「他人の家の駐車場に入って転回」は住居侵入罪になるのか? 弁護士が徹底解説
車を運転していて道を間違えてしまったときなど、転回するために、ついつい他人の家の駐車場に入ってしまったことはありませんか?
よく見る光景ですが、法律上問題ないのでしょうか。
「かなえ法律事務所」(兵庫県神戸市中央区)の森本圭典弁護士に話を聞きました。
森本弁護士は、民事・刑事の両面から次のように見解を述べます。
目次
民事上の検討
人が所有する土地に勝手に入ることは許されないのは確かですが……勝手に自宅の駐車場で転回された場合、損害賠償請求をできるのか、となると難しいと思います。
問題となるのは『損害が発生したといえるか』です。
例えば、私有地に不法駐車された場合などは、不法駐車された期間に応じて駐車場相当額を請求できると考えられます。
しかし、車を転回するために、短時間敷地に入ったことによって損害が発生したかというと微妙になります。
もちろん、敷地内の物を壊された場合には損害賠償請求ができますが、何も壊されず、ただ短時間通っただけで損害が発生したとは認められないと思います。
仮に、損害が発生したとしても損害額が高額になることはないので、請求する手間を考えると、損害賠償請求は現実的ではないでしょう。
他人の土地に勝手に侵入する行為、この問題の様に他人の駐車場で車の無断転回は地主には迷惑でも破損損害が無い限り罪を問われ無い事も,他人の管理山に無断侵入し掘り荒らす鉱物採集者の様に土地を荒らし鉱物を持ち出す場合は損害賠償や不法行為成立,どっちも違法行為なので止めましょう!
— blue.topaz (@ozakiami) January 24, 2022
刑事上の検討
刑法130条1項の『住居侵入罪』に該当するかが問題となります。
住居侵入罪は簡単に言うと、住んでいる人の意思に反して住居に侵入することです。
見ず知らずの他人が車を転回するために、自宅の駐車場内に入ってくることを歓迎する人はいないので、住んでいる人の意思には反しています。
では、自宅の駐車場も“住居”に含まれるのでしょうか。
本件の場合、車が転回してくることから駐車場にゲートなどは設置されていないことを前提とします。
駐車場にゲートなどが設置されていなくても、同じ敷地内に家と駐車場がある場合には、駐車場も住居に含まれると判断される可能性が高いです。
したがって、車を転回するために他人の駐車場に入ると、住居侵入罪が成立する可能性があります。
ただし、実際に警察が動いて犯人を逮捕してくれるかというと、その可能性は高くないと思います。
結論として、車を運転する人は、どんな時でも他人の家の敷地には絶対に入らないようにしましょう。
戸建住宅を持っている人は、敷地内に勝手に入ってこられないように、ゲートやポールを設置するのが建設的です。
他人の敷地に勝手に入ることは、住んでいる方に迷惑をかけることは間違いありません。
法律は関係なくともやめておくのが賢明と言えそうです。
ネットの声
「リビングにいたら車の気配を感じて見たらうちの駐車場で方向変換してた。気分悪い。法に触れるかどうかより常識の問題。」
「物理的な損害がない前提だが、例えばここは茨城県なのに岐阜ナンバーの車がウロウロしてて、迷った挙げ句に自分の家の駐車場を利用して方向転換するのと、近所のおっちゃんが便利だからと当たり前のように自分の家の駐車場を方向転換に活用するのは捉え方が違う。前者なら良くはないが迷ってたんだろうと思う一方後者ならふざけるなと感じる。」
「昔、狭い路地に迷い込み、結果行き止まりで、バックで出るには、死角も多く危険と判断して、広い敷地の家の方にその旨を伝えて転回させて貰った事が有る。小心者ってのも有るが、その家の人の気持ちを考えたら、一言断ってからの方が間違い無いと思っての判断でした。結局の所法律やら何やらも有れど、モラルの問題が一番先に来るかと思う。」