草々不一 朝井まかて(著) 講談社 (2021/9/15) 968円

泣ける。笑える。心がほっこり温まる。

身分としきたりに縛られた暮らしにも、喜怒哀楽、切なくも可笑しい人生の諸相があった。

江戸の武家の心を綴る、傑作時代小説短編集。

朝井節、ますますの名調子。

1冊に長編8作分の人生が。

「紛者(まがいもの)」助太刀を頼まれた、浪人者の信次郎。頼まれたら断れないのが武士だが。
「青雲」立身する者とできぬ者。分かれ道を説く上司に悩まされ。
「蓬莱」大身の旗本家へ婿入りしたはいいが、妻から3つの約束をさせられて。
「一汁五菜」刀ではなく包丁で仕える江戸城の料理人が、裏稼ぎに精を出す。
「妻の一分」大石内蔵助の妻、りくにとっての忠臣蔵を、そばで見守った者がいた。
「落猿」藩の外交官である江戸留守居役が、公儀との駆け引きの最中に。
「春天」剣術指南所の娘と二刀流の修行人。剣で心を通わせた二人の行く末は。
「草々不一」漢字を読めない隠居侍が、亡き妻の手紙を読むため手習塾に通い始める。

著者について
朝井 まかて
1959年、大阪府生まれ。甲南女子大学文学部卒業。2008年、第3回小説現代長編新人賞奨励賞を『実さえ花さえ』(のちに『花競べ 向嶋なずな屋繁盛記』に改題)で受賞してデビュー。2013年に『恋歌』で第3回本屋が選ぶ時代小説大賞、2014年に同書で第150回直木賞、『阿蘭陀西鶴』で第31回織田作之助賞、2015年に『すかたん』で第3回大阪ほんま本大賞、2016年に『眩』で第22回中山義秀文学賞、2017年に『福袋』で第11回舟橋聖一文学賞、2018年に『雲上雲下』で第13回中央公論文芸賞、『悪玉伝』で第22回司馬遼太郎賞。2019年に大阪文化賞。2020年に『グッドバイ』で親鸞賞、2021年に『類』で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。他の著書に『ちゃんちゃら』『ぬけまいる』『藪医 ふらここ堂』『輪舞曲』などがある。

「一編が短く、通勤の合間に読むのにちょうど良かった。話も、テーマ自体は暗いものが多いが、登場人物が魅力的で読み終えたあとの気持ちは暗くならなかった。」

「小気味好い短編で構成されておりそれぞれに味わいがあり、楽しめる作品です。」

「八つの短編時代小説集。短篇とはいえ、どれもこれも味わい深く、しっとりとした余韻を残します。帯にある「一冊に長編八作分の人生が。」というコピーは嘘ではありません。とりわけ、タイトル作である「草々不一」は面白い。主人公、息子、手習いの先生、子供達の人物造形がしっかりと出来ているため、まるで映画を観ているようでした。まだ読後の余韻が覚めません。」


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