日本独自の50ccバイクはなくなるかもしれない…

「125ccバイクを50ccとして供給可能に」業界訴え 終焉近い日本独自の50cc 残す方法を模索

日本自動車工業会二輪車委員会(JAMA)と全国オートバイ協同組合連合会(AJ)は2022年11月9日、バイク車両区分を現行の「排気量と定格出力」から「最高出力」に改めることを、自民党オートバイ議員連盟に要望しました。

まずは排気量50ccクラスで、2023年末をめどに具体化を目指します。

2025年の排ガス規制強化で、50ccバイクの新車供給が止まる可能性が…

背景には、国内排出ガス4次規制が2025年に50ccクラスへ適用され、新車供給が止まる可能性が強まったことがあります。

日本自動車工業会二輪車委員会は「マフラー内部の排気ガスを浄化する“触媒”の特性から、炭化水素(HC)を中心に削減達成が困難」と、説明します。

排気ガスの有害物質の除去は、マフラー内部にある触媒を通じて行いますが、4次規制に適応するためには、触媒を300度以上の高温にする必要があります。

50ccクラスで適温にするには、エンジン始動後、約4分の時間が必要です。

仮に、触媒が低温のまま発進すると、規制値(100mg)を超えるHCを排出させることになり、規制に適応するバイクを作ることができません。

このため、規制が適用される2025年以降は、50ccバイクの生産自体が困難になる可能性があるのです。

4次規制はすでに始まっている

実は、4次規制は、2022年から50ccクラスを除くバイクで始まっています。

排気量が大きなバイクは触媒を適温にする時間が短くて済むので、規制にも対応しやすいのです。

例えば、125ccクラスのバイクは、約70秒でマフラー温度が適温に上昇します。

当初は全車種で4次規制がスタートする予定だったものの、供給に懸念があることをAJが指摘し、50ccについては2025年まで対応のための時間的な猶予が設けられたのです。

そこで浮上した対応策が、125ccクラスのバイクの性能を50ccクラスに制御して、4次規制をクリアする方法。

それが「排気量と定格出力」から「最高出力」に車両区分を改めることです。

なぜ「最高出力」という新たな“物差し”が必要なのか

125ccクラスの最高速度を30km/hに走行性能を抑えて50ccバイクとすれば簡単ではないか――ユーザーはそう考えるかもしれません。

しかし、排気量を変えない限り、125ccバイクであることは変わりません。

現行の50ccバイク=0.4kwという「定格出力」を使う方法もありますが、そもそも定格出力は「長時間、連続的に使える出力」のこと。

扇風機や発電機のように長時間、壊れずに連続使用できる出力を知る場合には適していますが、

バイクのように速度が使用感に大きな影響を及ぼすものでは、必ずしも実態を反映しているとは限りません。

このため、ほとんどのバイクでは、カタログ値に「最高出力」が記載されています。

ユーザーの選択の重要なデータとして役立てられているのは、最高出力のほうが、より実態を反映した数値だからです。

また、現行の定格出力は50ccクラス、125ccクラス、400cc以上をおおざっぱに示しているだけ。

免許制度との整合性も取れていません。

すでに最高出力による基準は、欧州やアジアでもスタンダードです。

最高出力を基準に125ccクラスを50ccクラスとして国内で投入ができれば、環境規制に対応しつつ、

走行性能を著しく劣化させることなく、日本独自の50cc市場に最小の負担でさまざまなバイクを投入することが可能になります。

これまでのように、環境規制へ対応できず、モデルが生産終了となることも、抑えられると期待できます。

まずは50ccクラス、中大型クラスにも拡大

実際に最高出力基準とした場合、どの程度で落ち着くのか。現行の欧州指令で50ccクラスに相当するバイクの最高出力は4kwと定められています。

国際基準に調和する観点からも、道路運送車両法の規制も、同じ程度になることが予想されますが、問題は、検討のための時間がほとんど残されていないことです。

2025年の4次規制に対応するためには、遅くても2023年末には、関係法令が整っていないと、最高出力対応のバイクは排出ガス規制の施行に間に合いません。

法律の条文の修正が必要になれば、さらに締め切りは前倒しする必要があります。

また、最高出力規制へ変更することに慎重な姿勢をとる行政の対応も気になります。

警察庁は125ccと50ccの車格が運転に影響を与え、事故が増えることを、総務省は125ccと50ccで同じ車体を使うことによる軽自動車税の取り扱いを懸念します。

50ccクラスは全国で485万人のユーザーを抱えて、移動の大きな役割を担っています。

まずは、この多くのユーザーが利用する区分から。その後には、電動化をにらんだ中、大型クラスの車両区分へと議論が進む予定です。

ネットの声

「そもそも今の区分は電動バイクにとっても非常に使いづらい区分になっており、50cc相当の定格出力にする結果坂を登るにも難儀する電動バイクしかつくれません。
最高出力だけで規制して燃費や電費と性能や重量を天秤にかけて選んでもらうというのがわかりやすいです。
どうしても最高出力以外の指標が要るなら、原付の場合は止まりやすさだと思います。
車重が上がるとバイクは急激に止まりづらくなり、自動車よりも早いタイミングでのブレーキが必須となります。普通免許だけで乗れる1種原付には特定速度での停止距離という制限はあってもいいかもしれません。」

「原付1種免許の目的は幹線道路を走ることで無く近所の移動、特に農地などへの移動や義務教育後にすぐ車の運転免許を取得できない若者の通勤手段の簡易的な足であったはず。
それが80年代からの高性能化により「近所の足」から一般的な自動二輪と同じような利用のされ方をするようになっていった。
30km制限も本来の目的に沿うように近所を移動する為の足としてそれ以上の速度を出す必要は無くその代わりに免許の取得が簡単であったはず。
今で言うところの電動自転車の役割を受け持っていた。
ならば原付1種の免許は今後廃止すればよい。その代わり本来の目的に合う電動自転車が普及している。免許の必要ない電動自転車を利用してもらい免許は新規は自動二輪小型限定を最少クラスにして1種の速度制限も撤廃すればよい。
普通免許では乗れないようにし二輪を運転する為には二輪免許を取得しなければならないようにする。
これもひとつの考え方だ。」

「普通自動車免許の付随して原付も付いてきます。ならば、
免許取得・更新時に全員必須で混んでる一般幹線道路を走行講習義務をしてほしい。
どれだけ原付が恐怖を感じながら運転しているかを。
これによりバイク目線も理解し、二輪車の目視見逃しや無理な追い越し、
幅寄せも幾分減るだろう。

それと原付の30キロ制限はもう現在の交通の流れには則さず更に危険だと思うので通行道路規定速度で良いと思う。

バイクは軽量、低ガソリン消費量、即配や渋滞の緩和等に
自身を危険にさらし寄与しているので車ドライバーも理解を深めるべき。」

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