ベストセラー『7つの習慣 最優先事項』の翻訳家はなぜ出版業界を去ったのか?
出版界の暗部に斬りこむ天国と地獄のドキュメント
30代のころの私は、次から次へと執筆・翻訳の依頼が舞い込み、1年365日フル稼働が当たり前だった。
その結果、30代の10年間で50冊ほどの単行本を出すに至った。
が、そんな私もふと気がついてみれば、最後に本を出してから8年以上も経っていた。
――なぜか?
私が出版業界から足を洗うまでの全軌跡をご紹介しよう。
――本書は、翻訳家を夢見る青年が必死でその夢を掴み取り、一躍売れっ子になり、しかし業界に失望し、トラウマを抱え、足を洗うまでの軌跡である。
本書に登場する出版社
- A書房:セミナーや講演会も開催する中堅出版社。社長名の書籍が多いのが特徴。
- B書院:大学の教科書や、専門書、医療関連書籍を刊行している出版社。
- Cセラーズ:某プロ野球選手や有名占い師のベストセラー本で有名。
- D社:文京区にある、雑誌も多数刊行する大手総合出版社。
- E出版:翻訳物、健康書を出す、社長と社員の2人出版社。
- F舎:子会社を複数有する出版社。著名社長に複数の著書あり。
- G出版:月刊誌も刊行している、某法人のグループ出版社。
はじめにより
怒りとやるせなさで一睡もできないまま夜を明かしたことも幾度もあった。
約束していたはずの印税が突然カットされる、発行部数もカットされる、出版時期をずるずる何年も遅らされる、
印税の支払いもそれに連動して遅らされる、編集者から知名度の低さを小馬鹿にされる……。
この程度のことは日常茶飯事だった。
本書では、出版翻訳家として経験してきた「天国」と「地獄」を包み隠さず語ろうと思う。
出版翻訳家(およびその志望者)はもちろん、出版翻訳家の生態を覗いてみたいという人や、
出版翻訳家には興味がなくても努力がひょんな形で実ったり、自分の利益だけを追求した人間が最後にもがき苦しむことになったり……
といった運命の数奇さに興味がある人にも楽しんでいただけると思っている。
「読書家の人、あるいは作家になりたい人はぜひ読んで欲しい本だと思った。作家、翻訳家のこと、出版界のことが手にとるように分かる。そして、その実態に驚かされると思う。さらに作家になりたい人は、著者の宮崎伸治氏がどうやって出版界にデビューーしたか、その方法を教えてくれるからだ。」
「ストーリーが面白いので一気に読了。とくに「7つの習慣」を翻訳して一躍有名になるまでのプロセスにはわくわくさせられる。いろんな苦労もあるけれど、夢を持って頑張れば、いつかは成功できるという好例だろう。
だが、後半ではトラブルが多発するし、愚痴も目立つ。著者が自分の主張を押し通して妥協をしないのも原因かもしれない。確かに出版業界の体質には理不尽やいい加減さを強く感じるが、人気商売なのだから仕方のないこともあるだろう。かりに出版ができなくても、時期を待つという選択肢もあったと思う。
著者のように調停や裁判が常に頭にあると精神衛生上よろしくない。燃え尽きてしまって職業的な「死」を迎えたのも、自らの意思決定の帰結ではないかと思えてくる。出版業界の内幕についての暴露話は興味深いが、なんだかなあという読後感が残ったのは否めない。」「本棚がきつきつであまり本を買わないのですが同業者なので、つらい告白を聞かせてもらったお礼にKindle版購入しました。つらい内容に思わず涙がでました。共感できる部分がたくさんあり、著者にはまたぜひ気持ちを切り替えて翻訳を再開してほしいと祈らずにはいられませんでした。これを見られたら、翻訳の世界にぜひ帰ってきて欲しいと思います。」
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