少数株主 牛島信(著) 幻冬舎 (2018/12/6)

同族会社、墨田鉄工所社長の川野宗平は少数株を凍りつかせたまま放置。

理不尽に泣く少数株主を救うため、豪腕弁護士の大木と、伝説のエリート経営者・高野が立ち上がる。

少数株は法外な相続税を負わせる疫病神にもなれば、20倍の価値に跳ね上がることもある。

紙くず同然の株を大金に変えろ! 法律を熟知した企業弁護士が描く怒濤の逆転劇。

「他の方の評価が低いようだが自分はそれなりに楽しめた。自分も創業時に夢を語ってそれに共感してくれて投資してくれた少数株主がいるが、長い業績低迷の間不義理をしてしまっていた。今後どのように報いていってコーポレート・ガバナンスを確立していくかストーリーを楽しみながら学習できた。」

「牛島信の作品はデビュー作「株主総会」から時々読んでいる。いずれの作品も、日本の会社を取り巻く法律やルールが抱える欠陥や問題点を描いているの。上場企業のガバナンスについては平素考えることも多いが、先品が指摘する「非上場企業の少数株主の権利」を意識したことはあまりなかった。
所有株を売却したくても、不当に安い価格でしか売れない現実(実際には会社や会社が指定する個人に売るしかない)。非上場企業の株式を相続したところウソのような高額の相続税を請求されたケース。「そうか」と頷きながら読んだところが何か所もあった。
作品はさりげなく会社の歴史や役割についても触れる。有限責任の制度化はたかだか17世紀から。株式会社が様々な特権を認められるのは、本来(雇用拡大など)社会の必要を満たすから。歴史的視点に触れないコーポレート・ガバナンス議論には要注意というところか。
男女の感情など読み物としてこなれていない部分もあるが(辛口コメントはこの辺りに?)、中小企業・非上場企業のガバナンスは目立たないが極めて重要な問題。これを小説で手軽に読ませようという試みは、他に例がないと思う。」

「フィクションとしてではなく、リアルに本作のテーマに共感を覚えます。上場、非上場を問わず、株式会社に求められる真髄を垣間見ることが出来て、とても嬉しいです。」


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