平安末期。
十二歳の少年・駒王丸は、信濃国木曽の武士・中原兼遠の養子として、自然の中でのびのびと育つ。
兼遠の息子たちとも実の兄弟のように仲良く過ごすが、彼は父と母の名も自分が何者なのかも、いまだ知らずにいた。
ある日、駒王丸はささいなきっかけから、同じく信濃の武士の子・根井六郎と喧嘩になる。
だが、同等の家格であるにもかかわらず、六郎と根井家当主が後日謝罪に訪れる。二人は畏れ多そうに深々と頭を下げて言う。
「駒王丸殿はいずれ、信濃を束ねる御大将となられる御方。我ら信濃武士は、ゆくゆくは駒王丸殿の旗の下に集わねばならぬ」
21日到着と連絡が来ていたはずの天野純希「猛き朝日」、昨日の夕方にもう準備できましたというメールが来て、一転して発売日前なのにゲットしました!
ホントわからねえよ書籍の流通システム…… pic.twitter.com/9Whk9M6yzs
— 白蔵 盈太/Nirone @「義経じゃないほうの源平合戦」文芸社文庫で発売中 (@Via_Nirone7) February 17, 2023
初めて知る実父の存在、自らの壮絶な生い立ち。
駒王丸、のちの木曽義仲の波乱の生涯が始まろうとしていた。
類い希なる戦の腕で平家を追い落とし、男女貴賤分け隔てない登用で、頼朝・義経より早く時代を切り拓いた武士。 彼が幕府を開いていれば、殺戮の歴史はなかったかもしれない。
「彼の一生は失敗の一生也。彼の歴史は蹉跌の歴史也。
彼の一代は薄幸の一代也。然れども彼の生涯は男らしき生涯也。」――芥川龍之介
日本史上最も熱き敗者、「朝日将軍」木曽義仲の鮮烈なる三十一年。
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