人生100年時代の到来!と思っていたら逆に寿命が短くなってる??

人生100年時代のはずが…。英米でコロナ禍前から「寿命」が低下

2021年12月、アメリカでは2020年の平均寿命が77歳となり、前年の78.8歳より1.8歳も短縮したことがわかりました。

その大きな原因として新型コロナウイルスが挙げられていますが、実はアメリカ人の寿命はコロナ禍前から縮んでいたのです。

この現象はイギリスでも起きており、調査が進められています。

地域間で大きく異なる寿命

イギリスのインペリアル・カレッジ・ロンドンが2021年10月に発表した研究で、新型コロナウイルスのパンデミック前にあたる2014年から2019年の5年間で、寿命が短くなっている地域があることが判明しました。

同大学の研究チームは、2002年から2019年までの860万件以上におよぶイギリスの死亡記録から、死亡当時住んでいた地域を一件ずつ調査。

そこから、6791か所の平均寿命の推移について調べていきました。

その結果、多くの地域で平均寿命が伸びているものの、一部の地域では平均寿命が短縮しており、近年その傾向が加速していることがわかったのです。

2010年から2014年の間に平均寿命が低下したのは、全6791か所のうち、女性は351の地域、男性は1地域だけでした。

しかし2014年から2019年にかけては、女性の場合、全体の18.7%にあたる1270地域で、男性は11.5%にあたる784地域で寿命が低下していたのです。

2002年から2019年までの期間では平均寿命が約3年も短くなっていた地域もありました。

イギリスの統計局が発表するデータでも、コロナ禍を含む2018年から2020年までの3年間にかけて女性の平均寿命は横ばいですが、男性の平均寿命はパンデミックが原因で40年ぶりに減少しています。

しかし、統計局のような一般的な平均寿命のデータが対象とするのは、人口が14万人ほどの広い地域。

それに対して、インペリアル・カレッジ・ロンドンの調査は人口8000人ほどの小規模の地域ごとに追跡調査を行っています。

その結果、パンデミック前から平均寿命が短くなっている地域があることがわかったわけです。

アメリカでも同じ現象が

この現象はアメリカでも起きています。

1959年から2016年までは平均寿命が伸びていたのに、2014年から2016年にかけては3年連続で低下。

平均寿命が伸びている州がある一方、ニューハンプシャー州、メイン州、ウエストバージニア州などでは平均寿命が短縮しているのです。

そのような地域では薬物やアルコールの過剰摂取、自殺などが多く、所得格差や不安定な雇用などが、それらの根本的な原因ではないかと見られています。

イギリスでも平均寿命が低下する傾向がみられた地域では、失業者の多さや不安定な雇用、不十分な福祉支援などが見られ、それらが寿命を縮める原因になっているのではないかと考えられています。

100歳まで生きる確率は?

「人生100年時代」と言われるなか、先進国であるイギリスやアメリカでは、新型コロナウイルスとは関係なく平均寿命が短縮している地域があります。

この事実を私たちはよく考えてみる必要があるでしょう。

人生設計で自分が100歳まで生きることを想定しても、その前提が間違っているかもしれないからです。

人生100年時代でないとすると、自分は何歳まで生きられるのか?

一部地域で寿命が短くなっていることがわかったイギリスでは、簡単に自分の寿命がわかる「寿命計算機(Life expectancy calculator)」が注目を集めています。

これは、イギリスの統計局が同国の平均寿命のデータをもとに作ったもので、自分の平均寿命を簡単に予測してくれます。

「Age」のところに自分の現在の年齢を入力し、「Sex」では「Male(男性)」または「Female(女性)」と性別を選び、「calculate your life expectancy(寿命を計算する)」のボタンをクリックするだけ。

35歳の男性と女性で試してみると、男性の場合、平均寿命は84歳で、6.5%の確率で100歳まで生きられるそう。

女性の場合は平均寿命が88歳で、100歳まで生きられる可能性は10.4%。言い換えると、10人に1人が100歳まで生きるということです。

イギリスやアメリカで起きているこの現象は、世界的な長寿国として知られる日本でも起きる、あるいはもう起きているのでしょうか?



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