現在も「日本の物価は下がっている」という森永卓郎の主張

7月の消費者物価指数は、2・6%の上昇となった。

なかでも食料品は前年比4・4%、エネルギーは16・2%も上昇しており、生活必需品に値上げが集中していることから、生活実感としてインフレを強く意識するのは当然のことだ。

また、マスメディアも毎日のように物価高騰の話題を取り上げている。

そうした状況のなかで、「日本の物価は下がっている」と言ったら、おかしな人だと思われてしまうかもしれない。

GDPの物価で考える

しかし、いま消費者物価が上昇しているのは、石油や天然ガス、小麦やトウモロコシなど、輸入品の値段が上がっているからだ。

多くの日本企業は、輸入原材料の価格高騰を商品価格に転嫁しているに過ぎない。

それでは、輸入品の影響を取り除き、純粋に国内要因だけを反映した物価指数は存在しないのか。

実は、それがGDPデフレータというGDPの物価だ。

最も包括的な国内物価の指標

GDP統計は、時価で計算される名目GDPと、全ての商品を2015年の価格で評価して計算する実質GDPの2つをそれぞれ推計している。

そして名目GDPを実質GDPで除して算出されるのが、GDPデフレータだ。

GDPは、国内で生産される付加価値の合計だから、そのデフレータは、最も包括的な国内物価の指標となる。

このままでは恐慌になるかも

このGDPデフレータは、今年4~6月期で前年比0・4%の下落となっている。

コロナ前との比較では1・1%の下落だ。

つまり、日本経済はいまだデフレ下にあるのだ。

賃金が上がらないのもそのためだ。

デフレ脱却に必要なのは、金融緩和と財政出動しかないというのは、経済学の常識だ。ところが、いま目の前の消費者物価上昇に気を取られて、真逆の政策を主張する学者が増え、岸田政権もその方向で走り始めた。

このままでは恐慌になるだろう。

ネットの声

「世界の資源争奪戦による価格高騰なのだから、中央銀行の金融政策ではなく、政府が資源を確保するために策を講じることが優先。つくれるものは国内でつくるように政府が財政出動などの措置を講じて生産設備を整えなければならない。原油は日本でつくれないので価格高騰を踏まえて減税すればよい。それでもだめなら補助金を増やすべき。アメリカは資源ではなくサービス価格の高騰でインフレだが日本の場合は資源価格の高騰が原因でのインフレだからむやみに金融政策を変更すべきではない。」

「例えばメディア掲載記事でもappleの新商品が日本では高いで終わってしまうのが今の日本の元気の無さだと思う。
円安だからこそ国産品に新たな付加価値を模索する猶予となり得るのに、あるいは国内産業を活性化するべく大量消費をしてくれる者が登場すると助かるのに、投資する金があるなら生活を守れという声が出たりするし、資産家が日常の風景を公開すると過剰に攻撃的になる人間が現れたりもする。
なんかこう、良策でもあれば良いのだが。」

「岸田政権は物価対策に補助金みたいなことを言っていますがこれはやめてほしい。とりあえず何もせず経過を観察するべきだと考えます。本当に困っている人には自治体に指示してコメ、野菜、脱脂大豆などを現物支給すればよいと思います。食材費がタダになれば光熱費の値上がりは補えるしコメに関しては新米出荷前に在庫の古古米を有効に消費できるので一石二鳥。ただしやりすぎると市場を破壊するので本当に困っている人限定で。」

おすすめの記事