テレワークで激減したもの…“雑談”が意外と大きいかも
Japanese man in nordic style home.

テレワークで激減した「雑談」が職場にもたらす「意外な弊害」

新型コロナウイルスの蔓延によって、一気に普及したテレワーク。

通勤ラッシュの苦痛もなく、面倒な会議もオンラインで済ますことができる……。

いいことばかりと思いきや、その反面、ストレスに悩む人が増えているそう。著書『すごい雑談力』を出版した、雑談コミュニケーション専門家の松橋良紀氏は、テレワークによって「雑談」をしなくなったことが、その大きな要因だと指摘します。

ビジネスにおいて雑談がいかに重要か、松橋氏が解説します。

テレワークはいいことばかり?

この2年間で、あっという間にテレワーク、リモートワークが一般化しました。

「あれ、やってみると案外便利じゃない? とても仕事がはかどるし、何より通勤ラッシュの苦痛がないのが幸せだ!」と感じた人は多いでしょう。

それまでは、たとえば会議を開催するとしたら、いろいろ大変でした。

会議室を予約。

会議用の資料を印刷して人数分用意する。

会議室まで移動しなきゃいけない。

お茶出しなども準備。

他社の人が参加するなら、名刺も準備。

会議前の名刺の交換が終わってから、ようやく本題へ。会議が終わったら、また移動……。

それらの一連のプロセスが、オンラインになったらすべて省略できるようになりました。

資料は事前に送っておけばいいし、当日はパワポを見せるだけです。

会議が終わったら、すぐに自分の仕事に戻れます。

自宅なら電話を取る必要もなく、ほかの人の会話に邪魔されることもありません。

「こんなにいいこと尽くめなら、もっと早くからテレワークを取り入れてほしかった!」と感動していた人も少なくありませんでした。

ところが、その状況がしばらく続いてきたら、「なんだか窮屈だぞ」と感じ始めた人が徐々に増えてきました。

そうです。窮屈に感じたり、息苦しく感じたりするのは、リラックスできる雑談の時間がなくなったからです。

合理的に考えると、オンラインはメリットだらけです。

しかし実際には、仕事の合間に交わしていた雑談がなくなったことで、逆に仕事がスムーズに行かなくなったという人が大勢いました。

彼らはオンラインに対し、いろいろと不満をためていました。

たとえば、それまでは何気ない雑談のおかげで人との距離が近くなり、仕事を頼みやすかったということがあげられます。

私たちは雑談を通して、相手のタイプや気質、現況を知ることができました。

そのおかげで、相手に合わせて仕事を頼んだり、適切なタイミングでお願いしたりできていたのです。

しかし、雑談する機会がなくなったおかげで、他人の情報が入らなくなり、とてもやりづらくなりました。

オンラインでは相手のタイプや気質までわかりませんし、相手がいまどんな状況にあるのかを正確に把握することは難しいでしょう。

また、孤独を感じる人も多くなりました。

やはり人は、人とつながっていたいのです。

「やっぱりリアルがいいね」の本質

私の本業の一つはセミナー会社の運営です。

オンライン全盛の期間中に、オンラインセミナーとリアルセミナーのハイブリッド開催を主催したことがあります。

すでにオンラインで数か月間一緒だった受講者同士ですが、初めてリアルでの対面となりました。

そこでは、休み時間やランチタイムに、さまざまな雑談が交わされて、受講者同士がとても親密になりました。

参加されたみなさんも「やっぱりリアルがいいね」と口々におっしゃいました。

効率優先のオンラインでのやり取りに比べて、リアルな対面でのやり取りは、親密な関係を築く力が何倍も違うということを確信しました。

そして、親密度には、「雑談」がとても大きな役割を果たすということも、改めて感じました。

では、オンラインの何が問題なのでしょうか。

いちばんの問題は、テレワークでのやり取りは、公式発言のみにとどまることが多くなるということです。

打ち合わせを簡単に録画して記録できるようになってからは、ますます雑談がしにくい環境になってきました。

また、他人と話がかぶらないように気をつけたりして、気軽に話せない雰囲気もあります。

そのような理由もあり、オンラインの普及で、雑談する機会がとても少なくなりました。

