もう本で教養を学ぶ時代ではないの??時代遅れって話も…

忙しいのに「本で必死に教養を学ぶ人」が時代遅れなワケ

学生時代はそれなりに本を読んできた人でも、仕事で脂がのってきたり、子育てで忙しくなったりすると、読書の習慣が薄れていきます。

そのまま「勉強」もしなくなったというミドル世代は多いのではないでしょうか。

リモートワークがメインとなり、移動時間で本を読むこともなくなっています。

これからの時代、どのように教養を身につければいいのか…。

ここでは、そんな「教養コンプレックス」を抱える読者に向けて、元マイクロソフト社長の成毛眞氏が”世界一効率的な勉強法”について述べます。

30代後半から真面目に教養を学ぶのは手遅れ

今はググればなんでもわかる時代。

昭和の知識詰め込み型教育は鳴りを潜め、大学入試制度も多様化しており、教科書に書いてある知識よりも「知識の関連づけ能力」、つまりを思考力や判断力を問うような問題が増えています。

知識の量は必ずしも重要とされてはいません。

しかもこれから社会人になる10代、20代は、デジタルネイティブでです。

30代以上のミドル社員は、彼らを部下にしながら、同時に彼らと競い合うことになります。

どの職場でもDX(デジタルトランスフォーメーション)が進み、インターネット環境が整っていさえすれば、どこにいても自由に仕事ができる時代。

組織の中でどちらが有用な人材かは火を見るよりも明らかだです。

では、どうすればいいのか…

「教養」を身につければいいのです。

歴史や芸術、自然科学など、文化的・学術的な素養があれば、それらの教養をビジネスに結びつけ、新しいアイデアを生み出せます。

「どうして、こんな面白いアイデアを思いつくんですか?」

「『amazon 世界最先端の戦略がわかる』『2040年の未来予測』で書かれたような具体的な未来予測が、どうしてできるのでしょうか?」

答えは簡単。

これまでも教養をインプットしまくってきたし、今も学び続けているからです。

人に知られていない情報は、それだけで価値があります。

そうした情報からヒットが生まれたり、新しいビジネスの種になったりもします。

「本を読む時間がない」子育て世代の編集者が抱える悩み

だから、できるだけたくさん情報をインプットしたほうがいいのです。

興味のあるなしにかかわらず、たくさん本を読むべきです。

そこは否定しません。

しかしながら、30代も半ばを迎えてから、ヨイショと重い腰を上げて教養を詰め込んでいるようでは、遅いでしょう。

時間は有限なのです。

近年、日本でも晩婚化が進み、2020(令和2)年の平均初婚年齢は、男性が31.1歳、女性が29.4歳。

その数年後には、子供を持つ人も多いでしょう。

仕事でも重責を担い、さらに忙しくなる年代。

子育てもしながら、本を読み、教養を身につける時間を捻出することは、ほぼ不可能。

まさに”ムリゲー”という声が聞こえてくるほど、30代、40代は、仕事でも家庭にも大忙しなのです。

ある編集者も現在38歳。

社内では中間管理職として細々とした調整事項に追われ、家庭では主夫としてもフル稼働。

休日は家族で過ごす時間に充てているそう。

それゆえ、編集者なのに、ゆっくり本を読む時間を捻出できないというのです。

50代になったら余裕ができるかといえばとんでもないでしょう。

立場や年代が上がれば、暇になるどころかさらに忙しくなります。

子供が育ち、ひと息ついた頃には、親の介護が待っています。

早期退職したり、独立したのならなおのこと稼がなければならず、ノンビリしている暇がないでしょう。

とにもかくにも、現役世代はじっくり本を読む時間がありません。

そんな暇があるなら、会社でも家でも「成果」を出せと言われるのだから、なおさらな酷な話です。

知識の9割はインターネットから得る

かつて「教養人」と呼ばれた人びとは、古典的な哲学や文学、自然科学などの本を読み、そこで得た幅広い知識に精通し、難しい言葉と理屈を並べて自らの教養の高さを示したものです。

もちろん、本物の教養を身につけ、今でも大学などで教鞭をとっている人もいるでしょう。

しかし、これだけテクノロジーが発達し、便利な電子ツールが溢あふれる現代において、多忙なビジネスパーソンはそうした古典を読む必要はありません。

知識を得るために本を買い、あるいは図書館に行って本を探し、ページを開いて、そこに書かれた知識を自分のものにするのは結構ですが、恐ろしく時間がかかり、コスト面からみても効率が悪いことこのうえないのです。

それでは本物の教養は身につかないのではないかと悲観する必要はありません。

知識の9割を、本ではなくインターネットから得ているからです。

本を買ったり、図書館に行ったりする時間が節約できるからではありません。

最大の理由はネットの文章が簡潔であることです。

さらに、今やYouTubeでは、専門家の授業を、誰でも、好きな時間に受けられます。

本では、写真や図が理解の補助として添えられていますが、それよりも動画で説明してもらったほうがはるかに理解しやすいのです。

断言すると、これから差がつく能力はたった1つ。

ネットでググる(グーグルで検索する)力。

これだけです。

インターネット空間を自分の大脳の延長、教養のデータベースとして、徹底的にググる。

そうすることで「最短ルート」での学びが可能になります。

要するに、長い時間をかけて大量の本を読み、大量の知識をインプットするという作業をネットで代行すればいいわけです。

SNSやチャットで何でも聞きたがる輩やからに対し、「ググレカス(野郎)」と言い放つが、いまやカスでなくてもググりまくる時代になりました。

本を読むのは面倒くさいが、古今東西の知識を職場やプライベートで役立てたいという人だけでなく、本を読む時間が全くないという人にも、ネットでググる方法を実践していただきたいものです。

