力石徹のモデルになった男 天才空手家 山崎照 森合正範(著) 東京新聞 (2020/8/28)

「ジョーにライバルができた。力石っていうんだ。おまえがモデルだ」。

梶原一騎にそう告げられてから50年以上が経った。

名作漫画「あしたのジョー」の力石徹のモデルになった、天才空手家・山崎照朝。

極真の第1回全日本選手権大会で初代チャンピオンとなり、「極真」の看板を背負ってキックボクシングのリングに上がり、ムエタイ戦士を撃破する。

引退後は全日本女子プロレス(全女)でクラッシュ・ギャルズらを指導した。

梶原から寵愛され、大山倍達の空手を体現し、一時期「キックの鬼」沢村忠と並び称された山崎照朝とは一体何者なのか。

これまで語ることのなかった本人の証言とともに、梶原の長男、極真空手、キックボクシング、全女の関係者ら30人を超える周辺取材で初めて明かされる真実の数々。

群れない。金もいらない。スターになりたくない。

独特の勝負哲学を持ち、己の信じる強さだけを追い求めてきた孤高の空手家の半生を描く。

2013年に東京中日スポーツ(中日スポーツ)で連載した「山崎照朝空手バカ一代記」を大幅に加筆、再構成した。

インタビューでは師・大山、先輩・芦原英幸への偽らざる思い、後継者、理想の空手道を熱く語っている。

巻末には山崎空手の真髄「待ち拳」「前羽の構え」などの動画を収録した。

書籍の帯は漫画「刃牙」シリーズの板垣恵介。板垣の漫画に山崎が与えた影響を本書で初めて明かしている。

「中学時代に読んだ山崎先生の「無心の心」は私のバイブルでした。あれから40年が経過し50を超えた私ですが今とても感動しています。もし現代に真の侍がいるとしたら山崎先生のような生き方をしていることと思います。
空手を志したときの初心を思い出しさせてくれる素晴らしい本でした。空手関係の本でこれほど感動したのは初めてです。ありがとうございました。」

「面白いです。極真カラテ伝説(空手バカ一代伝説ともいう)のここが嘘だ、みたいな暴露話も出てくるので、極真マニア、フルコン空手マニア(私もそうですけど)にとっては、楽しめると思います。ただ、山崎師範信奉者のスポーツ記者が、山崎師範信奉者の談話、山崎師範ご本人の談話をもとに書いた本ですから、山崎師範がとんでもなく素晴らしい、「現代に生ける武神(単なる武人ではなく)」の如く描かれています。すべてを信じるかどうかは、あなた次第です(笑)。」

「山崎照朝先生、初めての評伝。山崎先生にとっての空手とは、勝負とは、人生哲学とは何かを知る1冊。力石徹が必要であったか疑問だが、最後まで読み終えると、なぜ山崎先生が力石徹のモデルとなったのか分かってくる。
興味深いのは極真、キックの関係者の話。よくここまで話を集めたなと思う。彼らは山崎先生に脱帽しつつ、天才ぶりやエピソードを様々な角度から語っている。また女子プロレスラーは山崎先生の空手の実績を知らないからこそ、クソジジイに向かっていく。
読みながら昭和のノスタルジーに浸りつつ、もっと山崎先生が表舞台に出ていれば極真会館の歴史が大きく変わっていたのではと考えてしまうのは私が凡人だからか。近年の格闘技関係の本では指折り。筆者の取材力と山崎先生の生き方に唸るしかない。読み応え十分だった。」


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