デリヘルで働くしかない!?一流大の女子大生の悲劇

一流大の女子大生がデリへルで働くしかない日本の異常さ

『貧困女子の世界』(中村淳彦 編著、宝島SUGOI文庫)を読む。

風俗で働かないと大学に通えず、生活ができない女子大生が非常に多い。

これが“日常”であることが、この国の異常さのあらわれだ。

女子大生の貧困世界

『貧困女子の世界』(中村淳彦 編著、宝島SUGOI文庫)の著者は、風俗関連、貧困、介護に至るまでの現場を取材し続けてきたノンフィクションライター。

本書は、2020年2月から翌年5月までの間に発売された3冊の「貧困女子」関連書籍を改訂し、再編集したものである。

したがって取材対象も幅広く、非正規女子、シングルマザー、高齢者など、さまざまな貧困女性の“現実”が明かされている。

どれもがショッキングで生々しいため、読んでいるとつらい気持ちになってくるのだが、とくに気になるのは第二章「女子大生の貧困世界」にかなりのページ数が割かれている点だ。

つまりはページを割く理由があったということだが、問題は、そこで明らかにされている“異常性”の本質である。

他の章に登場する女性のなかには、「こんなに簡単に、そっちの道を選んでしまうのか」と驚かされるタイプも少なくない。

たとえば、「整形手術の借金を返すため、実家にパラサイトしたままエステで働き続けている」など。

それは自分が選んだ生き方でもあるわけなので、純粋に「気の毒だなぁ」と思えない部分があることも否定できないわけだ。

ただし、ここで紹介されている女子大生たちの場合は、そういう人たちとは事情が異なっている。

著者の過去の著作を読んだときにも感じたことなのだが、現代社会そのものが異常で、彼女たちはその犠牲になっていると痛感せざるを得ないのだ。

繁華街のガールズバーや価格が高めのデリヘルでは、難関一流大学に籍を置いている多くの現役女子大生が働いているという。

しかしそれは「整形手術の借金を返すため」というような理由によるものではなく、「そうするしかない」からであるようなのだ。

風俗で働かないと学校に通えず、生活していけない

この十数年、大学キャンパスは貧困の巣窟だ。

学生たちは日本が選択した新自由主義路線によって、あらゆる方向から割を食っている。

具体的には雇用政策による親の収入減、学費の高騰、親の無理解による給付放棄、そんななかでコロナショックに襲われている。

ただでさえ苦しいなかでオンライン授業を強制され、生活のかかったアルバイト先はなくなり、楽しみにしていた成人式は奪われ、それでも容赦なく高額な学費納入を迫られている。(60ページより)

もちろん、「男子学生だって同じように苦労している」という反論もあるだろうし、それも間違いのない事実だ。

しかし相対的に女性の場合、よりリスクが大きくなってしまうのも事実ではないか?

そもそも彼女たちが風俗で働くのは、そうしないと学校に通えないし、生活していけないからだ。

ホストに貢いでいる人たちとは話が違うのだから、(その是非はともかくも)風俗嬢とひとくくりにはできないわけである。

今、風俗嬢に女子大生があまりに多い。仮にリアルなデータがとれれば衝撃的な結果となるはずだ。

男女関係なく、学生は親の協力や給付がなければ一勢に困窮状態となる。困窮する学生は空腹で飢えるわけでも、汚い服を着ているわけでも、スマホを持っていないわけでもない。

その苦しさは可視化されない。見えないので親の協力がある恵まれた学生や、大学関係者は身近な隣人の過酷な現実を理解できない。(61ページより)

さらにいえば風俗嬢は社会からの差別や返還が強い職業であるため、誰もが人に隠しながら働いているという。

それもまた、現実が可視化されない理由のひとつだろう。

これが“どこにでもある女子大生の日常”になっている異常さ

たとえばここでは、東京六大学文系学部の3年生の証言が紹介されている。

2020年3月、著者がある衆議院議員に“大学生の貧困”の現状報告をするため永田町の議員会館を訪ねた際、そこに同行した女子大生だ。

「ピンサロで働き始めたのは大学2年の夏休みからです。どう考えても大学生を続けるためには、もうそれしかないって判断でした。〇〇駅近くのピンサロで30分8000円の店、時給2000円。基本時給に指名料や歩合給がつきます。コロナ前だったら1日2万円くらいは稼げて、今はその4割くらい。仕事内容はお客1人につき30分で15分しゃべって15分でプレイとか。(後略)」

多摩地区にあるマンションは家賃6万5000円。

光熱費2万円、携帯代8000円、食費4万円と、固定費だけで13万円弱。

さらにサークル、交遊、洋服、書籍、交通費などを含めると月の生活費は20万円近くに。

月12万円の第二種奨学金をフルで借りており、学費を引いた残りを生活費にあてているという。

過去にもさまざまな時給で仕事をしてきたが、授業とサークル以外のすべての時間を効率よく使って働いたとしても、せいぜい月8万円程度。

どう考えてもお金が足りないため「水商売しかない」と面接に出向き、誘導されるままピンサロ嬢になった。

「夜をすれば生きていけるんじゃないかって。大学1年、2年の前期は支払いに追われて、本当にギリギリでした。生活費を削って、食費も限界まで削って、家賃とか光熱費の支払いにあてた。ご飯も上野公園のハトのほうがいいものを食べている、みたいな。学費は奨学金で払っていて、親からの給付はほとんどないです。ゼロに近くて、そういう子は同級生にもたくさんいます。みんな経済的に追い詰められています」(67ページより)

著者によれば、彼女が話しているのは“どこにでもある女子大生の日常”なのだそうだ。

著者と同年齢の女性秘書は話を聞きながら泣いてしまったというが、たしかに涙を誘うほどショッキングな話ではある。

いずれにしても、こういったことが日常化していることこそがこの国の異常性なのではないだろうか?

ネットの声

「私も仕送りがなく、学費、家賃、生活費、交際費を奨学金とアルバイト代ですべて自身で払っていましたが、収入を得るために風俗を活用したことはありません。周りがブランド物を購入したり海外旅行に行っても我慢していました。苦学生=風俗で働くといった価値観を植え付けるような記事などはやめてほしいです。苦学生じゃない方もたくさん働いたりしているし、そこは個人の選択の一つであって、わざわざ苦学生だけを取り上げることに不快感を感じます。」

「実家から通えてアパート借りずに済む大学に行きなよ。私立大学に行きながらアパートを借りれば年300~400万はかかるんだからそんな金額を出せる親はほぼいない。昔はそれでも東京に出るような人は下宿したり、親戚にお世話になったりしてたんだよ。安易に生活費まで奨学金借りる人もいるしもう少し大学行く前に勉強以外のことも学ぶべきではないか。」

「大変悪いけど、「そこまでして大学に行く必要があるのか」「その時点で就職の道を選ぶべきではないのか」と思うのですけど。

さっくり切ってるけど「では男子学生は?」という疑問もアリ。
勿論「女子学生は安易に稼げてしまう」って面はあると思うけど、「男子学生がタコ部屋に流れてる」なんて聞かないし。
「稼げないから諦めて就職してる」ならそれが見習うべき道ではと思うけど。」

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