食べる順番が大切…バターを塗っても血糖値が上がらない

“パンだけを食べるよりバターを塗ったほうが血糖値が上がらない”…「食べ順ダイエット」が実は理にかなっているワケ

人はどうして太ってしまうのでしょうか。

そして、なぜ痩せられないのでしょうか。

それは私たちのせいではありません。

知らず知らずのうちに、脳内が糖質に侵されて「糖質中毒」になってしまったからです。

では、何を食べてよくて、絶対に食べたり飲んだりしてはいけないものは何なのか、さらにはどのような食べ方をすると効果があるのでしょうか。

血糖値を上げないように

血糖値が大きく上がると、膵臓から大量のインスリンが分泌され、今度は血糖値が下がりすぎてしまう。

これが低血糖の理由。

血糖値が大きく上がると、膵臓から大量のインスリンが分泌され、余ったブドウ糖を中性脂肪に変え脂肪細胞に取り込む。これが肥満のメカニズム。

つまり、私たちは普段から、大きく血糖値が上昇しないような食生活を心がける必要があるということです。

これは、糖質中毒の問題だけでなく、健康を守るという観点からも非常に重要です。

血糖値の急上昇は、糖尿病はもちろん、さまざまな病気を引き起こします。

また、「AGE」という老化促進物質を増やし、あなたを外見的にも内臓からも老けさせます。

血糖値を急上昇させない食生活を送るために、以下の2つの知識が重要になります。

(1)血糖値を上げない食べ物を知る
(2)血糖値を上げない食べ方を知る

それぞれ、具体的に見ていきましょう。

血糖値を上げない食べ物とは

糖質を含まない食べ物は血糖値を上げません。

具体的には、野菜(根菜は除く)やキノコ、海藻、豆類、肉、魚、豆腐はほとんど血糖値を上げません。

逆に、ご飯やパン、麺類などの炭水化物、芋類などの糖質が多い根菜、カボチャなどの糖質の多い野菜、砂糖たっぷりの清涼飲料水などは、大きく血糖値を上げます。

糖質中毒から脱するために、「どんな食べ物に糖質が多いのか、あるいは少ないのか」を正しく知ることは必須です。まずは、この知識を身につけましょう。

ただし、落とし穴があることも忘れないでください。

スーパーやコンビニで売られている惣菜や加工品には、かなりの糖質が含まれていることがあります。

たとえば、肉じゃが1つとっても、自宅でつくるのと買ってくるものでは違います。

また、つなぎとして小麦粉を相当量使っているケースもあります。

「甘くないから大丈夫」「野菜のおかずだから大丈夫」とは言えません。

こうしたことは、製造現場を見ていない限りわかりません。

揚げ物の衣も注意が必要です。

鶏の唐揚げは人気の食べ物ですね。鶏肉そのものや、揚げる油は血糖値に影響しませんが、問題は炭水化物を用いた衣です。

同じ唐揚げでも、衣がとても薄いものとぼってりついたものでは、血糖値の上昇度合いにかなり違いが出ます。

例えば以下のようなものです。

「あの店の揚げ物は思ったほど上がらない」
「メーカーAの冷凍ハンバーグはかなり上がる」
「メロンパンは総じてすごく上がる」
「シュウマイは皮がダメだ」



血糖値を上げない食べ方とは

「僕はラーメンが大好きで、それを我慢するくらいなら糖質中毒のままでいい」という人がいました。

せっかくの人生、好きなものを食べたいというのはわかります。

糖質を一切摂るななどというつもりはまったくありません。

そんな極端なことをすれば、脳は暴走してさらに大量の糖質を摂る結果になりかねません。

大事なのは、脳を騙すこと。

うまくご機嫌を取りながら、これまでよりも少しずつ糖質を減らしていくのが最良の道です。

そのときに、同じ糖質量でも、食べ方で血糖値の上がり具合が違うということを知っておくととても役立ちます。

たとえば、茶碗一杯の白いご飯を食べるとします。

「ほかのものは口にしないで、このご飯だけを食べるのが一番いいだろう」というのは間違いです。

おかずも一緒に食べたほうがいいのです。

実は、以下のようなことがはっきりとわかっています。

(1)炭水化物のみで食べず、脂質やタンパク質と一緒に食べたほうが血糖値が上がりにくい。

(2)炭水化物を食べる前に、食物繊維の多い野菜などを食べておくと血糖値が上がりにくい。

