敗れても敗れても 門田隆将 (著) 中央公論新社 (2022/5/24) 1,012円

“戦場の知事”島田叡は昭和20年6月、沖縄・摩文仁の丘で消息を絶った。

遺骨は現在も見つからない。

東京帝大野球部OBの一人である。

日本の野球史そのものである同部の歩みには、卒部生の数々の壮烈な人生が浮かび上がる。

野球の「本質」とは何か。

ひとつの目標に向かってひた走ることの「価値」とは何か。その原点を追う渾身のルポルタージュ。

「魂が神宮球場から離れない」――4年間80連敗のまま卒部した副将は、そう呻いた。

2019年に「創部百年」を迎えた東大野球部は、凄まじいまでの「敗北」と「葛藤」の歴史を持っている。

ついには2015年、リーグ戦で一度も勝利を味わうことなく卒業した部員も現われた。

野球とは、もともと彼我の間に大きな力量差があったとき、創意と工夫、そして努力によって、その「差」は克服されるものなのか。

甲子園球児をはじめ、腕におぼえのある全国の野球エリートたちが集まり、躍動する東京六大学。

その中で一度も優勝を成し遂げたことがないのが東京大学野球部だ。

入学試験が難関であるために、ほかの五大学とは、もともとの力量が圧倒的に劣っており、仮に勝利を得るとしても、まさに創意と工夫、そして努力によって「実力差」を克服しなければならないという「宿命」を負っている。

連敗記録は数知れず、2010年10月から2015年5月に至るまでに“前人未踏”の94連敗を記録し、これを脱したときには全テレビ局がスポーツニュースのトップで報じた。

負けても負けても、それでも挑戦をやめない集団――史上最多の17勝をあげた伝説の大投手や、初優勝に“あと一歩”まで迫った「赤門旋風」の主役たち、150キロ左腕・宮台康平らへの徹底取材を通じて、すべてが解き明かされる。 単行本から4年を経て、待望の文庫化!

【解説】桑田真澄

著者について
門田隆将
一九五八年高知県生まれ。中央大学法学部卒業後、出版社勤務を経てノンフィクション作家に。政治、歴史、司法、事件、スポーツなど幅広いジャンルで執筆。二〇一〇年『この命、義に捧ぐ』(角川文庫)で第一九回山本七平賞を受賞。主な著書に『甲子園への遺言――伝説の打撃コーチ高畠導宏の生涯』『なぜ君は絶望と闘えたのか――本村洋の3300日』『死の淵を見た男──吉田昌郎と福島第一原発』などがある。


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