コティングリー妖精写真は、1917年と20年にイギリスのコティングリー村に住んでいたいとこである2人の少女フランシスとエルシーが野外で出会った妖精の姿を撮影した不思議な写真である。
公表されるやいなや真偽が話題になり、「シャーロック・ホームズ」シリーズの作者アーサー・コナン・ドイルなどを巻き込んで、当時のイギリスにセンセーションを巻き起こした。
この事件の調査に関わった神智学者エドワード・L・ガードナーが所有していた鞄が、100年を経て海を渡り、日本にやってきた。
その鞄に入っていた貴重な新資料――「2人の少女と妖精」の5枚の写真プリントやネガフィルム、未公開の写真、手書きの手紙・文書などをフルカラーで紹介する。
資料の詳細な解説に加えて、社会的・文化的な背景や心霊写真との比較、写真にだまされる「楽しみ」を論じる論考も所収して、妖精写真から人々の感性や時代性を浮き彫りにする。
25日刊行予定の井村君江/浜野志保編著『コティングリー妖精事件――イギリス妖精写真の新事実』にご興味がある方は、先月に出版されたアーサー・コナン・ドイル『妖精の到来――コティングリー村の事件』(井村君江訳・解説、アトリエサード)もぜひどうぞ。ドイル自身による貴重なドキュメントです。 pic.twitter.com/4cHSNzQYpZ
— 青弓社 (@seikyusha) June 17, 2021
目次
まえがき――「コティングリー妖精事件」の存在意義 井村君江
なぜいまになってコティングリー妖精事件か? 吉田孝一
第1部 新資料「エドワード・L・ガードナーの鞄」
第1章 新資料「エドワード・L・ガードナー遺品」紹介
第2章 ガードナーの鞄の意味 井村君江
第3章 新史料に見る「コティングリー妖精写真事件」の再演、再構成の可能性 井沼香保里
第4章 妖精写真奔走記 浜野志保
参考 コティングリー妖精事件の主な関係者
第2部 コティングリーはいま
第5章 現在のコティングリー 写真:谷津 翆
第6章 コティングリーのいま、リーズ大学調査 井村君江
第7章 「コティングリー妖精事件」100周年記念講演/現在のコティングリー村 富田実加子
第8章 ヘイゼル・ゲイナー氏インタビュー 富田実加子
第3部 妖精事件をめぐって
第9章 コティングリー妖精写真と心霊写真 赤井敏夫
第10章 ジョー・クーパー 井村淳一
第11章 妖精写真「ごっこ」の真実 鏡 リュウジ
第12章 ポスト・ファクチャルなフェアリー事件のこと 高山 宏
第13章 写真にだまされる楽しみ 浜野志保
第14章 コティングリー妖精写真の航跡をたどって――エドワード・ガードナーの鞄とガラス乾板の冒険 メリック・バロー On the Trail of the Cottingley Fairies Photographs: Edward Gardner’s Briefcase and the Adventure of the Glass Negatives(Merrick Burrow)
妖精写真ふたたび――あとがきにかえて 浜野志保
あとがき 井村君江
|