雑談の機会が減るということは、相手の情報量が格段に減るということです。

それまでは、普段あまり会話をしない同僚でも、同じフロアで仕事している様子を目にすることで、つながりが保てていました。

しかし、テレワークになると、その同僚と積極的にコミュニケーションを取らない限り、つながりを保てません。

テレワークは、信頼関係の薄さを顕在化させてしまいました。

この時代を乗り切っていくには、オンラインでの雑談力も不可欠です。

しかし、普通にテレワークをしているだけでは、なかなか雑談にまで至りません。

何かしらの工夫が必要になってきます。

また、雑談をしないことで、新たな問題も出てきました。

それは「ストレス」です。

雑談することで「信用貯金」が増える

リクルートキャリア社が、2272人に対しておこなった調査を紹介しましょう。

テレワークが普及しても雑談タイムがある人に比べ、雑談タイムがなくなった人は、「ストレスが解消できていない」と答えた割合が、なんと14.1%も多かったという結果が出ました。

雑談があることで、ストレスが解消できている人が予想以上に多かったのです。

オンラインになったことで、新たなストレスが逆に生まれたということです。

具体的には、こんなストレスが増えたと答えています。

・テレワークの普及によって、仕事の全体像の把握がしにくくなった
・仕事の重要性に対する実感が得られなくなった
・他者からのフィードバックが損なわれた
・部下が仕事をサボっていると思ってしまう
・自分がサボっていると思われている不安がつきまとう

社内での雑談は、信用を貯金していたようなものです。

回数を重ねるごとに残高は増えますし、雑談の回数が減れば信用残高も減ります。

つまり、雑談がないオンラインでのコミュニケーションは、その信用貯金の残高を取り崩しているようなものなのです。いずれ、その残高はなくなります。

残高がなくなれば、いままでならやってもらえたことをやってもらえなくなったり、コミュニケーションの質が落ちたりと、不具合が発生していくでしょう。

「オンラインになってから仕事を頼みにくくなった」という例などは、まさしくその典型です。

古参の仲間なら、まだいいかもしれません。

新入社員や中途入社など、関係が始まったばかりの相手とは、信用残高がゼロの状態からのスタートです。

まだ親密な関係を築いていない相手にとっては、雑談が大きな支えになります。

すごい雑談力 25万人が自信をつけた話し方・聞き方のルール 松橋良紀 (著) 秀和システム (2022/2/16) 1,650円

【25万人の人生を変えた”雑談のカリスマ”が教えるシン・雑談術】

日常生活を取り戻してきた今、雑談の必要性が高まっています。

そこで、ベストセラーとなった著作やセミナー、カウンセリングを通して、これまで25万人の雑談力を高めてきた著者が、自らの全技術を大公開します。

印象に残る自己紹介や、話が途切れない雑談の組み立て方、
相手から好かれる聞き方の技術や、効果的な褒め方、
雑談ネタの増やし方まで、すぐ使えるスキル&フレーズを紹介します。

【相槌は大切だというけれど、意外に難しいと思いませんか?】

本書の大きな特徴として波長合わせテクニックがあげられます。

まずはアゴの動きを合わせるだけで大丈夫。

具体的な方法は本文に譲りますが、じつはこれが、相手との動きをいちばん自然に合わせることができる技です。

【相手に合わせた雑談術をすることで、「シーン」がなくなる】

本書は心理分析を応用して相手を4タイプにわけました。

理論タイプ、感情タイプ、内向タイプ、外向タイプ、それぞれの攻略法を伝授します。

それぞれのタイプによって、どう話しかければいいのか、どう相槌を打てばいいのか、相手に合わせることで雑談が盛り上がり、シーンとなる時間がなくなります。

ビジネスでも使える雑談術を、この機会にぜひ身に着けていきましょう!

【目次】

序章 いま、なぜ雑談の必要性が高まっているのか?
第1章 雑談のピンチを一瞬でチャンスに変える技術
第2章 口よりも耳! 雑談を盛り上げる聞き方の技術
第3章 「何を話せばいいの?」がなくなる〝無限ネタ術
第4章 相手に合わせることが9割「タイプ別の雑談法」
第5章 プライベートが10倍楽しくなる男女の雑談術

