“悪王女”鮎子が生きることの意味を探す、究極の純愛小説。
画家を父に持つ鮎子は、逆子だったため帝王切開で生まれた。
一度お腹を開くと次から自然分娩はできない。出産が一番の快楽だという母は、それを奪われたとして鮎子を責めた。
両親の画才を受け継いだ鮎子は東京藝術大学に進学し、京都から上京する。
ある日、藝大の裏山でイボテンと名乗る男と出会い、ひょんなことから関係を持つことに。
それ以後、四六時中、セックスばかりの毎日を送るようになる。
そんななか、夏休みに帰省することを告げた鮎子を、イボテンさんは殴って出ていった。
鮎子は、実家で小説家の我謝さんと会い、彼の故郷である沖縄で共に夏を過ごす。
そして大学に戻ったとき、イボテンさんが自殺したことを知った。
突然の“不在”に足元から崩れ落ちるような感覚に陥る鮎子。
こっそり忍び込んだ彼の家には、キャンパスに描かれた裸の鮎子が残されており、なぜだかその絵に釘づけになってしまう。
そして鮎子は思いもよらずその絵を盗み出す。
イボテンさんの存在の大きさと絵を描くことの本質に行き当たり、ひたすら絵を描くようになった鮎子は、ついに自分だけのモチーフを見つけることに……。
若い女性芸術家の視点で描く、濃厚でみずみずしい長編小説。
花村萬月 花折第5回読了。これはなんというか…芸術とは猥褻なり。そんな言葉が浮かんだ。なんとも蠱惑的で人をひきよせてならない。主人公のアユは一つの美しい芸術品だ。何人もの男が惑っていく。それは身体だけではなく内面にある死と再生性。故に薫る何かかもしれない。彼女は肉体的に生きながら
— ミシュマロママ@読書垢 (@yomikatumama) September 14, 2020
【著者略歴】
1955年東京生まれ。89年『ゴッド・ブレイス物語』で小説すばる新人賞を受賞し、作家デビュー。98年『皆月』で吉川英治文学新人賞を、『ゲルマニウムの夜』で芥川賞をそれぞれ受賞。2017年『日蝕えつきる』で第30回柴田錬三郎賞受賞。『眠り猫』『なで肩の狐』『鬱』『二進法の犬』『百万遍 青の時代』『私の庭 浅草篇』『たびを』『愛情』『錏娥哢た』『少年曲馬団』『ワルツ』など著書多数。
花村萬月さんの小説【花折】読了。萬月さんは大好きな作家の一人。一時期どっぷり浸かってた。作品もほぼ全て読んでる。が、これはイマイチ。というか置きに行った感が半端ない。舞台が沖縄に京都って散々他の作品でも描いたじゃん。で、萬月さんはやっぱり文学に振るよりもエンタメのほうがいいな。
— 飛成 (@HINARI10) December 24, 2018
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