一条さゆり「ストリップの女王」の生涯

絶頂、逮捕、孤独死――「ストリップの女王」の波乱万丈の生涯

1960~70年代に一世を風靡し、「ストリップの女王」と呼ばれた伝説のストリッパー・一条さゆりさん。

「特出し」と呼ばれる過激な芸で人気を集める一方で、公然わいせつ罪で9回検挙されるなど波乱万丈な生涯を送りました。

亡くなって四半世紀。

晩年の一条さんと交流があったジャーナリストの小倉孝保が、彼女の生涯を一冊の評伝にまとめ上げました。

『踊る菩薩 ストリッパー・一条さゆりとその時代』(講談社)です。

中田カウスがプロローグを

本書の冒頭では、駆け出しのころ一条さんにお世話になったという、漫才コンビ「中田カウス・ボタン」の中田カウスさんが小倉さんの取材に応じています。

カウスさんは一条さんについてこう語っています。

「ほんまに世話になりました。極端な話、カウス・ボタンがあるのは一条さんのお陰なんです。それほどの存在です。これまでも何度か、面白おかしく話したことはあるんですが、短い時間では、僕と一条さんの関係は、わかってもらえへんのちゃうかと思ってね。これまでちゃんと説明してこなかったんです」
(「プロローグ」より)

厳しい人生だった…

若かりし日のカウスボタンは、一条さんに何を教わったのでしょうか。

そして、一条さゆりとはどんな女性だったのか――。

極貧の幼少期、絶頂期、刑務所暮らし、夫の自死、大やけど、生活保護、ドヤ街での暮らし、そして孤独死。

厳しい人生を歩みながらも、舞台に生きた彼女の「芸」とは。

すべてを曝け出して駆け抜けた生涯を、克明に描き出す一冊です。

踊る菩薩 ストリッパー・一条さゆりとその時代 小倉孝保 (著) 講談社 (2022/9/1) 2,200円

不幸で、嘘つきで、どこまで優しく。

昭和の男社会を「溢れるしずく」を武器に、その身ひとつで生き抜いたストリッパーの本格評伝。

ウーマンリブが台頭してきた時代、わいせつ裁判を通して、図らずも「反権力の象徴」に祭りあげられた一条。

普通の生活がしたいと願うも、周囲はそれを許さず、本人もまた酒と嘘と男に溺れていく。

極貧の幼少期、絶頂期、刑務所暮らし、夫の自死、大やけど、生活保護、ドヤ街での暮らし、孤独死……。

ひとりの女性としては幸せだったと言えないかもしれないが、芸人としては最高の人生だったと、生前の彼女を知る者は口を揃える。

人間が持つ美点と欠点を、すべて曝け出しながら駆け抜けた彼女の生涯を描く。

プロローグ 中田カウスの恩人
第一章 溢れるしずく
第二章 一条さゆりの誕生
第三章 警察との攻防
第四章 時代が生んだ反権力の象徴
第五章 芸術か、わいせつか
第六章 塀の中、束の間の平穏
第七章 暗転
第八章 釜ケ崎に暮らす
第九章 ドヤ街の酔いどれ女神
第十章 過ぎゆく日々のなかで
第十一章 見事な最期
エピローグ 拝まれる人

「ずいぶんと懐かしい名前です。11PMで見た記憶があります。妖しくも美しかったと思います。当時マスコミをにぎわせていたスーパースターだったと思います。そんな彼女の時代と真実です。随分と、その生い立ちゆえか、愛に飢えてくる死んだ人生だと拝察します。彼女の人懐こさから人が寄ってくるのに、その闇ゆえか裏切られ、裏切ってしまう人生。しかし、根の人の好さが感じられる素敵な人物だと思います。合掌。」

 

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