面接で内定がもらえる就職試験は終わった…

「IQよりもEQ」は遠い昔…就職試験がどんどん難化しているワケ

厚労、文科両省が公表した、今春に大学を卒業した学生の就職内定率は95.8%でした。

新型コロナウイルス感染拡大で過去2番目の下落幅を記録した前年に続き、2年連続で前年を下回ったものの、コロナが一段落したこともあり、来春以降の採用については回復傾向にあるそうです。

6月から“ヤマ場”を迎えるとされる就職活動(就活)ですが、かつてと今の就活風景はガラリと変わっているようです。

大学3年生は5月の連休明けから…

関西地方の国立大3回生の石川千佳さん(仮名)がこう言います。

「今は5月の連休明けから、さまざまな企業で3年生を対象にインターンシップの受付が始まります。学生の間では、このインターンシップが事実上の就活1次選考と言われているのですが、通過するための資格条件のハードルが高く、試験がとにかく難しい。まず、大手では(英語試験の)TOEICが最低でも650点~700点ぐらい必要で、その次は適性検査と称するSPI試験を課せられます。空間図形やマーケティング理論を踏まえた問題に至るまで、幅広い知識を問われるのですが、『この問題を解ける学生いるの?』と思うぐらい難しいですね。でも、試験を突破してインターンシップを勝ち取り、その企業に適性を認めてもらえれば、9~10月ぐらいに『内々定』を得られる場合もあるので、皆、必死です」

インターンシップは善し悪し?

いやはや、大学よりも雀荘にいる時間の方が長く、4年生になってから重い腰を上げ、「名ばかり採用試験」で就職した多くの現役サラリーマンは、今の採用試験はまず突破できないでしょう。

そんな昭和世代が採用する側となり、今の学生らに厳しい試験を課しているのだから複雑です。

大手ソフト会社の中には、夏休みのインターンシップ期間中、学生に対して、月額30万円以上の給与を支給し、交通費も負担してくれるというから「破格の厚遇」でしょう。

「確かに破格なのですが、夏休みの1カ月間まるまる拘束されるので、他の企業のインターンシップに参加できません。おそらく企業にとっては一種の『囲い込み』なのでしょうが、複数企業に興味がある学生は『どうしようかな』と。インターンシップを断ると、その企業の採用試験は二度と受けられないので、皆、悩んでいます」(石川千佳さん=前出)

やっぱり地頭が良い方が…

なぜ、採用試験は難化しているのでしょうか。

大手総合商社で採用を担当した経験を持つ人事コンサルタントの菅野宏三氏がこう言います。

「かつて採用の現場では『IQよりもEQ』だとか、『即戦力だ』と言われた時代もありました。少しぐらい偏差値が低い大学の学生であっても社会性が高く、コミュニケーション能力があり、話術に長けた学生の方がビジネスの現場で即戦力になった時代もあったからです。しかし、よくよく長い目で見ると、結局、会社を支えているのは入社時に地頭の良い学生でした。企業はそこに改めて気付き、難しい試験を課すようになったのだと思います」

「名ばかり採用世代」も酔っぱらって会社の悪口を言っている場合ではないのです。

ネットの声

「就職試験でこれからの時代に必要となるであろう基礎能力と目標を持った学生を集めようと企業も工夫を凝らすことは理解できます。そのために学生はエントリーシート 適性検査 英語・情報活用、様々な体験活動等で自分をアピールするのは大変なことだと思います。でも残念ながら会社組織は時代のスピードについていけていない会社が多いと思います。入社してから驚くことがあると思います。人事は新卒採用とともに会社組織のアップデートにそれ以上の力を入れないと新卒社員の能力を生かせず、結局いくら採用にコストをかけても無駄に終わってしまいます。入社してからのフォローもしっかりやって定着率の向上をお願いします。」

「昭和の時代、難しい試験を課していたのは役所や役所に近い公的機関くらいで、大半の企業はほぼ無試験。しかも大学の成績もほとんど考慮しない有様でした。
だから、多くの学生は講義に出るよりアルバイトやサークル活動に精を出していたと思います。
今ではそんな学生は少なくとも名の通った大学にはいないとまず思います。
昔と違ってキチンとした学生生活を送っている人が多いのは本人にとっても親御さんにも良いことだと思います。」

「私のいる会社では役に立つ人というのは、誰もやりたがらない複雑で面倒で難易度が高い仕事を処理してくれる人が、本当に有難いと感じる人です。
そういう事が出来る人は、結局はIQが高い人となってるように思います。そしてそういう人を採用したいときは、ある程度の大学から選んだ方が高いIQの持ち主に出会う確率が高いです。」

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