星落ちて、なお 澤田瞳子(著) 文藝春秋 (2021/5/12)

鬼才・河鍋暁斎を父に持った娘・暁翠の数奇な人生とは――。

父の影に翻弄され、激動の時代を生き抜いた女絵師の一代記。

不世出の絵師、河鍋暁斎が死んだ。残された娘のとよ(暁翠)に対し、腹違いの兄・周三郎は事あるごとに難癖をつけてくる。

早くから養子に出されたことを逆恨みしているのかもしれない。

暁斎の死によって、これまで河鍋家の中で辛うじて保たれていた均衡が崩れた。

兄はもとより、弟の記六は根無し草のような生活にどっぷりつかり頼りなく、妹のきくは病弱で長くは生きられそうもない。
河鍋一門の行末はとよの双肩にかかっっているのだった――。

「現時点では、彼女の最高傑作だと言えます。母の澤田ふじ子さんも天才でしたが、その娘さんの瞳子さんも天才です。是非、多くの人に読んでほしいと思います。」

「自らを「画鬼」と称した河鍋暁斎の亡きあと、娘、暁翠の歩みを追っていく。その画力は受け継がれているのか。
血ではなく墨で結ばれし家族なのか。明治から大正へと時代は流れていく。世間の絵の見方、画法は変わりつつ、絵とともに生きる。凛として立てども、「星落ちて、なお」も、生き方に葛藤する日々。「人は喜び、楽しんでいいのだ。生きる苦しみ哀しみと、それは決して矛盾しはしない」「たった一瞬の輝きは生涯を照らす灯となる」その言葉に落涙する。」


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