インドの奥のヒマラヤへ ラダックを旅した十年間 山本高樹(著) 産業編集センター (2021/6/15)

インド最北部の山岳地帯に残るチベット文化圏、ラダック。チベット本土よりもチベットらしさが残っているこの地に、10年以上にわたって通い続けた著者によるラダック滞在記。

「自分はここに来るべくして来た」と著者に言わしめるラダックの魅力とは何か。

旅人とは思えないほどラダックに馴染み、非日常が日常になる寸前まで暮らし込んだ日々の記録。

著者撮影の美しい写真が旅情を刺激する、まさにラダック紀行の決定版と言える一冊。

【目次】
僕を呼び寄せる何か
いくつもの峠を越えて
変わりゆく王都/もう一つの家族/誇りをまとって
マルカ谷を歩く
ジミの結婚式/洪水と前世の記憶
祈りと輪廻/神からの言伝
セルガルの槌音
ランチョーの学校
花と鬼灯の人々
瑠璃の湖のほとりで
星空の下、王は眠る
ここは彼らの世界
ザンスカールを歩く
幻の道
友達はお調子者
スピティを歩く
永遠の瞑想
スピティからラダックへ
あの頃の僕へ

「ラダックの風息、冬の旅ザンスカールに次ぐラダックの旅行記。前の二冊と同様に、筆者は表に出ず、現地の人が中心となる文章になっています。
チベット仏教文化圏であるラダックへ通ううちにいつしか日常の一部、人生の一部になっていく変化は共感できるところです。
個人的に好きなエピソードは、ダーの花の民の話と筆者の父親の話。SNSによっていわゆる秘境がクローズアップされることで、その地域の人々に迷惑をかけてしまうのはここ10年で出てきた問題。昔のバックパッカーはいわゆる秘境を見つけても、分別のある人にしか教えない、公開するにしても詳細情報をボカすなど配慮をしていたと思います。それは現地の人を守るという意味だけでなく、旅人がその良さを独占するという意味もありましたが、昨今の事情よりマシだったのかもしれません。
(ダーを過去の本で紹介したことに責任の一端を感じるとありましたが、表紙の写真がダーの人なんですよね。ラダックの話なら他の写真でも良かったのでは・・・?)
筆者の父親の話。私はこれが一番良かったと思います。筆者は意図的に過去の本でも、あまり自分自身を表に出していなかったのですが、このエピソードで親近感を持ちました。
この本はラダックへ行ったことある人には確実におすすめできますが、行ったことがない人、あまり良く知らない人には想像するのが難しいのではと思う部分があるかなと思いました。バックグラウンドの知識が一定レベルで必要かと思いますので万人向けではないかと思います。」


(↑クリックするとAmazonのサイトへジャンプします)

 

おすすめの記事