食べ過ぎても大丈夫…健康的な対処法とは

食べすぎても焦らなくていい。健康的な正しい対処法とは

ハロウィーンのキャンディ、選挙ウィークのストレスによるやけ食い、来たるサンクスギビングのディナー。

そんな風に、普段よりもいきなり食べる量が増えたときには、どう対処すればいいのでしょうか。

すぐに運動して摂取カロリーを燃やす必要はありません。

あるいは、自分はそうした「ご褒美」をもらうにふさわしいことをしたのだと、どうにかして自分を納得させる必要もありません。

とにかく食べることを楽しんでから、気持ちを切り替えればいいのです。

ただし、そうした特別なときの「ごちそう」に対処する方法について話す前に、少しだけ指摘しておきたいことがあります。

過食タイプの摂食障害

過食タイプの摂食障害は病気の1つで、食べすぎにより罪悪感が生じ、ダイエットや行動制限につながります。

これには循環性があり、ダイエットがまた次の過食につながる傾向があります。

こうした状態をしばしば(たとえば週に1回とか)経験しているのなら、専門医に相談してください。

この症状の治療としては、トークセラピーや、栄養指導などがあり、場合によっては薬による治療がおこなわれることもあります。

どこから手をつけていいのかわからない場合は、アメリカでは米国摂食障害協会(National Eating Disorders Association:NEDA)のホットラインなど、然るべき医療機関に相談してください。

では、それ以外の人はどうなのでしょうか。

過食タイプの摂食障害が存在するという事実はおそらく、食事制限や運動の強化が食べすぎの改善策にはならないことを、私たちに伝えているのではないでしょうか。

そうした対応は、むしろ健康をさらに害する恐れがあります。

カロリーに生活を支配されてはいけない

きちんとした食生活をしなければいけないのは、きちんとした食事があなたの健康を支えてくれるからです。

運動をしなければいけないのは、運動があなたの健康を支えてくれるからです。

この2つは、対立するものではありません。

食事の問題は、運動によって解決するわけではないのです。

でも、そんな風に考えたくなる理由はよくわかります。

たとえば、減量ダイエットが「摂取カロリー」と「消費カロリー」のあいだの数学的方程式を変えることで機能するのは事実です。

もう1つ忘れてはいけないのは、高カロリー食品の製造業者が「食べすぎたぶんを消費する」という考え方を広めようとしていることです。

そうすれば、売上をまったく減らさずに、消費者であるあなたに責任を転嫁できるからです。

「バランス」に関する決まり文句を繰り返している菓子メーカーの協会が、チョコレートの衝動買いを促進する方法に関するヒントも教え合っていることは、以前の記事でも指摘しました。

特定の食品をほんの少し食べたときに、そのカロリーをどう消費すればいいのかを教えてくれる、よくあるひどいチャートの裏には、そうした背景があります。

Reese’sピーナッツバターカップ1つなら、水泳15分が必要。そんなふうに言われます。

それが本当だとしても、役に立つアドバイスと言えるでしょうか? そんなわけはありません。

この手のチャートは、不安と罪悪感をたらいまわしにするツールとして存在しています。

このチャートを参考に、1週間のワークアウトを計画する人などいません。

私たちは単に、おいしいお菓子を楽しむ能力を自らぶち壊しにしているにすぎないのです。

身体のなかで実際に起きていることは?

つまり、こういうことです。確かに、チョコレートバーにはカロリーがあります。

でも、それ以外に、どんなものにカロリーがあるでしょうか?ブロッコリー。鶏の胸肉。米。パスタ。ハンバーガー。コーヒー。どんなものにも、カロリーはあります。

平均的な米国人が1日に必要とするカロリーは、およそ2500キロカロリーです。

1つ105キロカロリーのReese’sを5つ食べても、525キロカロリーにしかなりません。

残りの2000キロカロリーほどは別の食品に由来するのですから、まだ帳尻を合わせることはできます。

同じように、カロリーを燃焼する方法は、水泳やランニングやサイクリングだけではありません。

あなたの身体は、生きているだけでも絶えずエネルギーを使っています。

こちらの計算ツールによれば、体重150ポンド(約68kg)の人は、15分の水泳で119キロカロリーを消費しますが、単に座って話をしながら1時間を過ごすだけでも102キロカロリーを消費します。

この2つの事実を考え合わせると、ショッキングな結論を導き出せます。

高カロリーのおやつを食べたあとに、いつも通りに食事をして、いつも通りのことをして、その日1日を過ごしても、まったく問題はないのです。

運動を増やす必要はありません。

たいていの場合、カロリーという点で考えれば、うまく帳尻を合わせられるか、それに近いところまでいけるはずです。

最悪のシナリオとは

でも、チョコレート(ビールでもパイでも、なんでもかまいませんが)をたくさん食べてしまって、自分が燃焼するカロリー量をはるかに超えてしまったと確信していたら?

2000キロカロリーしか消費できないのに、3000キロカロリーを摂取してしまったことがわかっているとしたら?あなたの身体の適応能力を甘く見てはいけません。

おそらく、昨晩食べすぎてしまったのなら、今日のあなたはあまりおなかがすかない可能性が高いでしょう。

食べたものを残らず記録するのに慣れてしまっている人には奇妙な話に聞こえるかもしれませんが、意識的にダイエットをしていない人でも、長期的に体重を維持することは可能です。

私たちの身体が、いわば「うまくやって」くれるからです。そして、これは1日に限った話なので、全体で見ればさらに均一化する傾向があります。

たとえば、1000キロカロリー余分に摂取して、あなたの身体がそれ以外には何も調整しなかったとしましょう。

あなたの生活は続き、毎日2000キロカロリーを摂取し、2000キロカロリーを消費します。

その月の平均カロリー摂取量は、結局のところ、1日あたり2033キロカロリーにしかなりません。

普段よりもほんの少し多くなるだけです。

パニックにならなくていい

ですから、特定の日に思わず食べすぎてしまっても、パニックになってはいけません。

罪悪感を抱く必要はないし、すぐに消費しようとする必要もありません。

そのかわりに、普段通りのヘルシーな生活を送ってください。

食事をして、栄養をとる。運動するのは、定期的に身体を動かせばそれだけ身体の働きがよくなるからです。

運動すると、頭のはたらきもよくなります。自分に対して、ちょっとした思いやりの気持ちも向けましょう。

精神衛生上、自分の身体を常に自分の敵と考えていないほうがいいからです。

そうしたごちそうが、そのせいで本当に体重が増えてきていると感じるくらいの問題になったら、計画を練りましょう。

ただし、「自分が許せないから、明日はエリプティカル・マシンで1時間トレーニングしよう」と考えるのではなく、一貫性があって長続きしそうな、みじめな気分にならない計画を立て、ヘルシーな食事をとり、毎週適度な運動をするようにしてください。

そうすれば、最終的にチョコレートバーをいくつか食べてしまうかどうかに関係なく、自分の健康をきちんと守ることができるでしょう。

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