ヤマハ RZ201:幻のロータリーエンジン搭載マシン
1972年の東京モーターショーに突如として登場したヤマハのロータリーエンジン搭載車RZ201。
ヤマハファンのみならず、多くの人が新しい時代の幕開けを期待したのですが、ロータリーエンジンの抱える諸問題やオイルショックの影響を受け、量産車となることなく消えていった幻の1台でした。
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ヤマハらしい美しき工芸品【ヤマハ RZ201】
ドイツのヴァンケル氏が発明したロータリー式エンジンは、ピストン運動で動力を得る従来のストローク式のエンジンと比べ低振動で高出力、しかもサイズも小さくできるという利点があります。
4輪業界ではすでに東洋工業(現マツダ)が量産自動車を発表。
バイクでは1970年にドイツのDKWがハーキュレスW2000をデビューさせていました。
日本でもヤマハが1972年の東京モーターショーにヤンマーディーゼルと共同開発した330cc×2ローターのロータリーエンジンを搭載したプロトタイプ「RZ201」を出展。
しかしロータリーエンジン特有の熱問題や燃費問題など様々な要因が重なり、大々的な宣伝活動を行っていたにもかかわらず、そのまま市販車として登場することはなかったのです。
ちなみに、RZ201に続いて1973年に発表されたスズキのロータリーエンジン採用車「RE-5」は、量産化にこそ漕ぎ着けたものの、折り悪く第一次オイルショックが発生。
やはり燃費の悪さがネックとなり、約6000台ほどの生産で現役を終えたのです。
速度は200km/hを計測!?
エンジンはヤンマーディーゼルと共同開発の330cc×2ローターで、最高出力は68ps/6500rpm。
エンジン下部はXS650を用い、それをベルトで連結するという方式が取られていました。
公称最高速は190km/hですがテストコースでは220km/hで、安定して走れたという話もあります。
制動システムもしっかりしていた
ブレーキ等は同社の4スト2気筒TXシリーズからの流用ダブルディスク。
リヤはエンジンブレーキが効きにくいロータリーの特性を踏まえて、ディスクブレーキを採用しています。
販売店には大型カラーポスターが配付され、一部の販売店では予約を開始していたところさえあったそうです。