BUTTER 柚木麻子 (著) 新潮社; 文庫版 (2020/1/27) 1,045円

若くも美しくもない女が、男たちの金と命を奪った――。

殺人×グルメが濃厚に融合した、柚木麻子の新境地にして集大成。

各紙誌で大絶賛の渾身作がついに文庫化!!

男たちの財産を奪い、殺害した容疑で逮捕された梶井真奈子(カジマナ)。

若くも美しくもない彼女がなぜ──。

週刊誌記者の町田里佳は親友の伶子の助言をもとに梶井の面会を取り付ける。

フェミニストとマーガリンを嫌悪する梶井は、里佳に〈あること〉を命じる。

その日以来、欲望に忠実な梶井の言動に触れるたび、里佳の内面も外見も変貌し、伶子や恋人の誠らの運命をも変えてゆく。各紙誌絶賛の社会派長編。

本作着想の根底には、世に知られた事件があったのは確かだ。しかし物語が進むにつれて、事件からも犯罪者からも遠ざかる。独立したオリジナリティーに富んだ物語が展開される。進路を定めた羅針盤こそ、「女性同士の友情と信頼」である。
山本一力(本書解説より)

「帯に書いてある『読み進むほどに濃厚な味が広がる』一冊。
前半は主人公と容疑者のやりとりが主に書かれていて、休み休み読んでいました。容疑者の聴き取りを仕上げて犯行を明らかにするのかと安易にとらえていました。けれど、途中、主人公の親友の奇行がはじまったあたりから、グッと内容の厚みが増しました。犯行告白が主の単純な作りではなく、複数の複雑な人間心理と成長が丁寧に表現された濃厚な一冊で、後半はイッキ読みしました。登場人物それぞれの抱える問題をときほぐし前進させるきっかけが、結果的に容疑者の言動であったような、不思議な感覚があとを引きました。」

「普段本を読まない人にも読みやすい文章。
そして実際に起きた事件が題材になっているので想像しやすくリアルなストーリーでとても面白かった。
エシレに行っておいしいバターを買いたくなった。」

「柚木さんの小説は、ランチのアッコちゃんのようなホワイトで元気がもらえるストーリーと、ナイルパーチの女子会のようなブラックな心をぞわぞわさせるストーリーがあります。どちらなのか知らずに読みましたが、ストーリーはブラックなのですが、食べ物に関する描写はアッコちゃんのような感じで、自分も作ってみたい、食べてみたい!と思ってしまう文章でした。ちびくろさんぼも、小説の元になった事件もすぐピンと来る世代の女です。現代の女性について、深く考えたり共感できたりする物語を書くのが上手い作者だなぁと思います。
男性はこの小説を読んでどんな風に思うのか知りたい。」


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