当年78歳、今日も夜勤で、施設見回ります (日記シリーズ)
ベストセラー日記シリーズ最新刊!
精神(知的)障害者のグループホームに8年にわたって勤務する著者が描く、障害者グループホームの実態、 障害者たちとの悪戦苦闘……その笑いと悲哀の記録
「障害者支援員」の世界に飛び込んで見えてきたのは、これまでに見たこともない人間の不思議な景色だった。
〈「自立」とは衣食住などをこなすだけではない。自分で稼ぎ、自分で使うという”充実感”を持つことも(略〉
職業日記シリーズ最新刊は、松本孝夫『障害者支援員もやもや日記』
障害者施設であることを理由に町内会に入れないことから収集場所にゴミを出せないetc 尊厳とは?の問いが読むうちに際立つ pic.twitter.com/tOJ4wqdLdY
— urbansea (@urbansea) January 22, 2023
まえがき――勘違いで飛び込んだ世界
第1章 障害者支援員、走りまわる
某月某日 裸足で追いかける : 素っ裸で逃げていく男
某月某日 無銭飲食 : お金もないのに…
某月某日 コンビニオーナー : 偏見の取れない店員
某月某日 ディズニーシー : 申し訳ない「役得」
某月某日 一触即発 : 車内でのケンカを回避する方法
某月某日 深夜のトイレ掃除 : 便器から出てきたのは…
某月某日 おしっこ : それでも憎めない
某月某日 熱血教師 : 人間関係は難しい
某月某日 こんな夜中に : 真っ暗なリビングルームの隅で
第2章 ホームは今日も大混乱
某月某日 職探し : いつのまにやら支援員
某月某日 テスト勤務 : 確認係、失格!
某月某日 初顔合わせ : 怖そうな人、やさしそうな人
某月某日 宿泊勤務、手当て5000円 : 夜勤はおトク?
某月某日 危険水域 : 「ベテラン」からの注意
某月某日 いっぱい血が出る? : 包丁ぶらんぶらん
某月某日 とんぷく! : 統合失調症の特徴
某月某日 医療少年院で学んだこと : 父と子の会話
某月某日 いちばん偉い人は? : お父さんはなぜ来ない
某月某日 写真立て : やさしい彼の、さみしい涙
某月某日 労働災害 : 「何かに噛まれたんですか?」
某月某日 秒読み : バスに間に合わせろ
某月某日 精神科病院へ : エリア長、苦渋の決断
第3章 男親は逃げる、女親は…
某月某日 けじめの??? : 腰痛でも追いかける
某月某日 虐待疑惑 : 感情で叱ったことはありません
某月某日 クイズブーム : 「障害」ってなんだ?
某月某日 氷山の一角 : 非常ベルが鳴る夜に
某月某日 モノクロの風景 : 病院見舞い
某月某日 男親は逃げる : 知的障害と学習障害
某月某日 心の〝妻さん〟 : 「彼女がパニくるといけないから」
某月某日 根性焼き : 授産施設のありがたさ
某月某日 彼が仕事を辞めたワケ : 無理解と挫折
某月某日 人権ってなんだ? : 津久井やまゆり園事件
某月某日 救急車 : 熱血先生、敗れる
第4章 それでも生きていく
某月某日 返ってくる : 期待と不安と
某月某日 薄氷を踏む : 洗濯療法の実践
某月某日 見て見ぬふりの「性」 : 人に言えないのですが…
某月某日 教育ママ : 言うべきことは遠慮なく
某月某日 「働いて稼ぐこと」の意味 : 自立とは何か?
某月某日 偏見が重すぎる : キチガイは山の中の施設に
某月某日 成長していく : 小学2年生用の漢字ドリル
某月某日 家に帰りたい : カンファレンスでの大作戦
某月某日 別人みたい : 「また来るからな」
あとがき――休職と復職
■松本孝夫??三五館シンシャ
「障害者支援員もやもや日記」殴られ,蹴られ,
噛みつかれる仕事
支援員がそれでも続ける理由と意味本書を読めば,障害者の人たちが愛すべき仲間だとよくわかる。知性と教養と優しさが光る好著
池田清彦絶賛! pic.twitter.com/yCM8lGuhIR— 新聞広告めで郎の新春 (@Newspaperadver2) January 27, 2023
著者について
松本孝夫(まつもと・たかお)
1944年、山口県生まれ。大学卒業後、会社員、ライターなどを経て、会社を立ち上げるも倒産。70歳を目前に職探しをする中、高齢者ホームだと勘違いして受けた面接を経て、精神(知的)障害者のグループホームに就職。以来、8年にわたって勤務しながら、障害者が置かれた厳しい立場や偏見に苦しむ親の思いを知る。現場で見つめてきた「綺麗事の通用しない世界」を本作に描く。
「障害児を持つお母さんを知っているので関心があって手に取りました。読書家でもない私が通して読んだ初めての本です。意外性があり大変面白かったです。
たとえば精神障害者が程度の軽重に関係なく、皆働いてお給金をもらっているということに驚きました。そのほかたくさん驚かされ、何度も涙があふれました。著者が上の人に虐待しているのではないかと疑われて「一度たりと障害者を感情で叱ったことはありません」と言った場面で、障害者全員に温かい心を持っていることを感じました。もし、私の子供が障害を持っていたらこういう職員さんに任せたいと思いました。」「肩のこらないタイトルに惹かれて読み始めたが、予想以上の展開の面白さに一気に読み終えてしまった。終章に向かいながら気持ちを明るくしてくれる不思議な涙が流れた。
読みながら私が若い頃に読んだ有吉佐和子の『恍惚の人』の衝撃を思い出していた。あれも、当時は知られていなかった認知症を扱った本だった。大ベストセラーになり映画化されてもいる。この本はあれと同じ、いや、分かりにくい精神障害者の実態をここまで見せてくれた点では『恍惚の人』以上に価値ある作品ではなかろうかと思った。軽いタイトルだがとても大切なテーマをすごく読みやすく、かつ面白く描写してくれている。良本です。」「私にも自閉症で精神病院に長期入院させている子供がいるので、とても共感しながら読んだ。
昔ほどではないが、まだまだ障害者についての世間の偏見の目は厳しく、でもそんな中で支援員として懸命に働く支援員の方々には頭が下がる思いだ。
筆者にも、障害者に対する深い愛情と献身ぶりが認められ、何だか救われる思いがした。
ノーマライゼーションと言いながらも、今だ障害者の社会での居場所と出番は限定されている。もっと障害者が活き活きと生活できる世の中になってほしいと思わずにいられない。」
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