と特定したことを2010年に発表したでよく知られています。
ホモ・サピエンスとすでに知られていたネアンデルタール人に次ぐ“第3の人類”と話題になりました。
その後、ペーポ博士率いるマックス・プランク進化人類学研究所は、約9万年前の骨のかけらから、その本人がネアンデルタール人の母親とデニソワ人の父親の間に生まれた10代の少女のものであることを突き止めています。
今年のノーベル賞のペーボ氏が研究した、ネアンデルタールやデニソワ人。
日本人(国籍という意味ではなく)では、各自のDNAのうち、
数パーセントはネアンデルタール人由来、
0.2%がデニソワ人由来といった記述もあります。
絶滅した人類のDNAが自分にもあるかと思うと、生き方・考え方が変わります— 小林竜太郎 (@naganokoryu) October 17, 2022
新型コロナウィルスによるリスクとも関係している旧人類遺伝子
また、ペーポ博士の研究チームは2020年にも研究成果を発表しており、そこにはネアンデルタール人から現代人に受け継がれているDNAセグメント(ヒトゲノムのおよそ0.002パーセントほど)が、新型コロナウィルスの重症化や入院と深く関係していると記されています。
現代人のゲノムには、およそ1~4パーセントの割合で、こうした絶滅した旧人類から受け継がれているようで、新型コロナに限らずさまざまな疾患と関連付けられていたり、場合によっては生殖能力の低下に繋がるなど人類にとって有害といえるリスクを孕んでおり、日本人に多いという花粉症の原因にもネアンデルタール人のDNAが関係しているという話もあるようです。
ただし、有益となる要素も見つかっているので過度には心配しないでください。
ネアンデルタール人由来の別のDNAには、新型コロナの重症化を22パーセント抑えていることもペーポ博士の研究チームが2021年に報告しています。
現生人類はなぜ誕生したのか? その大いなる謎
アメリカを含む諸外国では、UFO(未確認飛行物体)や宇宙人が遙かな大昔に地球に飛来し、人間を創造したり、ピラミッドやストーンヘンジなど大規模な遺跡を造ったと信じる人が数多くいます。
そんな彼らが唱えているのが、アゼルバイジャン生まれのゼカリア・シッチンやスイスのエーリッヒ・フォン・デニケンらの著作物を通じて知られるようになった『古代宇宙飛行士説』です。
地球人が生まれた経緯についても宇宙人が関与したさまざまな説があるのですが、中でも有力とされているのが、「知恵を持たない類人猿に、宇宙人が実験を繰り返し人類に進化させた」という考え方です。
『旧約聖書』に描かれたアダムとイブの暮らした『エデンの園』はその実験場であり、ネアンデルタール人などの絶滅した旧人類たちは実験に失敗したものだとされています。
宇宙人が人類を創造した?
『古代宇宙飛行士説』では世界最古といわれるシュメール文明の神々・アヌンナキこそが人類を創造した宇宙人であり、エデンの園があった場所もシュメール文明が栄えたメソポタミアの地としています。
「とんだ作り話かでまかせだろう」と思うかもしれませんが、実は、あながちそうとも言い切れないのです。
というのも、『旧約聖書』の「創世記」には、エデンに流れる川が4本に分かれ、そのうちの2本がティグリスとユーフラテスだと書かれているのです(創世記2章10節)。
また、シュメール神話には神々が人間に対する罰として洪水を引き起こしたという、「ノアの箱舟」の原型とされる洪水の物語もあり、そこではジウスドゥラという神に仕える神官がノアのように大きな船を造り、動物と人類の種を救います。
ユダヤ人は少なくともバビロニアに捕えられた時代にこれらの神話を知る機会があり、旧約聖書の洪水エピソードのモデルにしたというのが通説です。
シュメールは世界四大文明のひとつメソポタミアに含まれるティグリス川とユーフラテス川のふたつの大河に挟まれた地域にあった文明です。
その神話には、「神々が行なってきた仕事を肩代わりさせる」ために人間を創造したと記述されています。
運河を造り、神殿を建て、畑仕事をし、食物を作る。人間とは、そんな労役を担うために創り出された奴隷のような存在であったのかもしれません。