おもちゃ 河井案里との対話 常井健一(著) 文藝春秋 (2022/2/9) 1,980円

すらっと伸びた脚と大きな目、最先端のセクシーなファッションに身を包んで政界に登場したときは、マスコミはこぞって「女性政治家の星」として好意的に取り上げた。

しかし、史上最大級の選挙違反で逮捕されるや、手のひらを返したように、「稀代の悪女」としてここぞとばかりに叩いた。

河井案里。

参院議員として活動したのは二年足らずだったが、世間に大きなインパクトを残した。

彼女はマスコミの寵児となったが、実のところ、彼女のプライベートをよく知る記者はいない。

筆者は、当選直後から逮捕されるまで、インタビューなどの取材だけでなく、ことあるごとに電話やメールでやり取りをしてきた稀少な存在である。筆者の手元には、膨大な量の録音、メールがある。

あらためてそれらを読み返すと、不思議なことに気が付く。

宮崎で成功した建築家の家に生まれ、慶応大学に進学し、代議士の妻、そして自身も県会議員から参院議員と、これだけ聞くと恵まれすぎた人生のように見えるが、彼女からは、いっこうに幸せそうなようすがうかがえないのだ。

生きづらい女。

筆者は彼女の生まれた宮崎を訪れることからはじめ、その人生をあらためて取材してみた。

すると、そこには、マスコミで見せた鼻っ柱の強い美人政治家とは別の顔が見えてきた。

タイトルの「おもちゃ」は、案里のメールにあった言葉だ。官邸も関与したであろう買収事件だから、きっと検察がもみ消してくれる。そんな期待は、黒川東京高検検事長のスキャンダルで吹き飛んだ。

「私も黒川さんも、権力闘争のおもちゃにされたんです」

河井案里という一人の女性政治家の人生を通して、現代社会における女性の生きづらさに迫る。

小泉純一郎、中村喜四郎に続く、政治家独白三部作の完結編。

「お騒がせ妻の一方的な話のみで、夫側の話はない。反論もあるだろう。一方的な取材内容なので、真偽のほどは定かではない。
人間性が悪く、やはり悪女の印象を持った。著者のフィクションに近い。」


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