あるひあるとき あまんきみこ(著)、ささめやゆき(イラスト) のら書店 (2020/6/27)

あるひあるとき、ふいに思いだされるたいせつな友だちのこと…。

第二次世界大戦のころ、中国の大連で戦中・戦後をすごした著者が描く。

あのとき、せいいっぱい生きていた幼い子どものこころ。

今、次の世代へ伝えたい

『車のいろは空のいろ』『ちいちゃんのかげおくり』の作者あまんきみこが初めて語る戦時下・大連でのものがたり

第二次世界大戦中、旧満州の大連に住んでいた「わたし」には、大切な友だちがいました。

こけしのハッコちゃんです。片目の墨がながれたような泣き顔でよごれていたけれど、わたしたちはいつもいっしょでした。

でも、戦争が終わり日本へ引き上げることになり、わたしとハッコちゃんは・・・。

あまんきみこの創作の原点である、大連での体験から生まれた珠玉の物語を、ささめやゆきが美しく静かなタッチで描きます。

著者略歴
あまんきみこ

1931年、中国東北部にあった満洲に生まれ、大連で子ども時代を過ごす。デビュー作『車のいろは空のいろ』で日本児童文学者協会新人賞と野間児童文芸推奨作品賞、『こがねの舟』(以上ポプラ社)で旺文社児童文学賞、『ちいちゃんのかげおくり』(あかね書房)で小学館文学賞、『おっこちゃんとタンタンうさぎ』(福音館書店)で野間児童文芸賞、「車のいろは空のいろ」シリーズで赤い鳥文学賞特別賞、『きつねのかみさま』(以上ポプラ社)で日本絵本賞など多くの賞を受賞

ささめやゆき
1943年、東京都に生まれる。ベルギー・ドメルフォフ国際版画コンクールにて銀賞を受賞。『ガドルフの百合』(文・宮沢賢治 偕成社)で小学館絵画賞、『あしたうちにねこがくるの』(文・石津ちひろ 講談社)で日本絵本賞、挿絵の仕事に対して1999年に講談社出版文化賞さしえ賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

「異国の地でいつも一緒に過ごしていたお友達の「ハッコちゃん」。楽しい日常が素朴な文と絵を通して生き生きと描かれていて、心が温かくなります。それだけに、戦争のために「ハッコちゃん」が火の中に消えていかなくてはならないとわかった時の幼い「わたし」の悲しみに胸が熱くなります。一つ一つの言葉と絵が静かに優しく、でも深く心に響くので、何度もかみしめるように読みたくなります。何十年ぶりかに自分のために絵本を買いましたが、大人はもちろん、お子さんのいる方には是非お子さんにも読んで・買ってあげてほしい、素晴らしい絵本です。」

「開拓団の悲劇と比較すると、大連からの引き揚げは確かに相当平穏でありましたが、それでも「日常」から突然切り離されたことが、少女の目線からやわらかく描かれていて参考になります。」

「このお話しはあかるくのびやかに今を生きるユリちゃんが大切にしている《こけし》をみつめながら、著者が幼いころ大切にしていたハッコちゃんという《こけし》をおもいだすことでその時代のこと(戦争)を描いていて小さな子どもたちにもやさしく伝えている。ささめやゆきさんの絵もクレヨン画で著者がいつもハッコちゃんを大切にしているように丁寧に描かれている。著者は願いと祈りをこめて戦時下に生きた幼い子どもたちがいたことを伝え、この絵本の中のユリちゃんたちのあかるくのびやかな笑顔の未来がいつまでもつづき、ひろがりますように、としている。きわめてシンプルな絵本であるけれど、はかり知れないほどの詩的な広がりと大きなメッセ―ジを感じさせる名著といえるのではないだろうか。」


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