
世紀の駄作「大怪獣のあとしまつ」の後始末 東映・松竹が共同配給も公開直後から酷評炎上
山田涼介と土屋太鳳が主演した期待の大作映画「大怪獣のあとしまつ」が大変なことになっています。
2月4日の公開直後からSNSでは酷評が相次ぎ、Yahoo!映画のレビューも2点を切ろうかという大惨事。
どこを見ても褒めている声が見当たらないその理由を、映画批評家の前田有一氏が解説します。
宣伝と中身がまったく違う
「宣伝と中身がまったく違っていたのが原因でしょう。例えば予告編には庵野秀明作品でおなじみの太い明朝体フォントを使い、政府高官が続々出てくるなどまるで“シン・ゴジラ”っぽい本格SF作品だと誤解しても仕方のない演出が見られます。しかし実際はチープなナンセンスギャグ映画。これでは話が違うだろうと観客が怒りだすのもやむなしです」
大怪獣のあとしまつを観た後で気づく
小林靖子さんの感想がピッタリ合うと pic.twitter.com/GovO7Ld8nK— ライスオメガ (@next_omega_) February 15, 2022
松竹と東映の共同配給
「時効警察」シリーズの三木聡監督が、自身のアイデアを脚本化した特撮映画。
怪獣が退治された後に残された巨大な死体の処理を巡り、政治家や官僚たちが右往左往するさまをコミカルに描きます。
現場で活躍する特務隊員を山田涼介、その元恋人で環境大臣秘書官を土屋太鳳、総理大臣役を西田敏行が演じるなど豪華キャストが見もの。
また、映画会社の松竹と東映が創立以来、はじめて共同で配給する「ダブルネーム」の話題作でもあるのです。
「大怪獣のあとしまつ」わずか数日で「叩いて良い認定するオタクは地獄!!」からの「ヘイト表現に溢れた映画が制作される日本は地獄!」みたいな話に変わるの、風見鶏もいい加減にせぇやってキレたくなるし、劇場に行った人間だけが「本物」だぜ……という思いを強くした。
— 太刀川るい (@R_Tachigawa) February 9, 2022
東宝配給のゴジラに対抗
「つまりはたから見れば、ゴジラを日米で大成功させた東宝への対抗心あふれる企画だと感じられるわけです。だらしなくひっくり返った“大怪獣”の姿や、そのあとしまつで迷惑をこうむる側を主体にした点を見れば、やりようによっては相当挑発的な作品にもなりえた。せっかく初めて2社がタッグを組んだのですから、いっそその路線を突き詰めて“ライバル”を皮肉って笑いに変えるくらいの度胸があれば、一矢報いることもできたかもしれません。しかし実際は挑発どころか、中途半端に原発問題と重ねたりなど、原発事故を暗喩して社会派としても高評価されたシン・ゴジラの二番煎じのようなことまでやっている。“挑戦者側”の企画としては、あきらかに進む方向を間違えたように思います」(前田氏)
類いまれなる駄作の刻印を押された記念碑的作品。
国内興収ランキング初登場1位になったのがせめてもの救いですが、このままでは2社とも炎上の“あとしまつ”に悩まされることになりそうです。
「大怪獣のあとしまつ」
豪華キャストの無駄遣いが素晴らしい。これだから邦画は…と言われかねないクオリティ。緊迫感やリアリティは皆無。肝心なところはつまらないギャグで濁し、国のあらゆる機関をバカにしたような演出。山田涼介ファン以外は誰も得をしない超大作の誕生です。始末に負えません。 pic.twitter.com/UUHIZs8DXW— 脳内シークレット (@SecretSpacer) February 16, 2022
ネットの声
「ハリウッド大作映画は予告編分「だけは」返ってくるからな。予告編を2時間引き延ばしたような内容が多いけど、金返せ!とはならない。特に面白い予告編の映画は要注意で、一番いいシーンを全部いれちゃってるから
2時間かけてそのシーンの確認作業みたいになってる場合がある。予告編がパッとしない(予告では紹介しきれない)映画の方がアタリが多い気がする。今回もタイトルが良すぎ&期待値あげすぎってところかな。予告編と、それを見た人たちのアイデアを集めてもう一回新作つくるといいんじゃないかな。」「予告編観た時から観ることを決めていて、批評を見聞きしないで公開6日目くらいに観てきました。翌日からの上映スケジュールが大幅に少なくなってることや観客も10人いるかいないかの状態でイヤな予感はしてましたが、その予感をはるかに上回るガッカリ感というか絶望感に近い気持ちのまま2時間弱が過ぎていき、最後は早く終わらんかなぁと時計ばかり見てました。」
「最大の原因は三木聡監督が特撮や怪獣に愛着が無い事だと思う。加えるなら庵野への変な対抗心も邪魔だった。三木は内輪でワチャワチャした話は面白いけど、大怪獣のスケールには合わなかったんだろうね。俳優が素晴らしいので最後まで観られたけど、アレがデビルマン並みの俳優陣なら大惨事になっていたでしょう。」