「排水溝の水は必ず反時計回りに流れる」これってホント?ウソ?
物理というと学生時代の難解な数式を思い出して「難しいもの」と敬遠してしまいがちですが、実は私たちの生活は物理法則であふれています。
今まで当たり前に考えていたけど、よく考えると不思議な生活上の二つの疑問について、図解でわかりやすく説明します。
目次
コリオリの力はいつでも作用している
次のような話を聞いたことありませんか?
「お風呂のお湯を抜くときの水の排出をよく見てください。
渦を巻いていることがわかると思います。しかも、反時計回りに……」話は続きます。
「……この渦巻の方向は、地球の北半球では必ず反時計回り、南半球では時計回りになるのです」と。
地球規模の「ある力」が、身近なところに作用しているという話です。
物理的に正しいか考えていきましょう。
原因として、多くは、次のような説明がなされます。地球上で働いている力に「コリオリの力」があります。
これは地球の「自転」によって生じる力です。
コリオリの力は、北半球では北から、南に行くときは右向きに働き、南から北へ行くときも右側に働きます。
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コリオリの力を体感するには、くるくる回る椅子に座り、回ります。
回っているときに腕を前に伸ばすと回転速度は遅くなり、伸ばしているところから胸の前で腕を組むように縮めると回転速度は上がります。
これがコリオリの力です。— 小鳥遊 鷲有 (@takanashisyuyu5) December 5, 2021
台風を考えるとわかりやすい
コリオリの力がもっともわかりやすいのは、「台風」です。
台風は、北半球では反時計回りに、南半球では時計回りになっています。
台風の回転に影響を与えるというと、コリオリの力がよほど大きいような感じがしますが、実際は、その力は小さく、台風くらいの大きさにならないとはっきり見えないのです。
実は、私たちが歩いているときも、自転車に乗っているときも、車に乗っているときも、コリオリの力は作用しています。
しかし、あまりに小さい力なので、日常の生活にはほとんど影響を与えません。
影響があるのは、飛行機で南北方向に飛んでいるときなどです。
北半球では、南から北に向かうときも、北から南に向かうときも進路は右方向にずれます。
冒頭の風呂の排水に対しては小さな影響しかないので、回転は右回りにも左回りにもなります。
それは風呂や排水口の形状などの影響によるものでしょう。
コリオリの力の説明は正しいのですが、それを身近で見られるほど大きな力ではありません。
つまり、「排水溝の水は必ず反時計回りに流れる」は俗説だったのです。
勉強中の娘に「小料理の力って知ってる?」と聞かれ、何だろう、ちょっとした幸せを得られること?みたいに考えてたら、コリオリの力だった。何だか聞いたことあるな。
— なが餅 (@naga3) December 5, 2021
猛暑を引き起こす「フェーン現象」の仕組み
近年、夏の暑さが、どんどんひどくなってきているような気がします。
2007年8月16日には、埼玉県の熊谷市と岐阜県の多治見市で気温が40.9℃に達し、国内の観測史上、最高気温となりました。
それまで国内の最高気温は70年以上も破られたことはありませんでした。
さらに最近では、2020年8月17日に静岡県浜松市で41.1℃と、最高気温を次々に塗り替えています。
このような猛暑の原因の1つに、「フェーン現象」が考えられています。
天気予報などで、一度は聞いたことがあると思いますが、実際に、どんな現象なのでしょうか。
結論からいいますと、フェーン現象とは、湿り気のある空気が山を通り越して、乾いた高温の空気になる現象をいいます。
なぜ、フェーン現象が起こるのかについては諸説ありますが、代表的な説を紹介します。
たとえば、日本海側から、海の水分をたっぷり含んだ風が上陸します。
すると間もなく、山岳地帯に突き当たります。そこで風は山に沿って上昇気流となります。
高度が高くなるにつれ、空気の温度は低くなっていきます。すると、空気中の水分で雲をつくり、雨になります。
その結果、空気が山頂に達するころにはほとんどの水分を失っています。
こうして乾いた空気は山を越えて反対側の斜面を下りてきます。
下りでは高度が低くなると温度が上がってきます。
結果、山のふもとには、乾燥した温かい風がもたらされることになるのです。
これがフェーン現象による猛暑の原因です。
メリーゴーランド上で、
自分で上に投げてお手玉するとコリオリの力は働かない。
友達に投げてとキャッチボールするとコリオリの力は働く。#子ども科学電話相談— 夢見る電子妖精 ほげ子ちゃん@Vtuber (@Wired_Fairy_HGC) December 5, 2021