デジタル化する新興国 伊藤亜聖(著) 中央公論新社 (2020/10/20)

デジタル技術の発展は、新興国・途上国の姿を劇的に変えつつある。

中国、インド、そしてアフリカ諸国は今や最先端技術の「実験場」と化し、スーパーアプリや決済などで先進国を超える面すら生じている。

一方、デジタル化は良質な雇用を生まないのでは、権威主義国家による監視が強化されるのでは、と負の側面も懸念される。

技術が増幅する「可能性とリスク」は新興国をいかに変えるか。そして日本はどうすべきなのか。

「なにげなく書店で目についてその他とまとめて購入した本ですが、思わず引き込まれ、まる1日かけて読了しました。新興国におけるデジタル化の現状とコロナで加速するという見通し。それらは米中のデジタル覇権争いにからむという地政学的な考察。日本の出遅れたデジタル化といったビジネスからの視点。過去・現在・そしてデジタル化時代の日本の開発論(ODA論)の3つの軸が良くまとまっていました。脱亜入欧といった発想がリバースした新しい時代の息吹を感じさせる好著として読了しました。また、QRコードから図表と画像にアクセスできるのも親切で斬新に感じました。」

「筆者は若いのに、現地に滞在して感じた印象の裏付けがあるようだ。日本の役割のところが出来るか?筆者も疑問なのでは?新興国の在外公館や駐在員が、つぶさに見て日本に還流するというのが正解かも。」

「デジタル化が雇用や経済にもたらす影響について新興国の動きを事例に広い視野から解説。
デジタル化は「SDGs」の「強靱なインフラ構築とイノベーションの推進」の目標達成に貢献。いわゆる新興国では後発の強みを生かして携帯などの次世代技術が爆発的に普及、多くの参加者による試行錯誤が革新を生んでいる。2010年代以降新興国のIT企業は先進国企業が提供するインフラに立って事業を展開しており、今後もその傾向。デジタル経済によって生まれる人材はツールを開発できる「IT人材」、情報を発信できる「クリエイター人材」、特殊な技能は不要な「ラスト・ワンマイル人材」に分類され、労働市場を再定義、流動化しうる。コロナ危機で、欧州の一部では多くの情報を活用する方向である一方、権利意識の低いとされていた中国では個人の権利を保護すべきとの方向になっているのは興味深い動きとしています。」


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