「週刊文春ミステリーベスト10」国内部門 第1位!
「このミステリーがすごい! 2020年版」国内編(宝島社) 第2位!
「ミステリが読みたい! 2020年版」国内作品ランキング(早川書房) 第2位!
無人のY邸に、なぜ「タウトの椅子」が残されていたのか?
そして、仲睦まじそうに見えた一家は一体どこへ?
感動を超えた人間ドラマがここにある。
北からの光線が射しこむ信濃追分のY邸。
建築士・青瀬稔の最高傑作である。
通じぬ電話に不審を抱き、この邸宅を訪れた青瀬は衝撃を受けた。
引き渡し以降、ただの一度も住まれた形跡がないのだ。
消息を絶った施主吉野の痕跡を追ううちに、日本を愛したドイツ人建築家ブルーノ・タウトの存在が浮かび上がってくる。
ぶつかりあう魂。ふたつの悲劇。
過去からの呼び声。
横山秀夫作品史上、最も美しい謎。
仕事のピークが過ぎました??仕事帰りに書店へ??おっ、前から読んでみたかった「ノースライト」が文庫になってる??即購入??お気に入りのブックカバーに包んで。泡盛を飲みながら、本の世界へ酔いしれます…。#読書#横山秀夫#焼酎 pic.twitter.com/O4EjNU3uVg
— かすく | お酒と読書は心の薬 (@Spirits_fish) November 28, 2021
「住まいの設計においてはリビングなどの主要スペースは陽射したっぷりの南面に配することがあたりまえになっているが、もし北面にレイアウトしたらどうだろう。陽はダイレクトには射さないが、青空や木々に照り返されたマイルドな光が優しく降り注ぐ。南面だと窓外の風景は逆光になってしまうが、北面なら順光で、まさしく一幅の絵画となる。南向きの人生と北向きの人生。フラッシュバックのように挿入される少年時代の記憶も元妻との思い出も建築家としての自恃も、すべてが最後に環となってつながる。南からの光では陰になって見えなかったものも、北からの光によって美しく映える。単純な謎解きを超えた、心の淵に寄せ来る幾重ものさざ波。これこそが本を読む感興というものだろう。凡百のミステリーを超えた、実に奥深い物語世界は、そのまま人の心の奥深さに通底する。ある程度の人生経験を経た中高年限定です。」
「「64」から6年ぶりの新作です。発売日に購入し、いっきに読み切りました。
帯に「横山ミステリー史上 最も美しい謎」とありますが、それと同時にひとりの建築士の再生の物語だと思います。
建築家ブルーノ・タウトの椅子が、物語に厚みを与えています。
文章を読んでいくだけで、目の前に「メモワール」が、次第に建ち上がっていきます。
読後は、暖かいものが胸に広がりました。」「発売日に到着した本作をじっくり、ゆっくり味わいながらの読了となりました。クライマーズ・ハイ、県警モノと最新作が都度最高傑作と評価を得ていた横山秀夫サン。
しかし、希代の傑作『64』を超える作品は発表されないものと思っていたところ発表された本作は『動の64』に対して『静のノースライト』または『深のノースライト』だと感じました。
久しぶりに読書好きの友人に『横山秀夫のノースライト読んだ?』とメールを入れたくなります。
映像化されるのなら、64で原作の意図をブチ壊した単発モノ映画ではなくWOWOWか公共放送協会の連続ドラマが良いですね。」
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