大事なのは「何をググるか」

勉強で失敗する人は、未知の学問について「入門」から順に学ぼうとしてしまいます。

学生ならそれもいいのですが、どうしても時間がかかり、膨大な情報の渦にのまれ、呆然とするのが関の山です。

また、未来予測や投資に使える「知識」は、それとは別。ある意味、狙い撃ちして知識を習得しなくてはほかの人と差別化できないのです。

ポイントはずばり、「検索ワード」。

たとえば、「戦争リスク」について知りたい時、「第二次世界大戦」とググってはいけません。

世界大戦のような大国間の武力衝突は、何十年も起きていないからです。

これから実際に起こるかもしれないことを予測したいなら、「半島と戦争」「領土争い」などを検索ワードに選ばないと意味がありません。

「ネットでググる」は、最も効率がいいのに、おそらく誰も教えてこなかった「ずるい勉強法」です。

一つ上のステージで戦う40代以上のビジネスパーソンにはうってつけですし、20代の若者にも十分役立ちます。

少なくとも、40歳になったらこのやり方で教養を身につけることを強く勧めます。

あなたの目の前には、これまで通りの詰め込み型の勉強を続けるか、コスパのいい「学び」に切り替えるか――という2つの選択肢しかありません。

ネットの声

「「教養」と「知識」の関係についてずっと考えています。ある程度の教養を持つためにはある程度の知識は必要ですが、知識の多い人が教養のある人とは限らないというのが面白いところです。

知識ばかり集めてそれに満足するのではなく、目の前にある問題意識を先人の残した体系的な知識や自分の身体感覚を組合わせて自分なりの解決案を出せること。そんな人を教養がある人だとイメージしています。

それと自分の感情を上手にコントロールできることでしょうか。教養は学ぶことも大事ですが、本やネットの情報だけでは身に付けることができないものではないかと考えています。」

「様々なデータや情報を知識や技術にまで高め、人生に役立てることができるか否かが重要で、手段は万別だと思う。ネットで調べようが、文献に当たろうが、それを活かせるかは別の問題だ。

道具と使い方と使う人の3拍子が揃うことが肝要だと思う。

なお、検索の巧拙は確かに検索ワードの選び方で大きく差が出ると思う。教養のある人間の方がより速く、意義深い情報ソースにたどり着くことができるのは間違いないだろう。してみると教養を身に着けるためにネット検索をするというのは必ずしも効率的ではない気もする。

鶏が先か卵が先かのような話だが・・・。」

「歴史の試練に耐えた古典を読んで得るものは多い。
今だに考えの枠組みを与えてくれるのは、過去に紙に書かれた古典から得られるものが99%と言える。

例えば、ニュートン力学を学ばず量子力学が分かるだろうか?量子力学を学ばず量子コンピュータが分かるだろうか?人類が過去から積み上げた思考をその発展過程も含め理解を深める事が教養と呼ぶのでないだろうか。

例えば、ロックの市民政府二論は薄いし読み易い。
ただ、その薄い本に書かれた論理に感嘆し、これが世を変えた本かと納得する経験を、私はTikTokでした事が無い。」

39歳からのシン教養 成毛眞 (著) PHP研究所 (2022/6/21) 1,870円

地政学/統計学/生命科学/英語/先端技術/宇宙/NFT…… 数歩先の未来も予測できる「成毛式・1ランク上の勉強」

「学び直しブームだけど、何を学べばいいのかわからない」
「仕事だけでなく、家事・育児に忙殺されて本を読む時間がない」
「自分の“教養力”に自信がない……」

本書は、そんな“教養コンプレックス”を抱える人たちに向けて、まったく新しい教養テーマを提示し、その身につけることをめざす本です。

「30代も半ば以降になって、じっくり本を読み知識を蓄えるようではもはや手遅れ」。

『amazon』『2040年の未来予測』などで時代流れを先読みしてきた著者が実践する、ビジネスや投資、企画にも役立つ「コスパのいい学び方」を伝授します。

歴史分野はテレビを観ながらウィキペディアでキーワードを検索。宇宙や生命科学分野は、月1回定例的に特定のサイトをチェックするなど、予備知識&暗記いらず、忙しいミドルエイジのビジネスパーソンでも簡単に真似できます。

まわりと同じことをしていては差がつきません。本書でぜひ、数歩先の未来を読む勉強法を身につけましょう。

著者について
成毛眞(なるけ・まこと)
1955年、北海道生まれ。中央大学商学部卒。自動車メーカー、アスキーなどを経て、86年、マイクロソフト株式会社(日本法人)に入社。91年、同社代表取締役社長に。2000年に退社後、投資コンサルティング事業を行なう株式会社インスパイアを設立、代表取締役社長に就任。08年、取締役ファウンダーに。現在は書評サイト「HONZ」代表も務める。主な著書に、『面白い本』(岩波新書)、『定年まで待つな! 』(PHPビジネス新書)、『2040年の未来予測』(日経BP)などがある。

「これを読む前と読んだ後で変わった。情報社会で生きるヒントがここにある。」

「40代半ばをこえて自分の教養に自信がなく(というか本を何冊も読んでも身についた感じがしない)、書店を立ち寄ったら本書のタイトルが飛び込んできた。自分のための本だ!と思い、即購入。その判断は正解だった。」

「今いる位置は絶望的にヤバイとわからせてくれる本です。普段インターネットと関わる業種の人なら6割以上
知ってる内容で今のペースを守るか少し加速する程度のキャッチアップでも然程問題なくやっていける気がしますが、5割以下しか知らない人は2極化が決定的になった時に下層になると思います。
とはいえ、この本に辿り着ける人はそもそも6割以上わかる人が大半の気がするので、多数の絶望的な人にこれが届いてそれを自覚する日はきっと来ない。」

 

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