気になる皇室の普段の食事…豪華?平凡??

天皇陛下の普段のお食事は?意外と平凡だけど、食材は究極のオーガニック!

皇室の方々が日々何を食しているのか、気になったことはありませんか?

いったいどんな献立を頂いているのか…。

きっと日々、老舗割烹料理のようなものを食べているに違いない。そんな風に考えている人もいるかもしれません。

天皇家の台所~御料牧場は大久保利通が生みの親

〈昭和59年 ある一日の例〉
朝食…オートミール、キャベツのスープ、サラダ(トマト、レタス、きゅうり)、牛乳、ヨーグルト
昼食…パン、シイタケの煮込み、スープ、若鳥のチーズ焼き、牛乳、焼き物
夕食…麦飯、お味噌汁、子芋といんげんの味付け、ワラサの照り焼き、ほうれん草のおひたし

〈平成2年3月の例〉
朝食…パン、フルーツ(リンゴ)、牛乳、ジャム
昼食…スープ、魚、グラタン、サラダ
夕食…麦飯(麦は20%)、わかめのお味噌汁、天ぷら三品、魚二品、小松菜のおひたし

普段私たちが口にしているものとそれほど変わない印象です。

しかし、それら食材の出どころが大きく違います。

天皇家のお食事は、御料牧場の食材を中心に、市販の添加物は使用せず自然の食材の味を生かし、宮内庁大膳の調理師が調理しています。

御料牧場というのは、皇室専用の牧場で栃木県の高根沢町にあります。

実はこの御料牧場に尽力したのは大久保利通。

明治四年、伊藤博文らとイギリスやドイツなどを視察した大久保利通が、ヨーロッパの王室が農場を所有しており、そこから食材を調達し、国外のゲストを招いて食卓外交を展開していたことに刺激をうけ、日本の皇室にも…と考えたそうです。

素材と方法が違う

昭和天皇は、石塚左玄という明治期の漢方医の「身土不二(地元の旬の食品や伝統食が身体に良いという地産地消の考え)」「食べ物で病を治す」、いわば医食同源の考えに非常に共鳴されたとか。

乳製品
天皇家にメニューには朝食のヨーグルトが欠かせないそうです。

一般的な日本人にヨーグルトが広まる前から、御料牧場では半世紀近く「カルグルト」と呼ばれる、牛乳から脂肪分を除いた乳酸飲料が受け継がれています。

濃縮された液体で水割りにするとサワーのような味がするそうです。

御料牧場の牛乳は、ホルスタインとジャージーのミックスで、さんさんと陽光が降り注ぐ広大な牧草地に放牧され、農薬のない牧草やほし草などの自給飼料でまかなわれ、なんと毎日二回シャワーを浴びているそうです。

そうすることでストレスがなくなり、美味しい乳を出すそうです。

また、殺菌方法も違います。

市販のものは大量生産するために効率的な超高温殺菌法で処理されていますが、風味や成分が壊れてしまいます。

御料牧場は風味、味、栄養を損なわない低温殺菌で処理されています。

野菜、肉はほぼ御料牧場から!

〈野菜〉
農薬や化学肥料を使わないオーガニック栽培で、土づくりからこだわっており、馬糞を一年以上熟成させた堆肥を使っています。

牧場には馬が43頭いるので、十分な量を確保できるとか。

また、土は「連作障害」といって同じ場所で同じ野菜を作り続けると、その野菜特有の病虫害が土壌に発生してしまうとか。

例えばさつまいもの場合、さつまいもを作った後は翌シーズンまで麦やマリーゴールドなどを植えると、さつまいもに大敵の線虫の発生を防ぐことができるそうです。

御料牧場では連作をなるべくさけ、農薬を使わずに蒸気で土を消毒しているそうです。

〈肉〉
豚肉は放牧され、暑い日はシャワーを浴びることもできるそう。

大量生産する養豚場では日が差さず暗く狭い豚舎で、農薬だらけの飼料を与えていることも。

牛や豚は飼料により、その肉の味が変わることはよく知られていますね。

昭和30年代には魚が多く捕れたため、魚粉を多く与えた養豚場が増え、魚臭い豚が増えたそうですよ。

御料牧場では羊や鶏肉、牛も同じように放牧が基本です。

お米
御料牧場には水田がないので、お米は御用達の米屋が納入しているそう。

文京区の小黒米店が御用達の一つで、日本列島の限られた水田で生産されたコメを厳選しています。

晩餐会や誕生日の献立は?

日常の食事ではなく、特別な日の食事は何が供されるのでしょうか。

一例をみてみましょう。

〈1994年6月16日の皇族を招いた宮中晩餐会〉
フォアグラのテリーヌ
トマト香味ヴィしそわーず
鮮魚のミルフィーユ パイ包み
牛フィレ肉胡椒風味 野菜添え
レモン風味 トマトサラダ
フルーツのスープ仕立て アイスクリーム添え
マスカット、苺
〈天皇誕生日 ※平成2年12月23日〉
汁物(白味噌仕立ての巻鯉・柚子)
作身(鮃・松笠烏賊・からすみ・白髭大根・防風・紅葱・打胡瓜・花山葵)
取肴(日の出蒲鉾・松風焼若鶏・鶴亀羹)
焼物(塩焼姿鯛・阿茶羅菊蕪・酢取生姜)
温物(鰻、筍、銀杏、菠薐草〈ほうれんそう〉の茶碗蒸し)
日本酒

読めない種類のお野菜も多数!産地にこだわった、素朴ながらも手間暇かけた和食という印象です。

もちろん外国元首には別の食材が提供されます。

西洋といえば肉料理ですが、牛、豚、鶏、羊などすべてその味は、母国よりも美味いと言わしめるほどだそうです。

実は現代のカロリーベースの西洋的な考えは、19世紀のドイツ人のフォイトが考えてアメリカで普及しました。

ドイツのミュンヘンの寒冷地で20人の若者をベースに考えられたものだそうです。

これを、体格も食生活も違う日本人がまるまるマネする必要はなく、調子が悪いときは「絶食」し胃腸を休めるとよいそうです。

戦後に入ってきたと思われる、「一日三食食べなくては!」という思い込みを捨て、現代人はもっと体の声を聞いた方がよさそうです。

また、天皇家のような無農薬の野菜や肉を毎回いただくことはできなくても、地産地消で近くの農家の作物を選ぶなど、学ぶところは大いにあるかもしれません。



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