十二単を着た悪魔 内館牧子(著) 幻冬舎 (2014/12/4)

59もの会社から内定が出ぬまま大学を卒業した二流男の伊藤雷。

それに比べ、弟は頭脳も容姿も超一流。

ある日突然、『源氏物語』の世界にトリップしてしまった雷は、皇妃・弘徽殿女御と息子の一宮に出会う。

一宮の弟こそが、全てが超一流の光源氏。

雷は一宮に自分を重ね、光源氏を敵視する弘徽殿女御と手を組み暗躍を始めるが……。

エンタメ超大作! !

「まさに目からウロコの視点。源氏物語をこんな視点から見ることができるなんて!
敵役、脇役が当然の弘徽殿の女御が主役だなんて!
大学時代、ドイツ文学専攻だった私ですが、源氏物語も受講しました。光源氏の女グセの悪さに辟易しながら、「こんな男のどこがいいのさ」とつぶやきながら。単位を取るために仕方なく受講したのです。でも、あの頃この小説が出版されていて、私が読んでいたなら、間違いなく専攻を国文学に変更していたはず。(四十年近く前のことです。すみません)それくらいの衝撃を私に与えました。
これからもう一度、源氏物語に挑戦します。
「あの頃読みたかった!」 これ、最高の褒め言葉ですよ、内館さん。」

「源氏物語は元々好きだったことから、なんの気なしに手にしたこの本。
レビューもよさそうだしと軽い気持ちで購入したのに、どんどん引き込まれてしまいました。

源氏物語の中にトリップするなど、普通では考えられない設定ですが、そんなことはどうでもいい。
性悪なはずの弘徽殿女御が、現代にいたら気持ちいいくらいさっぱりした女性として描かれているのが新鮮です。
主人公の妻子が亡くなるあたりでは、涙が止まらなくなり困りましたが、互いに慈しみ、素晴らしい関係を築いていることが丁寧に描かれてきたからこそ感情移入できたのだと思います。」

「今まで、敵役としての弘徽殿の女御しか見てこなかったから、この作者の視線は新鮮でした。
正室は政略結婚、ほとんど年上、うまくいくはずもないという思い込みで、「かどかどし」と
評される弘徽殿の心の中を見ようともしなかった。
しかし、この物語の弘徽殿の魅力的、人間的なことといったらどうでしょう。
残念ながら、主人公の雷は、「源氏物語」の中の光源氏がそうであったと同じく、舞台を転換させていく
狂言回しに過ぎない。紫式部も、内館牧子さんも、本当に描きたかったのは女性たちの姿だと思います。
多角的な視点から、もう一度源氏物語を読みたいと思いました。」


(クリックするとAmazonのサイトへジャンプします)

 

おすすめの記事