猛き朝日 天野純希 (著) 中央公論新社 (2023/2/20) 2,530円

平安末期。

十二歳の少年・駒王丸は、信濃国木曽の武士・中原兼遠の養子として、自然の中でのびのびと育つ。

兼遠の息子たちとも実の兄弟のように仲良く過ごすが、彼は父と母の名も自分が何者なのかも、いまだ知らずにいた。

ある日、駒王丸はささいなきっかけから、同じく信濃の武士の子・根井六郎と喧嘩になる。

だが、同等の家格であるにもかかわらず、六郎と根井家当主が後日謝罪に訪れる。二人は畏れ多そうに深々と頭を下げて言う。

「駒王丸殿はいずれ、信濃を束ねる御大将となられる御方。我ら信濃武士は、ゆくゆくは駒王丸殿の旗の下に集わねばならぬ」

初めて知る実父の存在、自らの壮絶な生い立ち。

駒王丸、のちの木曽義仲の波乱の生涯が始まろうとしていた。
類い希なる戦の腕で平家を追い落とし、男女貴賤分け隔てない登用で、頼朝・義経より早く時代を切り拓いた武士。 彼が幕府を開いていれば、殺戮の歴史はなかったかもしれない。

「彼の一生は失敗の一生也。彼の歴史は蹉跌の歴史也。
彼の一代は薄幸の一代也。然れども彼の生涯は男らしき生涯也。」――芥川龍之介

日本史上最も熱き敗者、「朝日将軍」木曽義仲の鮮烈なる三十一年。


(↑クリックするとAmazonのサイトへジャンプします)

 

おすすめの記事