いずれにしても、我慢など一切必要なく、むしろたくさん食べることができます。

では、もう少し具体的に見ていきましょう。

炭水化物は単体で食べない

下図は、「ユーロピアン・ジャーナル・オブ・クリニカル・ニュートリション」という信頼度の高い医学誌に載せられた実験結果のデータです。

その実験では、健康な人を対象に、パンだけを食べた場合、バターをつけて食べた場合、オリーブオイルをつけて食べた場合、コーンオイルをつけて食べた場合の、血糖値の変化を調べています。

グラフを見れば一目瞭然。

パンだけを食べると血糖値が一番上がります。油脂類の消化に邪魔されることなく、ブドウ糖をどんどん吸収できるからです。

一方で、油脂類を一緒に摂ればパンの消化にも時間がかかり、ブドウ糖の吸収も遅れます。

とくに、オリーブオイルがおすすめだということもわかるでしょう。

これと関連して言えることは、同じパンなら食パンよりもバターをたっぷり練り込んでつくられるクロワッサンのほうがいいということになります。

さらに、具だくさんのサンドイッチならなおよしです。

つまりは、カロリーで考えてはダメなのです。とくに、炭水化物を食べるときに、カロリーを低く抑えようと「単体」で摂るのは最悪です。

カロリーで考えると、「蕎麦ならもり」「ご飯なら具の少ないおにぎり」ということになります。

実際に、そうした間違った努力をしている人もいるでしょう。

残念ながら、その努力によって「邪魔なく血糖値が上がる」状態をつくりだしています。

蕎麦でもおにぎりでもサンドイッチでも、カロリーは高くなっても具のたくさん入ったものを選ぶのが正解です。

炭水化物を最後に食べる

ラーメンなら、さっぱり系のものよりもチャーシューメンを選びましょう。

チャーシューメンを頼んだら、麺は最後に食べましょう。

一時期「食べ順ダイエット」がはやりました。たとえば、定食を食べるなら、まずは小鉢の野菜を、続いて肉や魚などメインを、最後にご飯を食べるというものです。

医学的に見ても、この方法は理にかなっています。

先に炭水化物を食べてしまうと、それはどんどんブドウ糖に分解され、分解されたブドウ糖はどんどん吸収されて血糖値を大きく上げます。

でも、前もって食物繊維たっぷりの野菜や、消化に時間がかかるタンパク質を食べておくと、ブドウ糖の吸収はゆっくりとなり、急激な血糖値アップを呼びません。

最終的には、まったく同じ内容の定食を平らげたとしても、その食べ方によって、糖質中毒や肥満を遠ざけることができるわけです。

食事をするときには、まず野菜やタンパク質から食べる癖をつけましょう。

炭水化物は最後に回しましょう。

自分でメニューを選べるときには、必ず野菜を入れましょう。

繊維質の多い野菜は、よく噛まないと食べられません。

よく噛めば、脳の満腹中枢に「たくさん食べました」と信号を送ることができ、結果的に最後の炭水化物を少なく済ませることができます。

「食べてすぐ」の運動で帳消しにする

同僚と一緒にランチに出かけたときなど、「私は炭水化物は食べません」とは言いにくいものです。

それになにより、「我慢できずにラーメン食べちゃった」ということもあるでしょう。

そんなときでも、食べた直後に運動すると血糖値を上げずに済みます。

糖質を食べ始めて15分もすると血糖値は上がりはじめますから、ぐずぐずせずにすぐに体を動かしてください。

ランチタイムのあとは、のんびりお茶など飲んでいないで早歩きで会社に戻るというのもいいでしょう。

かかとの上げ下げ運動など、どんなことでもいいのですが、一番のおすすめはスクワットです。

スクワットは場所を選ばずにできるし、大腿四頭筋という大きな筋肉を鍛えることで全身の筋肉維持につながります。

とくに、「運動なんてしている時間がない」という人には「一二秒スクワット」が向いています。

その名の通り、一回のスクワットに一二秒かけます。ゆっくり腰を下ろし、ゆっくり立ち上がっていくので太ももへの負荷が大きく効果的です。

これを10回もやれば、食べた炭水化物は帳消しになります。

 

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