ラテン語の名文として名高いガリア戦記はローマの将軍カエサルが紀元前58年から51年にかけてガリア(現在のフランス)に遠征したときに書いたものです。
当時の遠征にはローマでも賛否があり、それを肯定するためにかかれた言わば自己宣伝の戦記とも言われていますが、リーダーになるための重要な手がかりになるような名文がちりばめられているまさに名著と呼ばれているのです。
危機に直面してもなお冷静さを失わず、常に最善の策を模索するカエサルはまさにリーダーに相応しい傑出した人物と言えます。
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リーダー必読のガリア戦記
うえからの指示がなくても…
「各兵士が自分がなすべきことを自分で判断できるようになっていた」と続きます。
ガリア戦記の中では経験の豊富さが兵士を成長させていることを説いています。
これはリーダーが部下に経験を積ませる現代にも通じるものです。
各軍団が陣地の完成まで壕にとどまっていたこと
これには注釈が必要なのですが、各部隊の指揮官が適宜自分の判断で適切な行動を取っていたことを説明しています。
大事な局面ではカエサル自らが指示を出すのですが、局地的な部分では各部隊の判断に行動を委ねるということが統率するリーダーには大事な資質なのです。
もはや帰るにも他に船がなく修理に必要なものすべてが不足し…
ガリア戦記では自画自賛にならないように、自分自身が失敗したことも包み隠さず書かれています。
その潔さもガリア戦記を名著たらしめている要因でもあるのです。
成功は戦闘そのものにではなく、機会を上手くつかむことにある
負けることを知らなかったカエサルですが、その極意はこの文章にあったのです。
現代の言葉で置き換えると「情報」を重視した戦略で相手よりも優位に立つ機会を待っていたということになります。
結果として勝たなければならないこと、遠征であるがために兵士の損耗を少しでも減らしたいことが念頭にあったことは間違いありません。
必ず必要になる物資を押さえる
これからのことを指し示しています。
リーダーの資質として必要なものをできるだけ押さえておくことが大事と説いているのです。
現代に置き換えるとマーケティングであることは間違いありません。
まとめ
ガリア戦記の中ではカエサルの言ったことが口上筆記と呼ばれる形式で簡潔明瞭に記述されています。
戦闘が克明に記述されている部分は当時の戦争がよくわかる資料としても一級品なのですが、旅行記としての読み物としても良くできています。
そして、人を統率するリーダーとしてのものの考え方は2千年の時代を超えても、名言として私たちの心に響き続けているのです。
カエサル『ガリア戦記』第Ⅰ巻をラテン語で読む 1-6節: すべての単語の文法説明
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