「身長を伸ばしたい」「どうしたら身長が伸びますか」-中学生や高校生、その保護者からよく受ける質問です。
「身長って遺伝だから…」と半ばあきらめている方もいますが、そんなことはありません。
もちろん遺伝の影響はありますが、可能性を伸ばすために大事なことがあります。
今回は身長を伸ばすために確認したい「成長の可視化」と、それを踏まえた栄養対策についてお伝えします。
Contents
身長と体重を記録しよう
成長の過程で、「成長スパート」という急に背が伸び出す時期がやってきます。
身長の年間伸び率が最大になる成長ピークは、女子が11歳、男子が13歳くらいです。
しかし、成長には個人差があるため、まずは成長曲線のグラフに身長と体重を記録しましょう。
分かるなら、過去の数値も記録し、成長過程において今がどの時期なのか、平均と比較するとどうかが可視化されます。
食事の量を確認しよう
次に気になるのは、栄養が足りているかどうかです。
成長曲線で成長の度合いを可視化し、以下が当てはまる場合は、栄養が不足している可能性があります。
・身長が伸びているのに体重が増えていない
・体重が減少した
・年間の身長の伸びが5㎝以下(成長ピークがくる前)
不足の原因は朝食にあるかも
不足の原因の1つとして考えられるのは、朝食の不足です。
1食の量の目安として分かりやすいのは、1日の1/3が取れるように立てられている学校給食です。
「同じ量を朝と夜で食べているか」と質問すると、朝食を十分に摂れていない子どもがたくさんいるのです。
特に、パンやおにぎりだけといった声は多く、とりあえず何か口に入れているものの、身長を伸ばすために欠かせない良質なタンパク質を摂れていない子どもが多いのが現状です。
実際に、健康診断で血液検査をした中学生・高校生の選手のうち、約2割でタンパク質が不足しているという結果になりました。
まずは不足を補うことから
基本は3食バランスのいい食事を摂ること。
スポーツをする場合は、さらに補食をとることが必要な栄養をとるには重要になりますが、元々の食事に不足があれば、まずは底上げが大切です。
「ご飯だけでなく納豆と一緒に」「パンと一緒に牛乳を飲む」といったことから始め、より充実した食事が摂れるような対策をしましょう。
特に、男女とも思春期と呼ばれる9~14歳の期間は身長が最も伸びる時期。
かつては「牛乳を飲めば背が伸びる」と言われていましたが、それは本当でしょうか?
牛乳の他にも、身長がグングン伸びる栄養素はあるのでしょうか?
身長が伸びる=骨が伸びる
残念ながら「◯◯を食べれば身長が伸びる!」というミラクルな栄養素は存在しません。
そもそも身長が伸びるとは、骨にある「骨端線」という軟らかな部分が伸びていくこと。
身長が伸びる=骨が伸びるということなのです。
この骨端線は大人になるとなくなってしまうため、骨端線がある思春期うちに最大の効果が出るように働きかけるのが身長を伸ばす秘訣。
身長を伸ばす食事のポイントを紹介しましょう。
基本は「高たんぱく質・低脂肪」
骨、筋肉、皮膚、内臓、血液など、私たちの体のすべてはたんぱく質でできています。
食事で摂取するたんぱく質は、いわば「骨の材料」。
赤身の肉や魚、卵、牛乳、大豆製品などのたんぱく質食品は毎日食べるようにしましょう。
反対に控えたほうがいいのは脂肪。
脂肪が多い食事は肥満の原因になり、肥満になると身長が伸びる時期が短くなってしまうことがわかっています。
骨の成長に欠かせない4大栄養素
たんぱく質と並んで骨の材料となってくれるのが「カルシウム」。
そのカルシウムの吸収率をアップさせてくれるのが「ビタミンD」と「ビタミンK」です。
また、たんぱく質の吸収を助け、成長ホルモンの分泌に影響を及ぼす「亜鉛」も骨の成長には欠かせない栄養素。
これらの4大栄養素を豊富に含む食品を以下に紹介します。
カルシウム……小松菜・ほうれん草などの青菜類、桜エビ・しらすなどの魚介類、牛乳・チーズなどの乳製品、ごま・ナッツ類
ビタミンD……卵、鮭・うなぎなどの魚介類、きのこ類
ビタミンK……鶏・牛・豚などの肉類、海藻、キャベツ、小松菜、ほうれん草、ブロッコリーなど野菜類
亜鉛……牡蠣・タコなどの魚介類、鶏・牛・豚などの肉類、豆腐・納豆などの大豆製品
これらの栄養素を組み合わせ、バランスよく摂取することで骨の成長が促されます。
思春期のお子さんを持つ方は、ぜひ毎日の食事に意識して取り入れてください。