著者について
松橋良紀(まつはし・よしのり)
雑談コミュニケーション専門家、コミュニケーション総合研究所代表理事。
1964年、青森市生まれ。ギタリストを目指し上京。7年後に夢をあきらめ営業の世界に飛び込む。しかし強度の人見知りで、とくに雑談が大の苦手なためまったく売れず。ところが、30歳で心理学に出合うと、人生が激変。つねに下位グループだったセールスマンが、学んでからほんの1か月で全国450人中1位に躍り出る。出版を機にテレビ、ラジオ、新聞、雑誌の取材などマスコミにも多数出演。
主な著書に『何を話せばいいのかわからない人のための雑談のルール』(中経出版/KADOKAWA)、『話し方で「成功する人」と「失敗する人」の習慣』『あたりまえだけどなかなかできない雑談のルール』『あたりまえだけどなかなかできない聞き方のルール』(以上、明日香出版社)、『話さなくても相手がどんどんしゃべりだす 「聞くだけ」会話術』(ダイヤモンド社)、『「売れる営業」がやっていること 「売れない営業」がやらかしていること』(大和書房)など20冊以上がある。

ネットの声

【25万人の人生を変えた”雑談のカリスマ”が教えるシン・雑談術】

日常生活を取り戻してきた今、雑談の必要性が高まっています。

そこで、ベストセラーとなった著作やセミナー、カウンセリングを通して、これまで25万人の雑談力を高めてきた著者が、自らの全技術を大公開します。

印象に残る自己紹介や、話が途切れない雑談の組み立て方、
相手から好かれる聞き方の技術や、効果的な褒め方、
雑談ネタの増やし方まで、すぐ使えるスキル&フレーズを紹介します。

【相槌は大切だというけれど、意外に難しいと思いませんか?】

本書の大きな特徴として波長合わせテクニックがあげられます。

まずはアゴの動きを合わせるだけで大丈夫。

具体的な方法は本文に譲りますが、じつはこれが、相手との動きをいちばん自然に合わせることができる技です。

【相手に合わせた雑談術をすることで、「シーン」がなくなる】

本書は心理分析を応用して相手を4タイプにわけました。

理論タイプ、感情タイプ、内向タイプ、外向タイプ、それぞれの攻略法を伝授します。

それぞれのタイプによって、どう話しかければいいのか、どう相槌を打てばいいのか、相手に合わせることで雑談が盛り上がり、シーンとなる時間がなくなります。

ビジネスでも使える雑談術を、この機会にぜひ身に着けていきましょう!

【目次】

序章 いま、なぜ雑談の必要性が高まっているのか?
第1章 雑談のピンチを一瞬でチャンスに変える技術
第2章 口よりも耳! 雑談を盛り上げる聞き方の技術
第3章 「何を話せばいいの?」がなくなる〝無限ネタ術
第4章 相手に合わせることが9割「タイプ別の雑談法」
第5章 プライベートが10倍楽しくなる男女の雑談術

著者について
松橋良紀(まつはし・よしのり)
雑談コミュニケーション専門家、コミュニケーション総合研究所代表理事。
1964年、青森市生まれ。ギタリストを目指し上京。7年後に夢をあきらめ営業の世界に飛び込む。しかし強度の人見知りで、とくに雑談が大の苦手なためまったく売れず。ところが、30歳で心理学に出合うと、人生が激変。つねに下位グループだったセールスマンが、学んでからほんの1か月で全国450人中1位に躍り出る。出版を機にテレビ、ラジオ、新聞、雑誌の取材などマスコミにも多数出演。
主な著書に『何を話せばいいのかわからない人のための雑談のルール』(中経出版/KADOKAWA)、『話し方で「成功する人」と「失敗する人」の習慣』『あたりまえだけどなかなかできない雑談のルール』『あたりまえだけどなかなかできない聞き方のルール』(以上、明日香出版社)、『話さなくても相手がどんどんしゃべりだす 「聞くだけ」会話術』(ダイヤモンド社)、『「売れる営業」がやっていること 「売れない営業」がやらかしていること』(大和書房)など20冊以上がある。」

「テレワークで一日中マジに仕事する必要無し。そもそも出社しててもできる人は1日の精々30-50%以下の実質稼働だったでしょ。
成果さえ基本出せばいい。
コミュニケーションの問題、評価方法など難しい面もあるのは確か。月2?3日出社機会あればいいか。ルーキーの育成は大きな課題」

「面白いのは、今の若者は効率を求めるから、雑談なんか、リアルでもあまりしなかったのが、オンラインになると、こちらから振らない限りは雑談は一切ない。意外と仕事の出来る人は雑談の中でコミュニケーション力を自然に磨いていくが、それをしない、出来ないから、いつまで経ってもコミュニケーション力は上がらない。
そんなのが5年、10年経てばリーダーやら管理職やらになる…と恐ろしい時代になる。」

 



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