ヤングケアラー 介護を担う子ども・若者の現実 澁谷智子(著) 中央公論新社 (2018/5/18)

18歳未満の子どもや若者が家族の介護を行わねばならない状況を論じた一冊。

高齢社会を迎える中、子どもや若者と介護の関係は、目を向けるべきテーマだ。

本書は、調査の結果や当事者の声、そして海外のケースなどを踏まえ、今後の取り組みを考える。

「私たちはいままで「介護」や「ケア」と言えば、中高年以降の課題だと思ってきたかもしれない。だが少子高齢化や晩婚化が進めば、介護の担い手はおのずと低年齢化せざるを得ない。この本は、私たちの社会で静かに進行していた問題を、具体的なデータをもとに明らかにしてくれる。
「大人の私ですら、しんどいと思っていたこうした葛藤を、ヤングケアラーたちは未成年の子どもとして経験する - そのことに気づいた時、私はヤングケアラーのためにできることをしたいと強く思った。」
学術的な性格の強い本なのに、全編を通して流れる筆者の優しい温かさ。
こんな子どもたちがいることを、少しでも多くの方にぜひ知ってほしいと思う。」

「私はヤングケアラーでした。
介護をはじめて20年以上になります。祖父の介護をしていた母が難病を発症し、入院してしまったところから始まります。
ヤングケアラーの年齢は過ぎましたが、ずっとケアラーであり続けています。
あの頃は1日1日どう切り抜けるかで精いっぱいでした。ほんの少しの息抜き手抜きさえも許されず、その崖っぷちを共有しようとしても教師も友人ももっと私を追い詰めることしかしませんでした。
20年前にこの本にあるようなイギリスの事例を知っていれば、どれだけ勇気づけられたでしょうか。
私には助けてくれる人はいませんでしたが、これからどんどん支援が広がっていってくれたらいいなと思います。」

「複数の自治体の取り組みを紹介したり、ヤングケアラー支援先進国イギリスの事例など、豊富なフィールドワークが200ページほどの本書を説得力あるものとしています。
ヤングケアラー問題もまた、子どもの貧困の一事例と言えるでしょう。
「家族なんだから助け合うのが当たり前」との考え方は私もぼんやりとは持っていますが、そんな生半可な常識が崩れ去ってしまう程の過酷な現実がここにはあります。
運動会の日に弟の弁当を作っていて自分の競技に出られなかった子どもが校長室で泣きながら話をしたくだりでは、思わず涙がこぼれました。
子どもたちが教育を受ける権利を等しく享受できるような、そんな社会にするために何ができるのか、考えさせられました。」


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