堂々と老いる 田原総一朗 (著) 毎日新聞出版 (2021/11/27) 1,430円

滑舌(かつぜつ)は悪くなったし、物忘れも激しくなった。

だけど悔しくない。

87歳の現役ジャーナリストが満を持して贈る激烈エッセイ。

著者は、深夜討論番組「朝まで生テレビ! 」の司会者としてすっかりお馴染みの顔だ。

直撃、追求、たたみかけ――87歳の現在もアグレッシブに、まさに命を賭けてナマ討論に挑み続けている。

その著者が、初めて「老い」について真っ向から取り組んだのが本書だ。

「これまでずっと、好きなことをやるぞと思って生きてきた」と振り返る。

「好奇心が強いから、次から次へとやりたいことが湧いてくる。会ってみたいと思ったらすぐ会う」と語る。

一方、老年期を迎えた男性たちはどうだろうか。

「100歳まで生きなきゃならないという戸惑いがある。死ぬ前の老後の生き方がわからない人が多い。男は、趣味のゴルフも麻雀も酒を飲むのも全部、サラリーマンとして会社の付き合いでしていたことで、定年になると孤独になる。どう生きればいいかわからなくなる。ここで男たちは下手すると鬱になるし、場合によっては自殺するなんてこともある」

と分析する。

新型コロナウイルスの世界的流行によって生活様式が大きく変化した今、高齢者の働き方、生き方にもいっそう関心が集まっている。

「変化の時代」が確実に到来したと著者は断言する。

「従来の人生設計を書き換えて、自ら行動し、面白がって生きる未来だ。やりたいことが今はまだわからない人も大丈夫。とにかく世の中を面白がることから始めよう」

「老い」に対する心構えに始まり、健康維持のための日課、社会とのつながり方、家族との付き合い方など、自身の体験や同年代の友人の意見なども交えながら具体的に紹介。

稀代のジャーナリストが人生を謳歌する秘訣を伝授する。

【目次】
第1章 「老い」は悪いことばかりじゃない
長生きはできないと思っていた/フリーランスになった途端、謎の症状に襲われる/還暦を迎え、鬱状態に陥った/大病をして初めて考えた「生きる意味」/面白ければ疲れなど感じない/滑舌の悪さをプラスにとらえる/物忘れは脳を鍛えるチャンス/補聴器をつけたら怒らなくなった/老いは未知への冒険 ほか

第2章 よく寝て食べて健やかに老いる
高齢者ほど歯が大事/すべてを任せられる主治医の見つけ方/「一病息災」が健康を守る/人間ドックは年に1度のメンテナンス/30年以上のルーティンを守り、朝食は自分でつくる/疲れた脳は甘いもので回復させる/一日大さじ1杯のオリーブオイル健康法/どんなに疲れていても必ず湯船につかる ほか

第3章 年をとっても、脳は使えば使うほど活性化する
孤独を味方につければ何でもできる/人と向き合う趣味が脳を活性化する/聞く姿勢がコミュニケーションのカギ/嫌われ老人にならないために/若者への提言も高齢者の役目である/高校の同窓会で元気をもらう/恋愛に年齢制限はない/おしゃれを忘れてはいけない/大人になってからの勉強はがぜん面白くなる/60歳以上の9割が「定年後も働きたい」 ほか

第4章 いくつになっても生きがいは見つけられる
オンラインが高齢者の可能性を広げる/面白そうな誘いは断らない/できないことがあっても気にしない/ボランティアに参加し地域と関わる/新聞は大人の知的好奇心を刺激する/社会をよくするために政治に関心を持つ/読書は興味の幅を広げ想像力を培う/佐藤優さんに聞く「真の教養」を身につける方法/歴史を学ぶ意義 ほか

第5章 家族とのほどよい関係の保ち方
妻の乳がん発覚、夫婦で治療法を模索した/長い不倫、激しい自責の念に襲われる/妻の介護は濃密でかけがえのない時間/最愛の妻の死後、抜け殻のようになった/独り身のつらさを乗り越えるための対処法/家族の言うことには素直に耳を傾ける/終活には興味がない/もしもに備えて資産情報や知人の連絡先を家族に伝えておく/死ぬ間際まで、楽しく生きたい ほか

「誰にでも来る逃げられない老いを受け入れて、エネルギッシュで楽天的に好奇心のままに生きていいんだ、と気が楽になった。」


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