年齢制限で高齢の海外旅行者が減っていく…

世界からシニア旅行者が消えるかもしれない理由

新型コロナの影響で国境を越える移動はめっきり減りました。

それでも新型コロナ感染拡大の当初は、パンデミックが落ち着いて国境が開けば元通りになると考えられていた節があります。

しかし、ことはそう簡単には運びそうもないことが徐々に明らかになっているのです。

とくにシニア世代の旅行者はパンデミック以前のように気軽には国境を越えられなくなりそうです。

それはどうしてでしょうか。

海外旅行者の落ち込み:日本の場合

パンデミックにより世界的に旅行者が激減したのは誰もが知るところです。

日本人旅行者に限っても、2019年には2008万人超を数えた出国者数が2020年には317万人と前年比84%減と落ち込んだのです。

2021年は51万人で、2019年比で97%減となりました。

諸外国の多くは、感染の波と波の間に入国制限を緩和していたのですが、陰性証明書やワクチン証明書などの条件、また帰国時の自己隔離義務などがネックとなり、以前のように気軽に国境を越えるには至らなかったのです。

保険加入証明を入国条件とする国急増

それに加えてこのところ急増しているのが、保険加入証明を入国条件とする国です。

新型コロナ以前は中国、ロシア、キューバ、アルジェリア、モンゴル、サウジアラビアの6ヶ国に過ぎなかったのですが、現在は41の国と地域に膨れ上がっています。

具体的にはアフリカのケニア、セイシェル、モーリシャスなど10ヶ国、中南米のアルゼンチン、チリ、コスタリカを含む14ヶ国、中東のオマーンなどを含む4ヶ国、アジアではインドネシア、マレーシア、ネパール、フィリピン、シンガポール、タイを含む11ヶ国、東欧のウクライナです。

これらの国・地域の当局は、外国人の入国に際し保険証明に新型コロナ感染の際の諸費用(ホテル隔離、帰国費用などを含む)保証が含まれることを要求しているのです。

シニア世代に厳しい条件

フランスの保険比較サイト『Insurly』は、フランス人旅行者向けに保険料金の例を挙げています。

それによれば、ドバイに10日間旅行する25歳は27ユーロ、15日間ブラジルを旅する30歳は48ユーロ、イスラエルに30日渡航する60歳は70ユーロといった具合です。

当然ながら値段は年齢、行き先、滞在期間で変化します。

キャンセル保険を加えるなら、さらに旅行費用の3~6%が加算されるとしています。

旅行費用がかさむのも痛いですが、それ以前にシニア世代に厳しいのが年齢制限です。

というのも、国によっては、旅行保険に年齢制限を設けているからです。

たとえば、フランスでは、「65歳、72歳、あるいは75歳を上限とする(旅行)保険がほとんど」です。

さすがに超高齢社会の日本には、70歳以上でも入れる海外旅行保険があるのですが、それでも「補償の金額に上限があり、選べるプランが減る」可能性があり、「持病や既往症があり通院中・治療中や薬の服薬中」だと加入できないケースが多いのです。

ウィズ・コロナの時代が来ても、シニア世代の旅行客が闊歩する風景はなかなか戻りそうにありません。



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