たまに気になる日本の左側通行…世界基準は??
名古屋の交通道路

海外では大半の「自動車右側通行」、日本はなぜ“左”? 専門家→かつて世界基準は「左側通行」だったのです。

10月31日、東京都内で悪質な自転車走行の「違反取り締まり強化」がスタートしています。

違反者には赤切符が交付される可能性も。摘発対象は「信号無視」「徐行せず歩道走行」「一時不停止」など多岐にわたり、その中に「右側通行」も入っているのです。

どうして左側通行?

日本では、自転車を軽車輌として扱うことから自動車と同様「左側通行」がルール。

しかし、なぜ自動車は「左側通行」が義務付けられているのでしょうか。

アメリカなど、海外のように「右側通行」ではない理由とは?

ニッセイ基礎研究所の研究理事・中村亮一さんにくわしい話を聞きました。

「まず歩行者の通行の歴史について知る必要があります」と中村さん。

現代日本では「自動車は左・歩行者は右」という概念が根付いているのですが、昭和初期頃までは歩行者も左側通行だったそう。

この理由について、中村さんは諸説あるというのです。

「代表的な説は日本に武士や侍が闊歩していた時代までさかのぼります。彼らは左の腰に刀を差しており、すれ違いざまに鞘(さや)同士が触れ合うのを避けるためという見解があります。ほかに、心臓が左側にあることから(実際は中央にあるが左にあると一般認識されている)無意識に左側が接触することを避ける本能がある……という説も」(中村さん)

中村さんいわく、自動車が左側通行である理由も、先に述べた武士社会時代の影響があるとのこと。

「馬にまたがるさい、左腰に下げた刀が邪魔にならぬよう左側から上がることになるため左側通行の方が具合がよい」

「騎乗中すれ違いざまに刀が触れ合うのを避ける」などです。

こうした“騎乗ルール”の「左側通行」部分が、明治時代にはじめて日本に輸入されたといわれる自動車に引き継がれたのでは……という見方があるようです。

元は左側通行だった

このように“暗黙のルール”として人にも自動車にも適用されていた左側通行だったのですが、1872年(明治5年)にイギリスから鉄道が導入されたことで“暗黙”ではなくなるのです。

イギリスの鉄道が左側通行であったことから日本の鉄道が左側通行となり、東京で警視庁が「歩行者は左側通行」という通達を発したのです。

そして、1924年(大正13年)には法律に定められ正式なルールになったという経緯があります。

「大正時代に法律化までされた左側通行でしたが、大きく変化したのは第2次世界大戦後。占領軍GHQの指導により『歩行者は右側通行』に変更されたのです。」

「GHQは、アメリカが「右側通行」のため「自動車を右側通行」に変更するよう要求しました。しかし、「道路上の施設の変更などに天文学的な財政支出と長期間を有する」との理由で日本はこれに反対。一方で、自動車の交通量の増加に伴い、歩行者もおなじく左側通行では、追い越されるさいに危険であること等から、「対面交通」の考え方を優先するために、『歩行者を右側通行』に変更することに了解。道路交通取締法の改正が行われました」(中村さん)

その結果、「自動車は左・歩行者は右」の考え方が確定したのです。

なお、中村さんによれば、

「「歩行者は右側通行」と言われるが、実は、安全性の確保等の観点からの「車との対面交通」との考え方がよりベースにあるだけで、実態は「歩行者は左側通行」といった方がマッチしている状況が多いのです。
歩行者自身を一つの交通車両(?)と考えた場合には、「歩行者は左側通行」というのが自然な言い方といえるのではないか。」

とのことです。

ならば、なぜ世界では自動車の右側通行が主流なのでしょうか。

「現在、世界的な人口比で見ると右側通行が左側通行のほぼ倍、道路の総延長距離では右側通行の比率が高いなど圧倒的に主流は『右側通行』です。しかし、もとは左側通行だったと聞きます。日本の武士時代のルールと同様に“騎士の剣同士が触れるのを防ぐ”だとか“右利きの人にとっては、前方からの攻撃等に対し身構えやすい”など、戦いを仕事にする者にとっての合理的な理由がありました。ですが、歴史の変遷における“さまざまな状況変化”を経て、右側通行になっていったようです」(中村さん)

左側通行は島国が多い傾向に

“さまざまな状況変化”とは具体的にどういったものなのか中村さんに質問したところ、

「これも諸説あります。例えば大昔のヨーロッパでは、ある教皇が『欧州における道路使用者は身の安全のため、左側通行すべし』と命令を出していましたが、しかし、フランス革命時には『左側通行はキリスト教の定めたものだから廃止すべし』という声が出たことや、ナポレオンが主力部隊を右側に配し多くの勝利をあげたことからフランスは右側通行に変更されました。その後、当時の大国フランスの影響を受けて、ナポレオンが征服した地域や陸地続きの多くの欧州大陸諸国が右側通行になっていきました。」(中村さん)

アメリカはどうだったのでしょうか。

「アメリカも最初から右側通行ではなかったようです。世界の中心がヨーロッパだった時代、アメリカはいち新興国にすぎませんでした。そんな状況下で独立戦争時にフランスの援助を受けたこともあり、アメリカでも右側通行の法定化が行われていきました」(中村さん)

しかし、20世紀初頭になると、アメリカは世界の自動車産業において常に圧倒的優位を占めるように。

海外に輸出される米国生産車が右側通行に適した左ハンドルだったため、中国を初めとして、多くの国が右側通行になっていったそうです。

いま世界の中で、自動車の左側通行を維持しているのは、イギリス、アイルランド、オーストラリア、ニュージーランドなど、島国が多いとのこと。

「維持の理由は国ごとにそれぞれです。たとえば、イギリスは、ナポレオンの支配を受けず、フランスへの対抗心もあったことから、伝統的な左側通行を維持して今日に至っています」(中村さん)

ふだんなにげなく守っている「自動車の左側通行」。

紐解いてみると、じつは世界の歴史が複雑に関わっていたのです。

そして、冒頭にも述べたように日本では自転車も「車輌」あつかい。

道路交通法をしっかり守った安全運転を心がけましょう。

ネットの声

「日本はイギリスのをベースにしたと聞いてますね。それぞれの国で、右か左かですが基本的には運転席は内側になりますね。逆に日本は左側通行なのに左ハンドル車を許可していること。まぁ、左ハンドル車に乗る方は問題を理解して乗っていると思うが。他の国によっては認めないのもありますね。その国々の土地で乗るのも新しい発見があって海外で乗るのも楽しいけど。」

「どっち通行でもよいですが、ウインカーレバーはシフトレバーと反対側に置くことを義務づけるか、せめて、希望者には有料で反転できるオプションを設けてほしいです。ごくまれに外国車に乗ることがあり、間違います。聞くところによると、ウインカーは左側とISOで決まっているとか説明されますが、記事にある通り、世界の1/3近くは左側通行・右ハンドルです。AT車でもシフトレバーを積極的に使いたいので、同じ側だとすごくたいへんです。(あくまでも個人的意見です)」

「日本の自転車問題は、車両である自転車を歩道に上げしまったのがそもそもの原因
以前、ベルギーの知人が来日した際、歩道を走る自転車を見て「日本人はなんてクレイジーなんだ」と驚いていました
彼曰く、「原付バイクが歩道を走りまわっているようなもの」だそうです
日本では「自転車=歩行者」の感覚なので、車道を逆走しようが間違っていないと言い切る人達が多いでしょうね」



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