米飯てどう?米を抜くメリットとデメリットをまとめてみた

米を抜くことにはメリットとデメリットがある…

老けない最強の主食ベスト8と老ける主食ワースト3

何を食べたら老化を予防できるのだろうか……年を重ねる毎に気になるこの問題に真正面から向き合ったのが、ジャーナリスト笹井恵里子氏の新著『老けない最強食』(文春新書)です。

ここでは、日々の食事の中で最も比重が大きな主食を徹底的に考察、老けない主食ベスト8を一部抜粋・再構成して発表します。

老けない最強の主食

現代では主食(炭水化物)に含まれる糖質が嫌厭されています。

糖質の摂取を抑えるダイエットがブームになり、市場には糖質オフを謳う商品が続々と登場しました。

確かに炭水化物は主に「糖質と食物繊維」で構成されるため、血糖値を上昇させ、AGEを発生させやすい。

しかし炭水化物の中でも「米」は栄養価が高く、「老けない」という観点からむしろ推奨されるものです。

ここでは炭水化物のメリットや、どのように主食を選び、どのような食べ方をすれば良いかについて取り上げます。

主食を選ぶポイントは2つ

英医学誌「ランセット」に2017年、「炭水化物の摂取が増えると死亡リスクが上昇する」という衝撃的な論文が掲載され、大きな話題になりました。

しかしよく論文を読むと、「炭水化物を摂取しない人ほど死亡リスクが低下する」ことが示されたわけではありません。

昭和大学医学部教授で、医師の山岸昌一氏もこう指摘。

「論文では死亡率が一番高かったのは、全摂取カロリーのうち77%以上を炭水化物から摂っていた群です。しかしこの群では脂肪摂取量がとても少なく10%程度。経済的な事情で、精製された主食を中心とした貧しい食事しか摂ることができず、そのため感染症や呼吸器疾患など、栄養不良が原因とされる病気で死亡したと考えられます」

炭水化物を60%くらいまで摂っていた群は、炭水化物の摂取比率が最も少ない群と比べて、死亡率にあまり差がなかったのです。

「(炭水化物に含まれる)糖質を減らしたほうがいい、いや食べても大丈夫という議論が繰り返されていますが、同じ糖質でも体にプラスに作用するものもあれば、害になるものもあります。主食として考える時、選ぶポイントは大きく二つ。一つは精製されていないものであること。もう一つは、食物繊維やミネラルが豊富なものですね。主食は精製されるほど体内に吸収されるスピードが速くなり、血糖値が上昇する。すると(血糖値を下げる)インスリンの分泌が追いつかず、血中に糖があまって糖化反応が起き、体内の老化を進めてしまうのです」(山岸氏)

言い換えると、糖質以外の栄養素が多く、バランスのとれた主食を選ぶといいということです。

例えば玄米だと可食部100gあたり糖質が約32g。一方で、コーンフレークであれば80gを超えます。

うどんやラーメン(中華めん)は糖質量はそれほどでもありませんが、水分量が7割前後に達してしまうのです。

糖質の含有量が多かったり、ほとんどが水分で占められている食品ほど、ほかの栄養素が十分でなく、おなかは満たされても栄養素不足になりやすくなります。

つまり「老けやすい」といえるでしょう。

老けない主食ベスト8

そこで「老けない主食ベスト8」では、糖質の合計値が少ない主食からランク付けをしました。

1位から3位までを占めるのは、米。

1位の玄米が良いのは想像できるでしょう。

実は2位の発芽玄米もそれに負けず劣らず、強力な老けない力を持ちます。

代表的な成分は天然アミノ酸の一つである「GABA(ギャバ)」。

ギャバは血中コレステロールや血糖値、血圧の上昇を抑える効果があり、血管を衰えさせない働きがあります。

健康検定協会理事長で管理栄養士の望月理恵子氏が説明します。

「可食部100gあたりで比較すると、製品にもよりますが白米のギャバ量が1㎎に対して、玄米は3㎎、発芽玄米は10㎎も。ギャバにはストレス軽減作用や脳細胞を活性化する働きがあります」

