マスカレード・ゲーム 東野圭吾 (著) 集英社 (2022/4/20) 1,815円

解決の糸口すらつかめない3つの殺人事件。

捜査によって判明した共通点は、その殺害方法と、被害者はみな過去に人を死なせた人間であることだった。

刑事・新田、再びホテル・コルテシア東京へ。

累計480万部突破、シリーズ集大成。

【著者略歴】
東野圭吾 ひがしの・けいご
1958年大阪府生まれ。大阪府立大学工学部卒業。85年『放課後』で第31回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。99年『秘密』で第52回日本推理作家協会賞、2006年『容疑者Xの献身』で第134回直木三十五賞と第6回本格ミステリ大賞、12年『ナミヤ雑貨店の奇蹟』で第7回中央公論文芸賞、13年『夢幻花』で第26回柴田錬三郎賞、14年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞を受賞。19年に第1回野間出版文化賞を受賞。『分身』『白夜行』『幻夜』『黒笑小説』『マスカレード・ホテル』『マスカレード・イブ』『マスカレード・ナイト』『白鳥とコウモリ』『透明な螺旋』など著書多数。

「警視庁捜査一課・新田浩介警部がホテル・コルテシア東京を舞台に起こらんとする事件を未然に防ぐべく潜入捜査に赴くこのシリーズも4作目。相棒(?)の山岸尚美も健在である。
東野圭吾作品に極端な駄作はないので、新刊が出れば即購入しているのだが、『マスカレード』は同じ著者の加賀恭一郎シリーズやガリレオシリーズに比べるとちょっとストーリーが軽めかな。そもそも同じホテルに何度も事件のタネが転がり込むという設定に無理があると思う。山岸尚美を出さなきゃならないから、必然なんだろうけど。
さて、今回のお話。
人を死に至らしめた前歴を持つ者が3人立て続けに刺殺されて連続殺人の疑いが浮かび、その上事件の関係者が揃いも揃ってクリスマスを控えたホテル・コルテシア東京に宿泊するという。すわ、「次の舞台はここか」というので、新田警部、またまたホテルマンに変身!
…なのだが、どうにも話のテンポが緩いし、捜査の進め方自体がパターン化してしまっているので、なかなか苦しい。これじゃ間がもたないと思ってか、やり手だけど脱法捜査も厭わず暴走しがちな梓警部をライバル格で登場させてはしているものの、流石に新田-梓の性格付けにコントラストがあり過ぎてマンガのようだ。梓の強引な手法に見て見ぬふりの上司たちも論外。挙句に、事の真相は「なんだかなぁ」という代物である。要するに、作品の出来としてはイマイチと言うしかない。
なお、本作のラストで新田浩介に大きな転機が訪れる展開にはちょっと吃驚。しかし、そうなるとこのシリーズは続けられるのか? 舞台がホテル・コルテシア東京に限定されると、話がいよいよこじんまりしてしまって、袋小路に入るのが目に見えるようで心配だ。ついでながら東野圭吾も早62歳で、創作力の方も…。ガリレオ最新作もハズレだったし、さ。
最後に。あの映画のせいで、本作を読んでいても頭のなかで新田警部がキムタクに置き換わってしまって困った。山岸尚美と長澤まさみは被らないんだが…。恐るべきは、キムタクである。」

「犯人は予想外の人物で今回も楽しめました。全ての読者にお勧めします。」


(↑クリックするとAmazonのサイトへジャンプします)

 

おすすめの記事