2022年一番ヒットした映画は『トップガン マーヴェリック』で間違いないね

『トップガン マーヴェリック』が本年度ぶっちぎりの最大ヒット作となった理由

2022年最大のヒット洋画となった『トップガン マーヴェリック』。

40年におよぶトム・クルーズのキャリアの中でも、これほどのムーブメントを起こした映画はなかったかも?と言われるほど世界中で愛された理由は何だったのでしょう。

本作の面白さを分析しつつ、大成功の原因を探ってみましょう。

全米では7億ドル以上の興行収入!!

製作・主演 トム・クルーズにとってもキャリアハイの成績に

『トップガン マーヴェリック』がこれほどのヒットを飛ばすとは、誰が想像できたでしょうか。

全米では7億ドル以上の興行収入を計上し、2022年最大のヒット作となり、歴代では第5位にランクイン。

世界興収も今年の作品ではトップとなり、日本でも今年の洋画では130億円以上の興行収入を上げ、2位の『ジュラシック・ワールド 新たなる支配者』(60億円)に倍以上の差をつけてぶっちぎったのです。

製作・主演のトム・クルーズにとっても、これはキャリアハイの成績で、改めて彼のスター性を証明する格好に。

世界的な出世作となった前作『トップガン』から36年を経て、今なお第一線で活躍を続ける彼には驚くばかりだ。

ともかく、これほどのヒットを飛ばしたことの最大の理由が、娯楽映画としてのクオリティの高さであることに疑いの余地はないでしょう。

【検証1】続編としての面白さ

まず触れておきたいのは、やはり続編としての面白さだ。先にも軽く触れたように、本作は『トップガン』の、じつに36年ぶりの続編。

前作では海兵隊のエリートパイロット候補生だった主人公マーヴェリックが、今度は教官としてパイロット訓練校に戻ってくるのです。

戦功と年齢を考えれば出世していてもおかしくない彼ですが、無鉄砲な性格が災いし、テストパイロットとして海軍の辺境の地位に置かれています。

これは前作のファンに、“無頼のマーヴェリックらしい”と思わせるナイスな設定。

前作で彼の相棒だった亡きグースの遺児で、教え子となるルースターとの葛藤が、ドラマをエモーショナルに彩ります。

また、前作ではセリフで語られるのみだった女性ペニーがヒロインとして登場したり、前作のサントラで大ヒットしたケニー・ロギンスの「デンジャー・ゾーン」がオーブニングで鳴ったりなどの嬉しい仕掛けがたくさん。

とりわけ、前作でマーヴェリックのライバルだったアイスマンが将軍に出世して再登場するのは大きな見せ場。

演じるヴァル・キルマーは喉頭ガンで闘病中でしたが、それを押して出演したことを思うと、胸アツの度合いも深まるというものです。

【検証2】究極のスカイアクション

もちろん、一作目のファンをアツくさせるだけでは、ここまでの大ヒットとはならなかったでしょう。

新世代の観客を引き付けてこその成功なのです。

その鍵を握っていたのは、最新技術を駆使したスカイアクション。

コクピット内のパイロットたちの表情をとらえた映像は、前作とは比べ物にならないほど臨場感にあふれているのです。

高低差を付けて超速飛行する機内を観客に体感させるために、どうするべきか? スタッフは、それを実現するために小型のIMAXカメラを開発。

これまで狭いコクピットにカメラを設置して、実際の飛行を撮影するのは困難だったのですが、本作ではこれを各機に6台設置して、役者たちの顔はもちろん飛行時の景色をも生々しくとらえたのです。

こうもはっきり見えると、演技もごまかしが効かなくなります。

実際の操縦こそプロのパイロットが行なっていますが、俳優たちも高速飛行に耐え得る訓練を積んで機に乗り込み、演技をしました。

空前の臨場感は、このような革新性と努力の賜物です。

【検証3】世代を越えた絆がドラマチック

アクションがどんなに凄くても、ドラマに共感できなければそれは機能しません。

そういう点でも本作は、盛り上げ方が巧いのです。

主人公マーヴェリックにしても、その部下となるルースターら若きパイロットたちにしても、最初は確たる絆は見えてきません。

それが過酷な訓練と実戦を経て、強固なものへと変わってゆくのです。

これは前作『トップガン』にも通じる展開ですが、部下に実力を見せつけていく、マーヴェリックという年長者を中心に置くことで、ライバル意識や対抗心が渦巻く若いパイロットたちの気持ちの変化が前作以上にリアルなものに感じられるのです。

キャラクターたちの各々の精神的な成長が、きっちりと見えているのがいいところです。

【検証4】ユーモラスな描写も

とはいえ堅苦しい映画に終始しないのが本作の面白いところで、ユーモアがとにかく上手く機能しています。

冒頭、実験のためのテスト飛行に挑んだマーヴェリックがマッハ10の記録的な速度を叩き出すも機体が損傷。

田舎町に不時着した彼はススだらけの顔で平静を装おうのですが、その姿は偉業を成し遂げた男には見えず、おかしさがこみあげてくるのです。

彼とペニーの恋の駆け引きというべき会話にもユーモアが詰まっており、ニヤリとさせられる部分が多いのも○です。

【検証5】タイムリーだった公開タイミング

『トップガン マーヴェリック』で語られる物語は、キャラクター間で育まれていく絆を見据えた、昔からよくあるドラマです。

それが現代に受け入れられたのは、アフター・パンデミックの人間関係が希薄になった社会背景もあるのかもしれません。

人と会うのがためらわれた時期を経て映画館に観客が戻って来た頃合いに、ダイナミックなスペクタクルと、人と人とのつながりをテーマにしたドラマが高濃度で融合した、ハリウッド大作らしいエンタメ作品はタイムリーだったのです。

そういう意味では『トップガン マーヴェリック』は、2022年という“今”に求められた映画ではないでしょうか。

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