ステーキよりもおにぎりのほうが太るよ!

「ステーキ200グラムより、おにぎり1個のほうが太ります」糖尿病専門医が語る“脂肪を食べても太ることはない”驚きの理由

人はどうして太ってしまうのか。

そして、なぜ痩せられないのか。

それは私たちのせいではありません。

知らず知らずのうちに、脳内が糖質に侵されて「糖質中毒」になってしまったからです。

では、何を食べてよくて、絶対に食べたり飲んだりしてはいけないものは何なのか、さらにはどのような食べ方をすると効果があるのでしょうか。

そのヒントは、糖尿病専門医である牧田善二先生による『 糖質中毒 痩せられない本当の理由 』(文藝春秋)に書かれています。

ここでは、同書より一部抜粋して、「糖質制限」の知られざる事実についてご紹介します。

太らせるのは脂質ではなく糖質

そもそも肥満とは、どういう状態を指すのでしょうか。

簡単に言えば、体の中に脂肪が異常に蓄積された状態です。このときの脂肪を、専門用語で「トリアシルグリセロール」と言います。

健康診断の血液検査で、「中性脂肪」と示されているものです。

体の中に脂肪が異常に蓄積された状態が肥満なのだから、「脂質をたくさん食べたら太る」と多くの人が考えます。

脂分の少ない蕎麦やおにぎりはいいけれど、脂身の多い肉は避けるべきだと思っているのです。

しかし、これは完全な間違いです。

脂身たっぷりのステーキ200グラムより、おにぎり1個、ざる蕎麦1枚のほうが太ります。

あなたを太らせるのは、脂質ではなく糖質です。

糖質は甘いものとは限りません。

主な肥満の原因は、ご飯やパン、麺類などの炭水化物です。

では、なぜ炭水化物が肥満を呼ぶのでしょう。

炭水化物が肥満を呼ぶ仕組み

前にも述べたように、炭水化物は多糖類に属します。

砂糖は二糖類です。

ブドウ糖がたくさん連なっているのが多糖類、二つくっついているのが二糖類です。

いずれにしても、それらを口から食べると、消化の過程ですべて1個1個のブドウ糖に分解されます。

そのブドウ糖が小腸から吸収されて血液中に送られます。

つまりは、ご飯を食べても砂糖をなめても、同じことが起きるわけです。

このとき、血液中にどのくらいブドウ糖が存在するかを示す指針が血糖値です。

血糖値は、70~140くらいの範囲で上下しているのが理想ですが、糖質が多く含まれたものを食べるとぐんと上がります。

140くらいはしょっちゅうで、気づかずに200くらいまで上がっていることもあります。

血糖値が上がりすぎると昏倒して命に関わるため、膵臓からインスリンというホルモンが出て、血糖値を下げる機能が私たちの体には備わっています。

その仕組みですが、血液中に溢れたブドウ糖を、インスリンがまずはグリコーゲンに換えて肝臓や筋肉に貯蔵します。

しかしながら、グリコーゲンとして貯蔵できる量は限られており、余ったブドウ糖はトリアシルグリセロールに置き換えられ、脂肪細胞に蓄積されます。

つまり、太るわけです。

しかも、糖質はほぼ100パーセント、ブドウ糖となり、無駄なく吸収されます。

ですから、炭水化物をたくさん食べれば、体の脂肪がどんどん増えて太っていくのは当たり前なのです。

脂質は食べても太りません

一方で、脂質を食べても太ることはありません。

せっかく美味しいお肉料理を食べているのに、脂肪の部分を残す必要などまったくありません。

それはなぜか。

理由は大きく3つあります。

1つは、脂肪はどんどん消費されるからです。

私たちの体中に37兆個もあると言われる細胞の膜をつくるために、かなりの量の脂肪が使われます。

コレステロールの原料としても使われます。

プロスタグランジンなど細胞間情報伝達物質も脂肪からつくられます。

このように、脂質は私たちの健康を保つためにとても重要な栄養素で、使い道がたくさんあるのです。

2つ目の理由として、吸収率の悪さが挙げられます。

脂肪は、たくさん食べても便の中に出てしまい、血液中にはあまり増えません。

油っぽい料理をたくさん食べた翌日に、水に浮くような便が出ることがあるでしょう。

あれは、吸収されなかった脂肪です。

3つ目ですが、そもそも私たちは、脂肪をそれほど摂っていません。

むしろ足りていないくらいなのです。

厚生労働省が推奨する大人の1日の脂質摂取量は、男性74グラム、女性64グラムです。

ところが、日本人平均で61.3グラムしか摂っていません。

アメリカ人でさえ一日の脂質摂取量は平均70グラムくらいと言われています。

それに対して、炭水化物は日本人平均で248.3グラム摂っています。

ご飯や麺類をたくさん食べる人なら500グラムを超えるでしょう。

この数字を見ても、明らかにバランスを欠いているのがわかると思います。

ダイエットで脂質摂取量を減らすのはナンセンス。かえって健康を害します。

痩せたいなら炭水化物を減らすのが絶対条件です。

炭水化物を食べている限りは痩せられない

私たちは、体にどのくらいの脂肪を溜め込んでいるのでしょうか。

たとえば、体重70キロの男性だと、約14キロの白色脂肪細胞を有しています。

そして、その脂肪細胞のほとんどが「脂肪滴」と呼ばれる形のトリアシルグリセロールで占められています。

核や細胞質は脂肪滴によって細胞の一端に押しやられており、細胞そのものからして脂で太っているような状態なのが白色脂肪細胞です。

