「掃除機」はあくまで最終手段…意外と知らない「喉にモチを詰まらせた時」の正しい対処法
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約3割近くが1月に発生
新しい年を迎え、1月になると突然増える家庭内での事故が「餅による窒息事故」。
「巣ごもり需要」などによって餅の売上も増加しているようですが、もしも家族が目の前で餅を詰まらせたら?
厚生労働省の人口動態調査資料によると、食物などを原因とする家庭内での窒息による、65才以上の年間の死亡事故は毎年平均4000人以上を数えるそう。
そしてその事故を救急搬送者数で見ると約3割近くが1月に発生しています。
これは日本人が正月に餅を食べる習慣があり、高齢になると唾液が減ったり、噛む能力や喉の筋力が衰えたりするため「嚥下力(物を飲み込む能力)」が急速に落ちることが要因として考えられます。
実は人の物を飲み込む能力は中年世代から低下する傾向があるのです。
食べ物がよく誤って気管に入ってしまい、むせるような経験がある人はすでに嚥下障害の可能性があり、肺に異物が入り込むことによって発生する重篤な「誤嚥性肺炎」になりやすいとも言われています。
決して、自分が若いからと安心しない方が良いでしょう。
とはいえ、高齢者の餅に対する危険のほうが極めて高く、帰省もままならない昨今では、故郷に残した親世代へも注意喚起をしておかなければいけません。
お正月なのでお餅を食べるときに「もちが喉に詰まるからよく噛んでね」と念の為に注意したら
長男が「もちじゃなくて、気持ちが喉につまって苦しくなることもあるよね」と返してきました。
初春じゃなく、青春か???
(私は、餅の方が喉に詰まるわ笑)写真は栃木ではお馴染みの豆餅です?? pic.twitter.com/CIFxTFyYNz
— 君嶋きのこ園@お歳暮受け付け中?? (@kimijimakinoko) January 2, 2022
「背部叩打法」と「ハイムリック法」
さて目の前で喉に餅を詰まらせて、苦しんでいる人がいたらどうしたら良いでしょうか。
まずは最初に日本医師会が推奨する基本的な方法を紹介します。
声も出せずに餅が喉に詰まって苦しんでいるということは、食道ではなく、気道を塞いでしまっているということ。
食道の詰まりであればすぐに生死に関わることではなく、飲み物で流し込むことでも解消できます。
まずはすぐに、当人が正常に息が出来ているかどうか確認してみましょう。
気道に物が詰まっている場合には激しく咳き込み、顔が赤紫色になるようなことであれば事は急を要します。
そのまま状況が改善しなければ、まもなく意識を失い死に至ることになります。
異物除去の応急処置を行わなければいけませんが、ためらわずに、すぐ救急車を呼んでおきましょう。
応急処置が功を奏すれば良いのですが、呼吸が止まり、脳に酸素が送られなくなると数分で心停止が起き、そのまま絶命するか、仮に心拍が戻っても脳に大きなダメージが残ってしまう可能性があります。
その場合はAEDなどで心肺蘇生や心臓マッサージを行う必要がありますが、ここではまず異物の除去に関して説明します。
気道に物を詰まらせた人は、まず喉を両手で抑えるような仕草(チョークサイン)をし始めます。
まだ意識がある場合は、まずは「咳をして!」と声をかけることです。
咳は気道からの異物排出に非常に効果的。
それでも異物が排出されない場合は、まずうつむき加減にさせて肩甲骨の間を思い切り叩く「背部叩打法(はいぶこうだほう」を試してみましょう。
それでも排出されない場合は、その人の後ろに回り込み、上腹部で両手を組んで上に突き上げることで異物を押し出す「ハイムリック法」を試みる。
この「背部叩打法」と「ハイムリック法」を交互に繰り返します。
※ハイムリック法は幼児や小さな子供には内蔵損傷の可能性があるので行ってはいけません。
掃除機は「最後の手段」
また掃除機などで異物を吸い出す方法は、医師会のサイトでも「最後の手段」とされていて推奨はされていません。
サッシのゴミを吸い込むような細いノズルが必要であることと、喉の奥に差し込む前にスイッチを入れると舌を吸い込んでしまったり、ノズルの先でかえって異物を中に押し込んでしまったりする事例が見られるからです。
しかし、生死の境目にある場合はそんなことも言ってはいられません。
あらゆる手段を講じるべきだと考える人も多いでしょう。
あくまで購入や使用については自己責任になりますが、ネット上には「吸引ノズル」として掃除機用に取り付けることのできる吸出し器具も販売されています。
高齢者のいるお宅では事前に用意しておくというのも一案ではあります。
何よりも、餅による窒息死を避けるには「予防」が重要。
基本的なことですが、高齢者が安全に食べるためには、
「餅を一口で食べれるように小さく切って少しずつ食べること」
「喉にはりつかないようにお茶などの飲み物や、お吸い物などで喉を潤してから食べること」
「ゆっくりとよく噛んでたべること」
が必要です。
よく噛むことで唾液の分泌も活発になるため、スムーズに飲み込むことが可能になります。
周囲の家族も見守りながら、よく噛んで食べているか確認することが大事です。
毎年、孫や子供たちが正月に集まることを楽しみにしている両親たちが、一人寂しく餅を食べてしまい、喉に詰まってしまう事故に遭うことだけは避けなくてはいけません。
少なくとも電話で声掛けをして、餅のリスクと事故の予防に関することだけは伝えておく必要があります。
ネットの声
「緊急時の対処法も大切なのだが、それより大切なのは予防。餅を詰まらせるなら詰まらないサイズにまで切り分けるのもアリだろう。1/6にまで餅に切り込み小さくする手間で事故を防げるなら安いもの。一般人で緊急緊急事態だ!と認識してから最適解の行動を取れる人はそうそう居ないんよ。考えるよりも速く体を動かすには体を使った訓練を相当数こなすしかない。事故は予防が一番、対処法を知っていてもその時にやれるかは解らない。」
「掃除機は推奨しないというが背面叩き法やハイムリックが使えないならやらざるを得ないと思う。窒息死する瀬戸際で異物を吸うとか傷つけるとか言ってられないと思う。
傷なら治せるし、窒息以外ならその後の治療で対処可能だ。」「緊急時の対処法を、イラストと一緒に市販のお餅の袋に載せるのどうでしょう?「タバコは有害です」と載せるみたいに。縁起でもないけど、命にはかえられないよ。」