「ビートルズが本当に好き」な人にしかわからない“コアな聴き方”
ザ・ビートルズのベスト・アルバム「赤盤」「青盤」の全楽曲を網羅し、幻の3枚目「黄盤」収録曲を私的セレクト。
各曲の背景や時代ごとの特徴まで、青春を洋楽ブームに捧げた著者が余さず語る渾身の手引書。
目次
Listen to The Beatles!
なぜ「ビートルズに触れた人」は、「本当にビートルズが好き」というような人達からはほぼ相手にされず、あまつさえ「たいして好きじゃないでしょ」とまで思われてしまうのでしょうか。
それは彼らが主にベスト盤のみを聴き、 “初期・中期・後期”を理解出来ていないためと考えられます。
ビートルズの多くのベスト盤に見られるのは、初期からは「アイドル色が強くポップで耳に残るメロディ」のもの、中期・後期の曲は有名な曲、中でも聴きやすい曲だけが収録されるという傾向にあるからです(ヘイ・ジュードやレット・イット・ビーなど)。
当然日本のコマーシャルに使われる曲も、キャッチーな曲が多くなってしまい“ビートルズはキャッチーで聴きやすい音楽をするバンド”と思われても仕方ないことかもしれません。
二〇〇〇年に発売された『ザ・ビートルズ1』は、アメリカで年間一位のセールスを誇り、二〇〇〇年代、アメリカで最も売れたアルバムです。
日本でもビートルズの最も売れたアルバムとなり、世界的に驚異的なセールスを誇ったアルバムなのですが……、このアルバム、先程ローリングストーン誌で高評価を受けた『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』『ザ・ビートルズ(ホワイト・アルバム)』の曲は、一曲も収録されていないのです(ベスト盤にはそぐわないのでしょうか?)。
本来初期から後期にかけての音楽には差があり、オリジナル・アルバムを聴いているであろう“ビートルズ好き”な人達は、可能性を求め続けた中期、そんな中期と初期を合わせたような後期を自ずと好む傾向にあり、みんなが好きで聴きやすい音楽というわけではないと認識し、“ビートルズに触れた人”のような発言はしなくなっていくのです。
そして、もう一つ知っておいてよいこと。それはそれぞれの背景。
音や環境、アルバム毎に変わっていく四人の発言と関係性。その時代を共に生きた他のミュージシャン達の歩み。それらも共に知っておくと、より楽しく聴いていけるかと思います。
何から聴いていけばよいのか
ビートルズに限らず、古いバンドは特に作品数も多く、オリジナル・アルバムを聴くといっても、何から手をつけていいか定まらず、ベスト・アルバムを聴いてしまうという傾向が多いと思います。
もちろんその聴き方でもよいとは思うのですが、ベスト・アルバムのみで止まってしまうと、隠れた名曲を知ったり、どういう音楽を作ろうとしていたバンドなのかなど、音楽を通して“そのバンドを知る”ということが困難になってくるかと思います。
けれど作品数の多いバンドを聴くのは、根気と時間が必要になってきてしまうので、まずベスト盤を聴き、その中から好きな曲を抜粋し、その曲が入っているアルバムを聴く。
これが、初心者が全体を把握しながら、自分の好きなテイストを素早く見つけるための、最も優れた聴き方であり、大抵のミュージシャンなら、十分に良いとこを押さえられると思うのですが……、ビートルズには通用しないのです。
それは先ほど説明した通り、ビートルズのベスト盤は初期の曲が多いというのと、オリジナル・アルバム未収録のシングル曲が多数収録されているからなのです。
このアルバム未収録のシングル曲が多いというのは、「同じ曲を二回買ってもらうのは嫌だから」そういったジョン・レノンの意向でもあるのです。
ではどのように“ビートルズに触れた人”人達は、ビートルズを聴き始めるのがよいのか。まずはオリジナル・アルバム十三枚と『パスト・マスターズ Vol.1&2』の計十五セットを聴くのが最もよいと思います。
『パストマスターズ』とは、アルバム未収録のシングル曲のA面とB面を集めた作品で、かなり良い仕上がりになっています。正直、この聴き方に勝るものがありません。
Listen to The Beatles! ~赤・青・黄のベスト盤~ Kad Lennon (著) 幻冬舎 (2022/7/29) 1,430円
ビートルズは好きですか?
ザ・ビートルズのベスト・アルバム「赤盤」「青盤」の全楽曲を網羅し、幻の3枚目「黄盤」収録曲を私的セレクト。
各曲の背景や時代ごとの特徴まで、青春を洋楽ブームに捧げた著者が余さず語る渾身の手引書。
【目次】
第1章Listen to The Beatles!
第2章 初 期
第3章 中 期
第4章 後 期
第5章 解散後
第6章 赤盤・青盤・黄盤
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