14キロの脂肪は、だいたい80日分のエネルギー量に相当します。

つまり、体重70キロの男性が糖質をまったく摂らなかったとしても、80日間はエネルギー不足になることなく生活していけるわけです。

しかも、この脂肪はブドウ糖がなくなったときのための貯蔵であり、すぐには使われません。

人間は、まずブドウ糖をエネルギー源として用いるようにできています。

ブドウ糖が足りなくなったときに、ようやく脂肪が使われるのです。

だから、炭水化物をせっせと食べている限り、いつまでたっても脂肪をエネルギーとして燃やすことはできません。

つまり、痩せられないのです。

マラソン選手が試合前に炭水化物を摂るのは、ブドウ糖がすぐにエネルギーになってくれるからです。

逆に言うと、マラソン選手でもない人が炭水化物をたくさん摂れば、使われないブドウ糖がトリアシルグリセロールとなって脂肪細胞に溜め込まれるだけ。

パソコン仕事の多い現代人は、そもそもエネルギー不足になどなりません。

糖質制限で筋肉が落ちるというのはウソです

糖質中毒から脱却するには、糖質摂取量を制限するしかありません。

そして、糖質制限を行えば、肥満が解消し、さまざまな怖い病気にかかるリスクが軽減します。

つまり、いいことだらけです。

ところが、人間の体の仕組みをよく理解していない人たちによって、ウソの情報が垂れ流されています。

なかでもよく耳にするのが、「糖質制限で体重を減らすと筋肉が落ちる」というものです。

しかし、そんなことはありません。

糖質の代わりに筋肉をエネルギー源として使わなければならないようなことは、現代人の身の上には基本的に起きません。

先にも述べたように、私たちの体はまずブドウ糖をエネルギー源にします。

糖質制限を行って食事から摂るブドウ糖がなくなれば、貯蔵してあったグリコーゲンが分解されて使われます。

そのグリコーゲンもなくなったときに、ようやく脂肪が使われます。

つまり、痩せはじめます。とはいえ、溜め込んでいる脂肪が全部、燃えるわけではありません。

体重70キロの男性なら、約14キロの白色脂肪細胞を有していて、それだけで80日分のエネルギーになります。

もし、この男性が本当に一切の糖質を摂らずに80日間を過ごし、脂肪を全部燃やし尽くしてしまったなら、理屈から言えば筋肉が分解されてエネルギーとして使われるようになります。

でも、ふつうに生活していてそんなことってあるでしょうか?

そもそも糖質制限は、糖質摂取量をゼロにして続けるものではありません。

それに、糖質含有量が少ない食べ物でも、ある程度は含まれています。

たとえ、ものすごく厳密に糖質摂取量を減らしている人でも、筋肉まで使わなければならない事態には陥りません。

どうか、おかしな情報に惑わされず、自分の健康を守ってください。



糖質中毒 痩せられない本当の理由 牧田善二 (著) 文藝春秋 (2022/1/20) 858円

人はどうして太ってしまうのか。そして、なぜ痩せられないのか。

それはあなたのせいではありません。

知らず知らずのうちに、脳内が糖質に侵されて、「糖質中毒」になってしまったからです。

だから、意思で痩せようなどとは思わないことです。

それはムリです。

では、どうすればいいのか。

「中毒」になった脳を変えればいいのです。

本書は、糖質がどれだけ体に悪さを及ぼし、様々な病気の元となり、もちろん肥満を引き起こすそのメカニズムを詳述します。

そして、そこから脱却する効果てきめんの方法を伝授してくれます。(実は、リーサル・ウェポンがあるのです!)

その最終兵器を体験した体験談にもある通り、肥満からの脱却、そして糖尿病の改善は、まず間違いなく達成できます。

また、何を食べてよくて、絶対に食べたり飲んだりしてはいけないもの、さらにはどのような食べ方をすると効果があるかも細かくレクチャーしてくれます。

肥満と糖尿よ、さようなら。これであなたは救われるでしょう。

ネットの声

「牧田先生の記事は本当に参考になります。もう少し近ければ通院したいくらい。日々高血糖と向き合う糖尿病の私からすると見識の深さに感動です。白米を一口食べても血糖値スパイクしちゃうのですが、ご飯は美味しいので食べたいと思ってしまう。牧田先生のお話しは、そんな私への応援です。健康な方には刺激的ですが、糖尿病の先生としては患者に勇気を与えてくれます。」

「駅の小さな書店で見かけて思わず買ってしまった。結果、最近の食生活を変えることになった。
今までもいわゆる炭水化物ダイエット的なことはしていたものの、「ちょっとくらいチョコ食べてもOK?」的な生活をしていた。
この本を読んで、さっそくフリースタイルリブレを購入し、この数日間添付写真のように血糖値トレンドをリアルタイムで確認している。ちょっとお財布には痛い出費だが、健康維持の先行投資と考えれば大したことはないだろう。
ある意味、日常生活の過ごし方を変えてくれた書籍だ。自分は今56歳だが、同世代で健康に興味のある皆さんに強く進めたい良書と思う。」

「この手の本を読んで、食生活を変えるようにしております。本の後半では、有効な対策が書かれており、大変参考になります。すぐに元の生活に戻ってしまうので、月1くらい読み直しが必要なくらい、大切な事だと思います。」

 

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