孤独の哲学 岸見一郎 (著) 中央公論新社 (2022/5/10) 924円

孤独感や孤立とどう向き合うべきか?

どうすれば克服できるのか?

老いや死への恐れ、コロナ禍やSNSの誹謗中傷などますます生きづらくなる社会に、「救い」はあるのか?

著者はアドラー心理学を読み解く第一人者だが、NHKの「100分de名著」では三木清の『人生論ノート』やマルクス・アウレリウスの『自省録』を取り上げるなど、古今東西の哲学に詳しい。

哲人たちの思索の上に、自らの育児、介護、教職経験を重ねて綴る人生論。

著者について
岸見一郎
1956年京都生まれ。哲学者。京都大学大学院文学研究科博士課程満期退学(西洋古代哲学史専攻)。京都教育大学教育学部、奈良女子大学文学部(哲学・古代ギリシア語)、近大姫路大学看護学部、教育学部(生命倫理)非常勤講師、京都聖カタリナ高校看護専攻科(心理学)非常勤講師を歴任。専門の哲学に並行してアドラー心理学を研究。ミリオンセラー『嫌われる勇気』『幸せになる勇気』(以上、古賀史健氏との共著)をはじめ、『困った時のアドラー心理学』『人生を変える勇気』『アドラーをじっくり読む』など著書多数。

「前半は、様々な状況から起こりうる孤独と、その孤独から起こってくる状況が、日常の具体的な場面を考察しながら取り上げられています。
その時、自分自身も振り返らされるのが、さすが哲学者だと思います。

そして、三木清の言葉を引用からの考察でガラッと孤独の捉え方が変わります。

喪失感と孤独の違い。
孤独感と孤独。
孤独は知性に属すること。
そして、孤独は最も深い愛に根ざしていること。

それが他者への信頼であること。

三木の言葉で「物を作ることによって」自信が生じ、「人間は物を作ることによって自己を作り、かくて個性になる」と引かれています。
確かに、個性とは孤独かもしれない。

そして、自信を持つということは、「信じてくれる人はいる」ということにつながる。
それが無条件に信じるということなんだろう。
「信じてくれる人がいる」ことを信じられるかどうかが本当の意味での問題なのだなあと思いました。

そして、真に孤独でいられるのは、それができる人なんですね。

ひとりでいられる人が、他者の存在を信じて他者と結びついていく。

ここが孤独の本当の目的地なのだと思いました。

最後に、もっと難しいことが出てきます。
自分と考えを異にする相手とも結びついていると思えるまでの道のり。

そこまでは遠いかもしれないが、この「孤独の哲学」を知っているのは違うだろうといわれています。

個性を大切にする人に是非読んでほしい。」


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