この者は、神か、悪魔か――。
気鋭の著者が、医療の在り方、命の意味を問う感動巨編。
大学病院で、手術支援ロボット「ミカエル」を推進する心臓外科医・西條。
そこへ、ドイツ帰りの天才医師・真木が現れ、西條の目の前で「ミカエル」を用いない手術を、とてつもない速さで完遂する。
あるとき、難病の少年の治療方針をめぐって、二人は対立。
「ミカエル」を用いた最先端医療か、従来の術式による開胸手術か。
そんな中、西條を慕っていた若手医師が、自らの命を絶った。
大学病院の闇を暴こうとする記者は、「ミカエルは人を救う天使じゃない。偽物だ」と西條に迫る。
天才心臓外科医の正義と葛藤を描く。
先日、久しぶりに”名刺代わりの10選”を更新しましたが、僕が重視したのは読後の満足感
読み終わって「すごく面白かった」という作品よりも、「良かったなぁ、うん、すごく良かった」と数日間は余韻に浸れるような作品が大好物です
本日の購入本は柚月裕子さんの『ミカエルの鼓動』
読後感はいかに pic.twitter.com/GUC2kBRWkg
— しなっちょ♂@?????????好き (@shinattyo1976) October 11, 2021
著者略歴
柚月裕子(ゆづき・ゆうこ)
1968年岩手県生まれ。2008年「臨床真理」で第7回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、デビュー。13年『検事の本懐』で第15回大藪春彦賞、16年『孤狼の血』で第69回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)を受賞。同年『慈雨』で〈本の雑誌が選ぶ2016年度ベスト10〉第1位、18年『盤上の向日葵』で〈2018年本屋大賞〉2位となる。他の作品に『あしたの君へ』『検事の信義』『暴虎の牙』『月下のサクラ』など。
何故、柚月裕子の作り上げる世界に魅かれるのか?それはあらゆる欲に塗れた人間の中にある醜悪な本性を暴きながらも<個>の尊厳を信じようとする或る気付きに裏打ちされているからでしょう。西條の妻とその母との<共依存>を愛のようでいて愛ではないと看破し、たとえ人は独りで生き抜いているように見えても、独りで生き抜けるわけではないという真実を常に突きつけれくれます。
プロローグ、大雪山、旭岳を登る登山者の姿でこの物語は幕が上がります。彼は何処からきて、一体どこへむかうのだろう。」
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