米の一粒には糖質以外にも、食物繊維やタンパク質、ビタミンなどがバランスよく含まれます。

米中心の食生活をする成人は飽和脂肪酸や糖分の過剰摂取が少なく、カリウム、マグネシウム、鉄、葉酸、食物繊維の摂取量が多い傾向があるそう。

よく噛むことで満腹感が得られやすく、血糖値の上昇も緩やかになります。

実際に人を対象とした実験で白米や玄米を取り入れた食事をすると、満腹感と満足感が持続しやすいこともわかっています。

「パンと違って米はいろいろな食材(野菜、大豆、肉、魚など)と相性が良く、自然とバランスが整いやすい面もあるかもしれません。また、米は生鮮食品で、食べるためには水を加えるだけのシンプルなもの。塩分やコレステロールはゼロです」(望月氏)

糖尿病予防の確かなエビデンス

さらに米はタンパク質の栄養価が高い。

主食といえば炭水化物で、肉や魚といえばタンパク質というイメージがありますが、主食にもタンパク質が含まれます。

米はタンパク質を評価する指標の一つ、アミノ酸スコア(必須アミノ酸の配合バランスを示す)が優れているのです。

「人のタンパク質を構成するアミノ酸は約20種類、体内で生成できない必須アミノ酸は9種類あります。ある食品について必須アミノ酸の含有量がどれくらい満たされているかの指標をアミノ酸スコアと呼びますが、それでみると小麦(薄力粉)が44点に対して、米は65点。パン、麺の原料となっている小麦は、米よりも低いのです」(望月氏)

必須アミノ酸のうちどれか一つでも極端に少ないと、そのレベルまでしかタンパク質を作れなくなります。

9種類の必須アミノ酸のバランスがいいことでタンパク質がスムーズに生成されるのです。

欠点がなさそうな米ですが、注意点もあります。

生鮮食品ということは、言い換えると魚や肉、野菜と同様に鮮度が命。

米は日が経つにつれ水分や香り、味わいが減り、品質が落ちていきます。

「米に含まれる脂肪酸が酸化し、酸化したものを食べることで体がさびやすくなる」(望月氏)とのこと。

できるだけ精米してから一か月以内に食べきりたいところです。

特に秋に出回る「新米」は、ツヤ、粘り、香り、甘みを楽しむためにも早めに味わいましょう。

ちなみに新米は収穫から一年以上経った古米に比べて水分量が多く、粘り気が強いため、炊いたごはんそのままや、卵かけごはんで。

反対に水分量が少ない古米は、炊き込みごはんやチャーハン、ピラフなどでいただくといいでしょう。

もう一つ、米を食べる際の注意点として、女性は米飯摂取が多くなるほど糖尿病発症の危険性が上昇するという国内の研究報告があります。

1食150g(茶碗一杯分)を目安に、食べすぎないように気をつけたいところです。

新米→炊いたごはんそのまま、卵かけごはん
古米→炊き込みごはんやピラフ、パエリア、チャーハンに

4位、6位、8位に位置するパンにも、食物繊維が豊富という良さがあります。

米にも多く含まれますが、パンの食物繊維もまた体内に吸収されず、余分な栄養素を排出したり、血糖値の上昇をゆるやかにする働きがあるのです。

日本ポリフェノール学会理事長の板倉弘重医師(東京アスボクリニック名誉理事長)によると、「野菜に含まれる食物繊維より、米、小麦、大麦由来の食物繊維のほうが老けないために重要」といいます。

「穀物由来の食物繊維には、糖尿病予防の確かなエビデンスがあるからです。糖尿病は、見た目も体内も老化を進めてしまいます。米なら白米より玄米、パンなら白いパンより全粒粉やライ麦のパン、麺なら蕎麦が食物繊維は豊富です」

主食(糖質)を食べすぎてしまうと、血中のあまった糖(ブドウ糖)が脂肪細胞に取り込まれて太ります。

食事中の食物繊維の割合を増やすことは、血糖値の急上昇を抑えることと糖質摂取量を減らすことの2点から肥満予防に有効なのです。

また、炊きたてごはんはおいしいですが、ごはんを冷まして食べると、消化しにくいでんぷん「レジスタントスターチ」が増えるというメリットがあります。

でんぷんは通常、すぐに胃や小腸で消化されて血糖値を上げてしまうが、レジスタントスターチは胃や小腸で消化されずに大腸まで届きます。

つまり食物繊維のような働きがあって血糖値の上昇がゆるやかになるのです。

「おなかがすきにくくなり、ダイエットにお勧めです。レジスタントスターチは5度くらいの冷や飯で多く出現します」(望月氏)

