新・階級闘争論 暴走するメディア・SNS 門田隆将(著) ワック (2021/4/27)

「何か」がおかしい。でも、その「何か」がわからない。

そんな思いを持つ人が増えている。

そういう方には「今が歴史の岐路」という認識を以って、本書をぜひ開いてみて欲しい。

森喜朗元首相が“切り貼り”で全く正反対の発言内容にされて“集団リンチ”となり、世界中から糾弾を受けて五輪組織委員会の会長の座を追われた。

また接待を受けた元総務省の女性内閣広報官も、SNSで袋叩きに遭って職を去った。

そして、本来、五輪とは「アスリートのために存在する」ものなのに、まったくスポーツと関係のない勢力によってオリンピック中止が叫ばれる。

この人たちは、極限まで努力を続けてきたアスリートたちの想いを知っているのだろうか。

競泳の池江璃花子選手が奇跡の復活劇で見せた涙を見るまでもなく、アスリートたちの想いに「できるだけ応えてあげたい」と思うのが人としての情ではないだろうか。

しかし、そういうものを全て否定する冷ややかな“負の運動”がことあるごとに展開されている。

あらゆるものが不満の材料にされ、気がつかないうちに自分自身が不利益、差別、理不尽な現象などの「被害者である」との認識を受えつけられ、

社会への不満を高めているのである。

日本だけでなく、海外でも米国のジョージ・フロイド事件に代表される激しい人種差別糾弾、大統領選で見えた不正疑惑の数々、またフランスで起こった「キャンセルカルチャー」の凄まじい実態…等、世界がその只中にある。

これは、性別、収入、学歴、人種、性的指向、職業、価値観……等々、人間の持っているあらゆる「差異」を強調してつくり上げられた、本来は存在しない「階級」「階層」による“新・階級闘争”なのである。

たとえ小さく些細なものでも、そこにある「差異」をことさら強調することによって“差別の被害者”を生み出し、それに対する「不満」を利用して、本来はあり得ない一種の「階級闘争」に知らぬ間に私たちは持っていかれているのである。
「上級国民」などという言葉は象徴的だ。

21世紀の現在、20世紀の一時期を席捲した「階級闘争」が姿を変えて世界を覆い始めている。

ネットのSNS(交流サイト)という、歴史上なかった「情報伝達手段」で巻き起こっているこの「革命」の正体を知り、これに躍らされることなく、異論を許さない「全体主義」に立ち向かう――その重要性を筆者は説いている。

本書は、自由で誇りある日本を守りたい方々に贈る“本当の自由とは何か”を考えるための「バイブル」である。

著者について
作家、ジャーナリスト。1958(昭和33)年、高知県生まれ。中央大学法学部卒業後、新潮社入社。『週刊新潮』編集部記者、デスク、次長、副部長を経て、2008年4月独立。『この命、義に捧ぐ─台湾を救った陸軍中将根本博の奇跡』(集英社、後に角川文庫)で第19回山本七平賞受賞。主な著書に『死の淵を見た男─吉田昌郎と福島第一原発』(角川文庫)、『オウム死刑囚 魂の遍歴─井上嘉浩 すべての罪はわが身にあり』『日本、遥かなり─エルトゥールルの「奇跡」と邦人救出の「迷走」』(PHP研究所)、『なぜ君は絶望と闘えたのか─本村洋の3300日』(新潮文庫)、『甲子園への遺言』(講談社文庫)、『汝、ふたつの故国に殉ず』(KADOKAWA)、『疫病2020』『新聞という病』(産経新聞出版)、『日本を覆うドリーマーたちの「自己陶酔」』(ワック)などベストセラー多数。

「本書の書名である「階級闘争」といえば、マルクスとエンゲルスの『共産党宣言』を想起する。本書でもその一節「ひとつの怪物がヨーロッパを徘徊している。共産主義の怪物が。古いヨーロッパのすべての権力がこの怪物の神聖な退治のために、同盟している」が引用もされている。
21世紀のいま、その「怪物」とは……。それが容共リベラルというのか左翼全体主義というのか環境全体主義というのか、ポリティカルコレクトネス大好き人間というか性差別絶対反対主義者というのか、SNSを駆使して既成メディアと結託するような形で「世論」「空気」を都合のいいように支配しようとしているのではないかというのが著者の問題意識のようだ。その典型が、この前の森元首相に対する執拗な「メディアリンチ」であったと指摘。著者の古巣で、そうした左翼全体主義とは果敢に闘ってきた新潮社でさえ、「新潮45」の廃刊に追い詰められた。
ここ数年の内外のそうした「怪物」の動きを「ペン」で鋭く追及し、時にはバッサリと切り捨てたメモワール。読みごたえのある一冊だった。」

「階級闘争というと「資本家」と「労働者」のイメージが浮かぶが、ここでいわれる階級闘争(新版)とは、過激なリベラル派と反リベラル(保守)との「闘争」を意味しているようだ。
とりわけ極端な「男女平等」というか、性差別を許さないといったリベラルな面々が、森元首相の些細な発言を切り貼りして「差別だ」と吠えて、その地位を奪ったのは「メディアリンチ」ではないかと門田氏は追及している。毎度のように朝日などが第一報を書き、それがSNSなどで拡散され、その反応をまた新聞テレビなどがはやし立てていく。昔でいえば「魔女狩り」だ。
中国のような独裁国家ならば、権力に歯向かうネット世論などは「遮断」もできようが、自由世界では大統領の発言すら「差別だ」ということで民間企業が遮断する。ヘンな時代になってきたものだ。もちろん保守派からの反論もあろうが、それは「ネトウヨ」などのレッテル貼りで貶められようとしている。

本書は、そうした「新・魔女狩り」の「空気」に果敢に抵抗し、内外の諸問題に関して的確な視点と分析を提示した「紙つぶて」「コラム集」といえる。一読賛嘆!」

「いつもモヤモヤ、イライラする事柄をこの本でやっぱりそうか・・・と納得です。蛇足ですがKindleで初めて電子書籍を利用しました。これまではPDF版の記録・資料ばかりだったのが、全然読みやすく感激です。」


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