わたしは誕生日すら祝ってもらえない――。
冷えきった夫との関係や子どもとの生活に孤独感を募らせていた沢辻涼子は、我慢の糸が切れたある日、家出を決行する。
飛び出した夜の街で出会ったのは、洞察力と推理力に優れた美しいBARのママ、野宮ルナ。
ルナに自分が抱える報われなさの正体が「大学時代の元彼」であることを言い当てられた涼子は、彼女と二人で元彼を探すため大阪へ旅に出ることに……。
元彼探しが難航する中、次々と事件に巻き込まれる二人は、無事に想い人と再会できるのか――。
仕掛けに騙され泣かされる、圧巻のサプライズエンディング!
『月夜行路』(秋吉理香子著:講談社)
トランスジェンダーの名探偵キャラが秀逸で謎解きを存分に楽しめるミステリ。
大阪の街・文学に縁の土地をふんだんに巡る旅行書としても超一品。
そして最終章では、読者全員涙腺崩壊。
いやはや、なんて仕掛け!
これはヤバイぞ、りかこっぴ!#半世紀書店員 pic.twitter.com/q4J5FzL7J5— 井上哲也 (@tetsuyainoue) September 22, 2023
著者について
秋吉理香子
兵庫県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。
ロヨラ・メリーマウント大学大学院にて映画・TV番組制作修士号取得。
2008年、第3回Yahoo! JAPAN文学賞を受賞し、2009年に『雪の花』でデビュー。
他の著作に『暗黒女子』『監禁』などがある。
秋吉理香子さん著『月夜行路』読了。夫の浮気を疑う40代の専業主婦である涼子と銀座のバー『マーキームーン』の訳ありママとのロードノベル作品。文豪の縁の地を巡りつつある男性を探す旅なのだけれど途中ちょっとした謎解きもあってめっちゃ面白かった。ラストは泪(T^T) *81#読書好きと繋がりたい pic.twitter.com/9JNWkVjuWr
— よーた (@PurpleYohta) October 21, 2023
「導入部分から吸い込まれるような展開で、ハラハラせざるを得ない。ラストまであっという間でした。
映像化(映画化?)されるのは時間の問題かと思います。」「東京から大阪に突発的に旅に出た二人の女性が人探しをする道中で事件に巻き込まれる3日間の物語。事件解決のヒントは大阪を舞台にした「曽根崎心中」「春琴抄」「黒蜥蜴」。大阪文学の入門書としても楽しめる。
これらの小説の作中の要素や作品の背景をヒントに展開される探偵=ママのロジックの飛躍が鮮やかで、ミステリ小説としても魅力的。
トランスジェンダーのママが「黒蜥蜴」で三島版戯曲に言及をしないことにも理由があるのでしょうね……そういった深読みもできる、読み継がれてほしい作品。」
「仕掛けがたくさんあり、いろいろな本を呼びたくなる。一つ一つの話もいいし、全体としての構成もぐっとくるものがあった。映画の原作にぴったり。」
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