白米だけではありません。

麺類やじゃがいもも、冷やすことでその効果が望めます。

老けない要素として欠かせないビタミンB群

さてビタミンやミネラルを豊富に含む主食を摂りたいなら、玄米やベーグルがお勧めです。

「乳製品を含むことの多い食パンやクロワッサン、ロールパンなどと比べて、ベーグルはシンプルな素材で脂質が低め。そのぶんミネラルや食物繊維がたっぷり含まれています」(望月氏)

中でもビタミンB群は、老けない要素として欠かせません。

ビタミンB1、B2は糖質の代謝に必要で、ビタミンB6は脳の老化防止に効きます。

「ビタミンB1、B2は穀類の胚芽(米ならヌカ)部分に含まれています。これらが不足すると、糖をエネルギー源として活用できません。活用できなければ疲労物質が体内に蓄積され、疲労感が強くなります。疲れ目が進行したり、神経に障害が起きたり、心臓の働きも悪くなります。3~4食に1回でも精製された白いパンや白米でなく、表皮や胚芽を含む、ふすまパン(全粒粉やライ麦を使用したもの)を食べるといいでしょう」(山岸氏)

そこでビタミンB群の量を中心にランク付けしました。

1位から4位の「玄米」「ベーグル」「ライ麦パン」「発芽玄米」はB1をはじめとしたビタミン、食物繊維、ミネラルなど、糖質以外の栄養素をしっかり含んでいます。

それでいてカロリーや塩分も高くないのだから、老けない主食の代表格といえるでしょう。

それでは塩分が高くなりがちな麺類はどうだろうか。板倉医師は「パスタと蕎麦」を勧めます。

「パスタが食後の血糖値上昇をもっとも抑えるという報告があり、老けないといえます。蕎麦もいいです。白米、うどん、食パンと比べてGI値(食後血糖値の上昇度合いを示す指標)が低く、またGL値(一食分の量を踏まえた炭水化物の質と量を示す指標)も低いので食後の血糖上昇を抑えられます。メタボの人に蕎麦は好ましい食品といえますね。私も会食などで食べすぎたと思った次の食事では、蕎麦をいただきます」

蕎麦には肥満予防のランキングで第1位の通り、食物繊維がたっぷり。さらに食物繊維と似た働きをもつタンパク質「レジスタントプロテイン」の存在もあります。

「これが腸内環境を整えてくれるんです」と、望月氏。「不要な脂肪分やコレステロールの排泄を助けてくれる働きが期待できます」

また蕎麦粉に含まれるルチンは抗酸化作用があり、毛細血管を強くする働きがあります。

白いパンに使用される小麦粉と違って胚芽部が挽きこまれているため、ビタミン含有量も多い。だが蕎麦を茹でると、そういった水溶性の栄養素が流れ出てしまいます。

だからゆで汁(蕎麦湯)を飲んだほうがいいでしょう。

「山椒やわさびなどのような薬味を入れてスープとして飲んでもいいですが、麺つゆを蕎麦湯で割って(薄めて)、つゆとして飲むのが手軽ですね」(望月氏)

麺の選び方も重要。麺の外袋に表示される原材料名は、含有量の多いものから記載されています。

つまり「小麦粉」が先に記されているものは、蕎麦粉より小麦粉の含有量が多い蕎麦ということ。

蕎麦の効能を求めるなら「蕎麦粉」が先頭に書かれているものを。

一方で、蕎麦のつゆには塩分が多いため、飲み干さないように気をつけたいところです。

塩分は体のむくみにつながって心臓や血管、腎臓の老化を進めます。

また蕎麦は麺類の中で栄養素が豊富で疲労回復に役立つ反面、タンパク質などの不足する栄養素もあります。

かけ蕎麦ではなく、具材で補うようにしましょう。

日本臨床栄養協会評議員で管理栄養士の遠藤惠子氏は「けんちん蕎麦」を提案。

「大根、人参、ネギなどの野菜を一緒にゆでると野菜のうまみが出て、つゆが薄味でもおいしく食べられます。鶏肉や山菜を入れたり、卵を落として“月見蕎麦”にすればタンパク質も摂れて栄養バランスが整います」

