2022年4月から年金制度改正…将来本当にもらえるの??

「自分たちも本当にもらえるのか?」と、不安の声がよく聞かれる年金問題。

2022年4月より施行される年金制度改正法では、どのような改正が行われ、そこから何が読み解けるでしょうか。

これまでより「長い期間にわたり」働くようになる…

令和2年6月5日に公布された「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」が、2022年4月よりついに施行されます。

改正の概要には、主に以下の4点が挙げられます。

(1)被用者保険の適用拡大
(2)在職中の年金受給の在り方の見直し
(3)受給開始時期の選択肢の拡大
(4)確定拠出年金の加入可能要件の見直し等

多くの制度が見直されている本改正ですが、その意義はどのようなものとされているのでしょうか。

厚生労働省のホームページからみていきましょう。

“今後の社会・経済の変化を展望すると、人手不足が進行するとともに、健康寿命が延伸し、中長期的には現役世代の人口の急速な減少が見込まれる中で、特に高齢者や女性の就業が進み、より多くの人がこれまでよりも長い期間にわたり多様な形で働くようになることが見込まれます。こうした社会・経済の変化を年金制度に反映し、長期化する高齢期の経済基盤の充実を図る必要があります。”『厚生労働省ホームページ』より

「多くの人がこれまでよりも長い期間にわたり」「働くようになる」と、はっきりと記述されています。

では、それに伴って年金の受給開始時期は遅くなっていくのでしょうか。

しかし読み進めていくと、

“高齢期の就労の拡大等を踏まえ、高齢者が自身の就労状況等に合わせて年金受給の方法を選択できるよう、繰下げ制度について、より柔軟で使いやすいものとするための見直しを行います。現行制度では、60歳から70歳まで自分で選択可能となっている年金受給開始時期について、その上限を75歳に引き上げます。繰下げ増額率は1月あたり、プラス0.7%(最大プラス84%)となります。この制度改正は、令和4年4月から適用され、令和4年4月1日以降に70歳に到達する方(昭和27年4月2日以降に生まれた方)が対象です。なお、現在65歳からとなっている年金支給開始年齢の引上げは行いません。”『厚生労働省ホームページ』より

とあります。

「なお、現在65歳からとなっている年金支給開始年齢の引上げは行いません」と太字で記されており、今回の改正で受給開始が遅くなるというわけではありません。

「あくまで個人の意思で、受給開始を遅らせる選択ができる」というところに留まっています。

平均寿命が伸びているとはいえ、自身の寿命がどれくらいであるかは誰にもわかりませんから(定期的に健康診断を受診することである程度ははかれるかもしれませんが)、受給開始時期を自身の判断で遅らせるかというと、悩ましいところではないでしょうか。

年金制度が破綻していることは「全くありません」

改正に関しての同ホームページのQ&Aでは、記事冒頭に記した「年金、将来、自分たちも本当にもらえるのか?」という不安について明確に回答していました。

“Q.少子高齢化が進行すると、若い世代の年金額は減ってしまうのではないでしょうか?

A.年金制度は、5年に一度、健康診断のような形で行う「公的年金の財政検証」によって100年先までの見通しを検証しており、令和元年の財政検証では、若い世代が将来受け取る年金は、経済成長と労働参加が進むケースでは、引き続き、将来の時点で働いている人々の賃金の50%を上回る見込みです。年金制度が破綻している、若い世代は年金を受け取れない、といったことは全くありません。”

回答にある「公的年金の財政検証」は2019年(令和元年)に行われています。

「2019(令和元)年財政検証結果のポイント」より前提となったデータをみると、前回との比較(中位推計)において、出生率は1.35(2060年)から1.44(2065年)に向上、平均寿命は男性84.19歳・女性90.93歳(2060年)から男性84.95歳・女性91.35歳(2065年)は伸長、高齢化率は40.4%(2065年)から38.4%(2065年)に低下しています。

平均寿命は伸長しているものの、出生率の向上、高齢化率の低下が前提とされており、翌年に公布された「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」が少子高齢化による現役世代の減少を前提としていたことと照らし合わせると、違和感を覚える人もいるかもしれません。

また前回との比較において、「労働参加は就業率58.4%(2030年)から60.9%(2040年)に進展」と強調されている点についても、コロナ禍を経験した現在からみると、前提が変わってくるのではないかと気がかりではあります。

「公的年金の財政検証」は5年に一度実施されています。コロナ禍を経て、次回の前提はまた変わってくるでしょう。状況を鑑みると、受給年齢の引上げは大いにあり得そうです。

ネットの声

「少子化だから、それと合わせて景気も回復しないと、難しいかなって?無くなりはしないと思うけど、わからないです。法律ってよく変わってるみたいだから、いつどうなるか?病気とかないなら高齢でも介護職なら沢山、寧ろしないといけない気がする。若い人達だけで支えるのは無理な気がします。ピラミッド形式と逆になるって世の中想像したら本当に若い人たちが参ってしまいそう。昔の人が子供沢山産んでた時代今の人、産まない選択肢する人、の方が多いから、自然に考えても想像したら高齢でも元気なら介護職をしなきゃいけない気がする。年金は働けるなら高齢でもかけるしかない気がします。」

「現役世代の稼ぎと平均寿命の動向で調整されるマクロ経済スライドが適用されているので、支給開始年齢の引き上げは必要ないだろう。問題は支給水準だが、これはこの先二十年間はほぼきまっている人口とどれだけ国富が増えるかによるので、ジジイとしては出来るだけはたらくしかない。更に、それ以降改善するよう考えないと、ジリ貧は続く。公務員は新たに実質3階部分を作ってしまったが、そこは公平性に疑問が残る。」

「高齢期の就労拡大?
どんな求人があると思っているのだろう。清掃、警備など若い人もやりたがらない仕事しかない。それすらも最近は失業している中年クラスの人に奪われ、きつい汚い安い仕事しかない。高齢者にはとうてい続けられるものではない。
最近あった新潟県の製菓工場の火事でもなくなった清掃員の人達は殆ど高齢者、しかもあんな時間帯にまで働いている。」

おすすめの記事