大根おろしやとろろ、なめこといった具もいいでしょう。

「蕎麦のルチンは毛細血管を強くしますが、大根おろしやとろろに豊富に含まれるビタミンCも血管を強化する働きがありますので、一緒に摂ることで相乗効果が期待できるでしょう。また、これらには消化酵素が含まれるため、具に取り入れることで体に負担を与えない一品に。大根おろしの上になめこをのせれば、食物繊維が一層多く摂れて腹持ちが良くなりますし、老けない栄養素であるビタミンB群も十分摂取できますね」(望月氏)

もっと簡単にワカメや海苔のトッピングでも。

「家庭では『ふえるわかめ』や『きざみ海苔』を使って手軽に追加できますね。外食で食べる際はかけ蕎麦より、ワカメ蕎麦にすることで食物繊維が加わり血糖値の上昇を抑えることができ、またカルシウムやマグネシウムなどのミネラルも同時に摂取することができます」(遠藤氏)

老ける主食ワースト3

対して「老ける主食ワースト3」は、単一成分が主体のもので順位付けをしました。

ワースト2位、3位のうどん、そうめん・ひやむぎは炭水化物量は少ないのですが、100gあたりの水分量がそれぞれ、75g、70gと高いのです。

ちなみに米の水分量は50~60g台です。

たっぷり水分が摂れるなら悪くないと思う人もいるかもしれません。

しかし、限られた量の中でさまざまな栄養素が摂れたほうが脳や筋肉を働かせるエネルギーが効率よく作られるのです。

明治時代に年間1万~3万人もの死者を出した「脚気」という病はビタミンB1が少ない白米を食べる習慣が原因だったと考えられています。

ビタミンなどの栄養素が足りなければ糖をエネルギー源に変換できず、炭水化物が“ただのお荷物”になってしまうのです。

ワースト1位のコーンフレークは炭水化物量がなんと100gあたり82.2gも!

市販のメジャーなコーンフレーク数十種類の成分をチェックすると、「麦100%」「甘くない」と売り出している商品さえ、米よりもずっと多くの糖質を含んでいたのでした。

「とりわけ砂糖が添加されているコーンフレークは、血糖値が一気に上昇します。ブドウ糖より糖化を進めやすい果糖ブドウ糖液糖が添加された商品は避けたほうがいいでしょう」(山岸氏)

コーンフレークや麺類はよく噛まないで食べられる点も問題。

噛んで唾液が出ると、パロチンという成分が分泌され、筋肉や骨の発達、肌の新陳代謝を促して若返り効果があることがわかっています。

調理法としては脂質をからめたほうが糖の吸収を抑えられ、血糖値急上昇を防げます。

日本抗加齢医学会専門医・評議員の平野敦之医師(美健会ルネスクリニック日本橋・東京理事長)がこう話します。

「牛丼と普通の白米を比べると、牛丼のほうがカロリーは高いですが血糖値の上昇は少ない。素うどんより天ぷらうどんを選ぶなど、糖をコーティングするように油を一緒に摂るといいでしょう。ポーク豆カレー&発芽玄米ごはんが一押しです」

望月氏は、カレーに「蒸し大豆」を加えることを提案。

大豆には良質な油のほか、認知症患者の脳内で減少する神経伝達物質「アセチルコリン」を生成する元になるコリンが含まれます。

抗酸化作用があるカレーとセットで、脳も体も老けさせない一品です。

ネットの声

「自分は趣味でウェイトトレーニングをやっているが、白米を食べた時の方が頑張りが効くと感じている
だからという訳ではないが、米文化の日本人は白米を食べた方が調子良く過ごせるんじゃないかと思う
しかし江戸時代に脚気が流行したように、白米に偏った食事も良くないのだろう
主菜・副菜を織り交ぜて食べた方が味わい的にも栄養学的にも相乗効果が期待出来るしね」

「朝食をきちんと食べる人の方が寿命が長いと聞きました。朝食をきちんと食べるためには規則正しい生活で朝早く起きることが大事ですが、今の時代、夜にやりたいことも多いのでなかなか難しいですよね。
少しくらいご飯を食べたらするよりこの3食きちんと摂る方が健康にとっては大事じゃないかと思います。」

「コーンフレークって昭和の終わりごろに日本でも流行り始めたときケロッグのビタミンが添加されてるコーンフレークが売れてたから、コーンフレークは栄養があるとイメージがあるかもしれないが、栄養添加してない安いコーンフレークは食パンと同程度の栄養しかない」

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